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【特集】窪田朋一郎氏【波乱展開も一服、9月相場で視界は変わるか】(2) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

―逆風材料多いなか、反転に向けた強気のシナリオを探る―

 名実ともに9月相場入りとなった2日の東京株式市場は売り先行の地合いとなり、日経平均株価は反落を余儀なくされた。米中摩擦に対する懸念がくすぶるなか、なかなか強気には傾きにくい地合いにもみえるが、実際はどうか。8月相場は夏枯れというよりは波乱含みの調整を強いられた東京市場だが、秋相場に向け強気のシナリオはあるのか。ここからの相場展望について先読みに定評のある市場関係者に意見を聞いた。

●「日米欧金融会合前は強基調を維持」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 株式市場は引き続き米中摩擦問題をはじめ不透明材料が山積しているが、日米欧の中央銀行が9月の金融政策会合で緩和策を打ち出すことへの期待から、少なくとも9月前半は売り方も動きにくく、下値に対して抵抗力を発揮しそうだ。

 9月12日のECB理事会、17~18日のFOMC、18~19日の日銀金融政策決定会合と続くが、いずれも金融緩和的政策をとることが有力視される。ECB理事会では、マイナス金利の深掘りのほかQE(量的緩和)の再開に動く可能性もある。また、FOMCでは少なくとも0.25%の利下げが確実視されているが、場合によっては0.5%の引き下げという選択肢もあり得る。更に、パウエルFRB議長の記者会見では年内あと複数回の利下げ余地について言及される公算が小さくない。

 一方、金融緩和政策の余地が限定的とされる日銀はマイナス金利の深掘りが俎上に載っているが、その際には銀行への影響を抑えるために、銀行が預けている資金についてはプラスの金利を適用するゾーンを広げるなどの政策をセットで行うケースが考えられる。また、イールドカーブ・コントロールの誘導目標についても許容範囲を広げるなどの政策が打ち出される可能性がありそうだ。

 株式市場では、日米欧の金融会合が通過するまでは緩和期待を底流に売り仕掛けも入りにくい地合いとなろう。日経平均は下値抵抗力を強め、ボックスゾーンをやや切り上げる展開となり、2万1000円ラインを上回って推移する局面も想定される。

 注目銘柄としては、まず金利低下の恩恵を受けるREITは引き続き妙味がありそうだ。また、地政学リスクの高まりからゴールドETFなどにも着目しておきたい。このほかでは、円高の恩恵を受けるニトリホールディングス <9843> などの小売関連の勝ち組をマークしてみたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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