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【市況】S&P500 月例レポート ― 9月は3.9%下落、新型コロナへの懸念高まる (3) ―


●個別銘柄

 ○電気自動車メーカーのTesla(TSLA)は今年、株価が急騰したことを受けて1対5の株式分割を実施しましたが、株価はその後21%下落しました。S&P 500指数への採用が見送られたことも(9月4日の取引終了後、同指数に新たに採用される3銘柄が発表されました)、この株価下落につながった模様です(短期投資家が売りを牽引しました)。Tesla株は13.9%安で9月末を迎えましたが、年初来では413%上昇しています。

 ○バイオ医薬品メーカー大手のAstraZeneca(AZN)は新型コロナウイルスワクチンの臨床試験を一時中断しました。英国での治験参加者1人に副反応(詳細不明)が出たためです。臨床試験はその後、再開されました。

 ○iPhoneメーカーのApple(AAPL)は(新型コロナ対策に関連して)血中酸素のレベルを測定できるApple Watch(Series 6)などの新製品を発表しました。

 ○オンライン小売りのAmazon(AMZN)は毎年恒例のプライムデーを、今年は10月13日と14日に開催することを明らかにしました。

 ○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスはダウ平均にクラウドベースの顧客管理プラットフォームを提供するSalesforce.com(CRM)、バイオ医薬品メーカーAmgen(AMGN)、テクノロジー大手Honeywell International(HON)を新たに採用し、エネルギー企業のExxon Mobil(XOM)、医薬品メーカー大手Pfizer(PFE)、防衛・航空宇宙関連機器メーカーRaytheon Technologies(RTX)を除外しました。

●注目点

 ○2020年9月までの会計年度における米国政府の債務残高(26兆7000億ドルと推定)は、1940年代以降で初めて米国全体の経済規模(22兆3000億ドルと推定)を上回る見通しです。議会予算局は2020年度の米国の財政赤字が3兆3000億ドル(2019年は1兆200億ドル)になると発表しました。

 ○ニューヨーク市のディスカウント店Century 21は、経営破綻したBrooks Brothers、J.C. Penney、J. Crew、Neiman Marcus、ニューヨークに本拠を置くLord & Taylor(1826年ニューヨークで操業開始)に続き、新型コロナを理由として、破産法の適用を申請することを明らかにしました(全13店を閉店)。

  ⇒60万人の会員を有するフィットネスクラブのTown Sports International(CLUB)は新型コロナを理由として、破産法による保護の申し立ての適用を申請しました。ライバル企業であるGold’s Gymは5月に、24 Hour Fitnessは6月にそれぞれ破産法の適用を申請しています。

●利回り、金利、コモディティ

 ○米国10年国債利回りは8月末の0.71%から0.68%に低下して月を終えました(2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは8月末の1.48%から1.46%に低下して月末を迎えました(同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは8月末の1ポンド=1.3365ドルから1.2907ドルに下落し(同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは8月末の1ユーロ=1.1938ドルから1.1727ドルに下落しました(同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は8月末の1ドル=105.86円から105.47円に上昇し(同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は8月末の1ドル=6.8487元から6.7908元に上昇して月を終えました(同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○原油価格は8月末の1バレル=42.82ドルから39.88ドルに下落して月を終えました(同61.21ドル、同45.81ドル、同60.09ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は、8月末の1ガロン=2.311ドルから2.259ドルに下落して月末を迎えました(同2.658ドル、同2.358ドル、同2.589ドル)。

 ○金価格は8月末の1トロイオンス=1972.70ドルから下落して1900ドルを割り込み、最終的に1892.20ドルで月の取引を終えました(同1520.00ドル、同1284.70ドル、同1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は8月末の26.41から26.35に低下して月末を迎えました。月中の最高は38.28、最低は24.84でした(同13.78、同16.12、同11.05)。

●世界の株式市場

 ○世界の株式市場は、経済活動再開の鈍化と再閉鎖の拡大を受けて、幅広く下落しました。9月は50市場中11市場が上昇し、50市場中42市場が上昇した8月と7月から減少しました(6月は45市場が上昇)。米国市場は9月にグローバル市場をアンダーパフォームしましたが、米国市場が7月と8月にグローバル市場をアウトパフォームしたことがその要因の1つと思われます(S&P 500指数は9月初旬に最高値を2回更新しました)。

 ○世界の株式市場は8月に5.94%上昇した後(米国の7.04%上昇を除くと4.57%上昇)、9月に全体で3.24%下落しました(米国の3.83%下落を除くと2.46%の下落)。過去3ヵ月間では世界の株式市場は7.54%上昇(米国の8.64%上昇を除くと6.19%の上昇)、年初来では1.01%下落(米国の3.82%上昇を除くと6.53%下落)しました。過去1年間では7.56%上昇し、米国の12.65%上昇を除くと1.70%の上昇となっています。より長期でも、米国のパフォーマンスが突出しています。過去2年間では、グローバル市場は5.82%上昇しましたが、米国の13.64%上昇を除くと2.76%の下落でした。過去3年間ではグローバル市場は13.75%上昇し、米国の31.20%上昇を除くと3.26%の下落でした。

  ⇒2016年11月8日の米大統領選以降では、グローバル市場は35.34%上昇しましたが、米国の55.44%上昇を除くと15.53%の上昇でした。

※「9月は3.9%下落、新型コロナへの懸念高まる (4)」へ続く

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