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【特集】大塚竜太氏【最高値街道の米株に追随できるか、日本株の行方】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―新型コロナ警戒で上値重い展開、上値追いの条件とは―

 週明け5日の東京株式市場は日経平均株価が反落に転じた。米国株市場が主要3指数ともに史上最高値を更新しているにもかかわらず、日本株の弱さが目立つ状況となっている。果たして今後、米株高にキャッチアップする形で日経平均は上昇トレンドを描くことができるのだろうか。先読みに定評のあるベテラン市場関係者2人にここからのマーケット展望と物色の方向性について意見を聞いた。

●「早晩、米株高に追随し3万円台指向に」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 前週末にNYダウもついに過去最高値を更新したが、週明けの東京市場はこの流れを引き継ぐことができなかった。もっとも、米国株市場と比較して東京市場の出遅れが際立っているのは確かだが、早晩リターンリバーサルの買いを呼び込み、この差を縮めていく展開が期待できる。国内では新型コロナウイルスのインド型であるデルタ株の感染拡大が警戒されるほか、足もとワクチンの普及がやや遅滞していることが嫌気されている。これは景気や企業業績の回復シナリオに対する疑念にもつながっているようだ。

 全体のムードを重くしているのは、東京五輪を開催することに伴う変異株を含めた新型コロナの感染拡大懸念だが、それについては悲観的なシナリオを前面に押し出し過ぎているきらいもある。実際に五輪が開催されても対策がしっかりしていれば影響は限定的なものに収めることが可能と思われるし、日本がメダルを獲得すればそれを喜ばない国民はいない。ムードはどこかで変わると思っている。

 今週は8日と9日に予定されるETF分配金捻出を目的とする売りが約8000億円規模に及ぶと試算されているため、積極的な買いが入れにくい状況にあるが、あくまで一過性の下げ要因であり、逆に日経平均が週前半に下値を模索するのであればそこは買い向かって報われるであろう。7月下旬には、企業の4~6月期決算発表が本格化し好決算を評価する流れに変わるのではないか。日経平均の向こう1ヵ月の予想レンジは下値2万8000円前後、上値はフシ目の2万9000円近辺を上に抜け3万円を目指す展開を想定する。

 物色対象としては当面ハイテク株が優位で、高集積化の流れを背景に新たな需要ステージが見込める半導体セクターが有力視される。東京エレクトロン <8035> やSUMCO <3436> などの主力どころをはじめ、今後も幅広い銘柄に投資資金の流入が続きそうだ。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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