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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「厳しいところだが、逆張りも」

株式評論家 富田隆弥

◆新型コロナウイルス(デルタ株)が猛威を振るい、感染者数とともに重症者数が連日で最高を更新している。そして、未曽有の豪雨による大きな被害が各地で生じている。緊急事態宣言の延長(地域拡大)や冷夏になったことを踏まえると、日本経済の先行きに懸念を抱かざるを得ない。

◆そんなこともあり、8月19日の日経平均株価は304円安の2万7281円と下落し、一時2万7255円と1月6日以来の安値を付けた。前日にNYダウが382ドルと続落したほか、後場にトヨタ自動車 <7203>が急落して全体の軟調地合いに拍車を掛けてしまった。

◆その19日に東証1部の値下がり銘柄は1798を数え、TOPIXは1897.19ポイント(-26.78ポイント)とほぼ安値引けとなった。このように厳しい状況にある日本株だが、見方によっては「ここが一番苦しいところ」と受け止めることもできる。

◆日経平均株価は2月16日高値の3万0714円からちょうど6カ月の高値期日を迎え、需給的に厳しいタイミングだ。週足チャートは節目の52週移動平均線(19日時点2万7253円)に差し掛かり、週足RCI(順位相関指数)は13週線が-86%、26週線が-77%と底値圏に集まる。

◆トヨタの下落は、「9月の世界の生産台数を計画比4割減にする」と伝わったからだ。世界的な半導体不足に加え、東南アジアで新型コロナ感染が拡大し部品調達が滞り始めた影響などで生産調整に入るというものだが、トヨタでは「あらかじめ想定していたリスクで、21年度の生産計画(約930万台)は変えない」としている。そして、トヨタといえば、9月末に株式5分割と中間配当(105円予想)がある。それを踏まえるなら、この調整は同社株に注目する好機となる可能性もある。

◆お盆を通過し、日経平均株価は高値期日を明ける。秋は政治の季節でもある。厳しい状況にある日本株だが、目先的にはこの厳しいところを逆張りで打診買いに動いてみるのも一策ではないだろうか。

(8月19日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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