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【特集】「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (15)売買戦略は株価のトレンドに合わせて立てる流れ

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆長短の移動平均線が指し示すトレンドの行方

 株探の各ページの最上部にある「日経平均」のチャートのアイコン、または右カラムにある「日経平均」のチャートをクリックして、日経平均株価の「多機能チャート」のページを表示してください。チャートが表示されたら、トレンドフォロー戦略を実践するために、まずは株価の動き、つまりトレンドの方向をしっかりと確認しましょう。

 株価のトレンドは基本的に、「上昇トレンド」「下降トレンド」「横ばいトレンド」の3つに分けられます。なぜ、このいずれかに当てはめるのかと言えば、そのトレンドに最適な売買戦略を立てる必要があるからです。今回は明確にトレンドが生じている状態である「上昇トレンド」と「下降トレンド」について見ていきます。

 株価が右肩上がりに推移していく場合は、トレンドは「上昇トレンド」になります。上昇トレンドには「これから株価が上がるから株を買う」という考え方で向き合います。上昇トレンドが生じている際には、トレンドに逆らわずに株を買う取引手法である「順張り」、つまりトレンドフォローが売買戦略の基本であり、一般的には押し目買い戦略で臨むことになります。

 反対に、株価が下落する場合には「下降トレンド」になります。下降トレンドが発生している場合には、2つの戦略があります。その1つは前述した上昇トレンドの場合と同様に、「これから株価が下がるから株を売る」という考え方に基づく順張りのトレンドフォロー戦略であり、トレンドに逆らわずに株を空売りすることが基本となります。

 もう1つが、「逆張り」です。株価は下降トレンドにあっても、一方向に下げ続けるわけではなく、反発をみせることがあります。「逆張り」はトレンドに逆らって株の売買を行う戦略で、下降トレンドではその中で起こる反発の動きを狙うのが基本となります。大きな株価の流れであるトレンドに逆らうことは非合理的に感じられますが、逆張りには逆張りの良さがあるのです。株価が下落する勢いが大きければ大きいほど、反発するリバウンド力も大きくなります。また、トレンド転換時にその反発を早い段階で捉えることができれば、得られる果実は大きくなります。

 ただし、下降トレンドが続く中では、一般にその反発力は長続きしません。結局、株価の方向性に合った戦略を立てて売買しないと、自分が想定した方向とは逆に株価が動き、その動きに一喜一憂してしまう結果となるのです。逆張り投資を否定するものではありませんが、その際にもトレンドの方向性はしっかりと把握しておくべきでしょう。

 株価の方向性を分析する方法はいろいろありますが、株探では簡単に株価のトレンドを把握できる方法があります。それは、チャート上の設定項目「指標エリア1」に用意されている移動平均線を使い分ける方法です。「指標エリア1」では「5日線・25日線・75日線」と「25日線・75日線・200日線」の2つの組み合わせの移動平均線が選べるようになっていますので、この2種類の移動平均線の組み合わせを使い分けてトレンドを分析しましょう。

 まずは「5日線・25日線・75日線」の移動平均線を選んで表示させます。すると、日経平均株価の日足に表示されるそれぞれの移動平均線が、2020年3月以降は上昇を継続していることがわかります。そして、21年4月頃からは横ばいで推移し始め、上昇トレンドに陰りが生じていることがわかります。株価も21年春頃から2万7000円~3万円のゾーンで横ばいに推移していることが確認できます。


●図1 日経平均株価日足(5日・25日・75日移動平均線)
【タイトル】

 次に、「25日線・75日線・200日線」の移動平均線を選んでみましょう。すると、長期の移動平均線である200日移動平均線は21年の終わりが近づくまでずっと上昇トレンドを継続していることがわかります。

●図2 日経平均株価日足(25日・75日・200日移動平均線)
【タイトル】

 2種類の移動平均線の使い分けでわかることは、日経平均株価は20年3月以降、21年春頃までは短期線も長期線も上昇を続けていたこと、そして長期線はさらに上昇を継続していましたが、11月頃からはその長期線の上昇にも変化が見え始めているということです。つまり、20年3月以降は順張りの一手で買い上がればよかったのですが、21年11月頃からは「順張りの一手で買い上がってもよいのか?」と判断を見直すことも必要になってきたと考えることができます。

 日本の株式市場は米国の株式市場に連動しやすい側面がありますから、米国市場が強ければ順張りの一手が続くのかもしれません。しかし、今後もこれまでと同じような売買戦略を安易にとってよいのかを考えるべき時に来ているのかもしれない、ということが移動平均線の動きからは読み取れるのです。

 やっぱり株式投資は儲かるから楽しく続けられるのであって、誰も損をしたくはありません。できるだけ損をしないためには、株価の方向性に適した売買戦略を立てなければなりません。前回は2回にわたって200日移動平均線にフォーカスして「グランビルの法則」を解説しましたが、より精度を高めるためには株価のトレンドに合わせてグランビルの法則を使って売買タイミング、そして売買戦略を考えていくとよいでしょう。

 


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