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【市況】明日の株式相場戦略=懐疑の森で育つ相場、変身銘柄相次ぐ

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(29日)の東京株式市場は日経平均が朝方に2万3000円ラインを突破、その後はさすがに伸び悩んだものの、売り物に押されることなく大引けは100円あまりプラスを維持して着地。7日連続の年初来高値更新と、文字通り「新値街道をひた走る」という形容がぴったり当てはまるような強い相場だ。トランプ発言で米中協議の進展期待が高まったとか、英国のEU離脱期限の延長合意が好感されたとか、確かにポジティブ材料ではあるのだが、いつもの後付け解釈の域を出ず、株高の合理的な理由としては本音の部分で誰も共感していないと思われる。

 “株は需給”の典型であり、皆が首を傾げながら理由を探しているような相場だから強いということはいえる。上昇相場は懐疑の森のなかで育ち続ける。外国人投資家は10月第3週に現物でも5500億円買い越したが、市場関係者によると国内機関投資家は今週に入った時点でもほとんど動きが止まっている状況にあるようで、俗にいう「持たざるリスク」が前面に押し出される局面はこれからということになる。

 個人投資家資金は短期回転がベースとなっているとはいえ、果敢にリスクを取る動きが鮮明となっている。国内ネット証券大手の店内データでは、直近の信用評価損益率がマイナス7%と「ここ1年では一番良い」状態にあるという。こういう時こそ気をつけなければいけないのが相場ではあるが、マザーズやジャスダックなどの新興市場は日経平均にだいぶ遅れているだけに、上昇余力はまだかなり残されている。仮に東証1部の大型株の動きがとまっても、材料株は余熱でしばらくは走る。今、個人にとっての課題は決算発表という氷山をかわしながらいかに個別株物色のステージを進むかということだ。

 相場の流れとしては半導体関連の中低位株を物色する動きが活発だ。草刈り場と言ったら表現は悪いが、まさに次に何が噴き上げるかに目を光らせているような相場。ただし、半導体というテーマに持続性があり食い散らかしているような印象はない。出遅れていたミナトホールディングス<6862>も急動意した。低位株は動き出すと上昇率が違和感なく10%を超えるケースが多く、これが短期資金の食指を動かす背景となっている。今のミニバブル的な潮流に乗って、これまでの“地相場”の領域をブレークしてくる銘柄はまだ数多く残されていると思う。

 半導体関連の低位株で意外性のある銘柄としては有機合成薬品工業<4531>が挙げられる。特殊合成品を扱い、上位株主のニプロや長瀬産業と提携関係にあることから医薬中間体やアミノ酸関係のイメージが強いが、売上高の約3分の1は工業用薬品で占めている。半導体ウエハーなど機能性材料の原料メーカーとして、世界的な半導体市況回復の恩恵を受ける位置にあり、会社側も足もと風向きが追い風に変わりつつあることを否定していない。きょうは商い急増のなか一気に年初来高値を更新してきたが、これは同銘柄が半導体関連株であることにマーケットが気付いた証。しかし、依然として株価は200円台にあり、PBR0.5倍台、つまり会社解散価値の半値近い水準に放置されていることで、これを機に水準訂正余地が意識されそうだ。

 また、風に巻かれるように上値追いを続けているのが野村マイクロ・サイエンス<6254>。超純水装置の大手メーカーで同社も半導体関連の一角。既に株価を上昇させているとはいえ、PER、PBRともに割安で上値期待は大きい。週足チャートでここ2年程度の軌跡をみれば、今はまだ初動であることが分かる。2月26日の年初来高値760円奪回は戻り相場の通過点というよりスタート地点に近い。

 このほか、浜井産業<6131>やアテクト<4241>、和井田製作所<6158>なども半導体周辺株として人気素地を開花させている。

 日程面では、あすは日銀金融政策決定会合(~31日)のほか、朝方取引開始前に9月の商業動態統計が発表される。IPOでは東証2部に恵和<4251>が新規上場される。海外では10月のADP全米雇用リポート、米7~9月期GDPが開示される。また、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見が予定されている。このほか、ブラジルの中央銀行が政策金利を発表する。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2019年10月29日 19時32分

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