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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「下値支持線を割り込んだ米国株」

株式評論家 富田隆弥

日経平均株価は11月10日まで4日続落し、11日には一時2万9040円まで下げたが、10月6日安値から引く下値支持線(2万9050円近辺)にタッチし、25日移動平均線や200日移動平均線、75日移動平均線の集まる2万8000円台入りを目前にして下げ止まった。厚い節目である2万9000円近辺を下値支持として下げ止まる動きは悪くなく、戻り歩調は未だ継続中といえる。

◆ただし、最高値を更新していた米国株が調整を見せていることには、少し注意を要する。NYダウは11月8日高値の3万6565ドルをピークに続落(10日終値3万6079ドル)、日足は10月1日安値から引く下値支持線を割り込んだ。S&P500指数は8日まで8連騰を演じた後に続落(同4646ポイント)、ナスダックも11連騰を演じた後に続落(同1万5622ポイント)して、どちらも下値支持線を割り込んでいる。

◆下値支持線を割り込むチャートは、「調整第1信号」である。米国株は10月序盤の安値から上昇を1カ月続け、日足のRCI(順位相関指数)などテクニカル指標に過熱感が漂っていたのでスピード調整は当然だろう。だが、11月3日のFOMC(連邦公開市場委員会)では量的緩和の縮小開始が決まった。10日発表の消費者物価指数は+6.2%(前年同期比)と31年ぶりの伸びとなりインフレ懸念を強めている。このような状況での下値支持線割れは侮れず、スピード調整では済まずに、ズルズルと調整を深めてしまう可能性もある。

◆世界の余剰マネーが米国に流れ込み、ドル(為替)や商品(CRB指数)も上昇を見せていたが、ここにきてその動きにも変調がうかがえる。テスラ<TSLA>も高値を付けた後に急落した。プロも個人も皆が“適温相場”に慣れて安心し切っているが、米国株が調整を深めるのならば、日本株の戻り歩調も怪しくなる。下値支持線を割った米国株の動向を注視したい。

(11月11日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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