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【特集】ウクライナ危機で穀物相場高騰、「農業関連株」に再評価の芽膨らむ <株探トップ特集>

ウクライナ情勢の悪化を受けて穀物相場が高騰している。こうしたなか、市場で関心を集めているのが穀物ETFで、また輸入価格への影響が懸念されるなか農業関連株も注目されつつある。

―懸念される輸入価格への影響、食料の安定供給に寄与する銘柄に注目―

 ロシアによるウクライナ各地への攻撃が激化するなか、世界景気の先行き懸念から投資家のリスク回避姿勢が続いている。前日の欧米市場では主要株価指数が下落し、この日の東京市場では日経平均株価の下げ幅が一時500円を超えた。一方で、小麦をはじめとした穀物相場が高騰している。ロシアは世界最大の小麦輸出国であるほか、ウクライナは小麦やトウモロコシなど幅広い農産物を供給しており、供給網の混乱で輸出停滞が長引くことが警戒されているためだ。欧米などがロシアの大手銀行を国際決済網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から締め出す方針を打ち出すなど、ロシアへの制裁が強化されていることから穀物相場の先高観は強い。世界の食料価格は人口増加や生活水準の向上などを背景に上昇基調にあり、農業に関連する企業の存在感が一段と高まっている。

●小麦先物は約14年ぶり高値

 国際指標の米シカゴ商品取引所の小麦先物5月物は、前日1日に1ブッシェル=9.84ドルと中心限月物終値ベースで2008年4月以来、約14年ぶりの高値をつけた。また、トウモロコシ先物や大豆先物も騰勢を強めている。日本は小麦の国内需要の約9割を輸入に頼っているが、そのほとんどを米国、カナダ、オーストラリアから調達している。ただ、ロシアやウクライナから輸入している需要国が軍事衝突で買えなくなれば、他の国からの調達に切り替えることで相場が更に高騰し、日本の輸入価格に影響を及ぼす恐れがある。

 輸入小麦は日本政府が買い付け、国内の製粉会社に売り渡す仕組みとなっており、売り渡し価格は国際相場や為替相場などを考慮して年2回(4月と10月)改定される。前回の昨年10月には売り渡し価格が引き上げられ、ニップン <2001> 、日清製粉グループ本社 <2002> 、昭和産業 <2004> の大手製粉3社は相次いで製品価格を値上げした。足もとの状況を考えれば次回4月の売り渡し価格も引き上げられることが予想され、今後の動向が注目される。

 穀物相場は当面、神経質な展開が続くとみられ、世界の食料価格に反映されそうだ。国連食糧農業機関(FAO)が2月3日に発表した今年1月の世界食料価格指数(14~16年=100)は、135.7と昨年12月に比べて約1%上昇した。指数は肉類や穀物など主要5品目の国際取引価格から算出され、投資家や企業の注目度が高い。食料輸入コストが一段と上昇する可能性があり、将来にわたって食料の安定供給を確保するためには自給率の向上が不可欠となる。

●求められる農業の効率化

 穀物相場の高騰で関心を集めているのが穀物関連の上場投資信託(ETF)で、この日はWisdomTree 穀物上場投資信託 <1688> [東証E]、WisdomTree 小麦上場投資信託 <1695> [東証E]、WisdomTree とうもろこし上場投資信託 <1696> [東証E]が昨年来高値を更新。WisdomTree 農産物上場投資信託 <1687> [東証E]、WisdomTree 大豆上場投資信託 <1697> [東証E]も上昇した。

 また、自給率の向上には農作物の品種改良や農業の効率化が欠かせないことから、カネコ種苗 <1376> 、サカタのタネ <1377> 、ベルグアース <1383> [JQ]といった種苗株にも注目したい。カネコ種苗の22年5月期第2四半期累計(21年6-11月)の連結営業利益は前年同期比6.2%増の2億6100万円で着地し、サカタのタネは22年5月期通期の連結営業利益予想を従来の73億円から90億円(会計基準変更のため前期との比較なし)に上方修正。ベルグアースは22年10月期通期の連結営業損益を1000万円の黒字(前期は5400万円の赤字)と見込んでいる。

 農薬関連では北興化学工業 <4992> が22年11月期通期の連結営業利益予想を前期比1.2%増の29億円としているほか、クミアイ化学工業 <4996> の22年10月期通期の連結営業利益は前期比6.4%増の90億円となる見通し。農薬・肥料メーカーのOATアグリオ <4979> の22年12月期通期の連結営業利益は前期比8.7%増の21億5500万円が見込まれている。

 このほか、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して超省力・高品質生産を実現するスマート農業の関連株も見逃せない。栽培計画などをクラウド上で管理する「農場物語」を提供するイーサポートリンク <2493> [JQ]、技能の可視化・継承などを支援する農業ICTソリューション「OGAL(オーガル)」を展開するキーウェアソリューションズ <3799> [東証2]、農業ITプラットフォーム「みどりクラウド」を手掛けるセラク <6199> 、デジタル管理された化学的土壌マネジメントによって育てた安心・安全な健康野菜の販売と栽培技術の生産者向け提供を行う農業ICT事業「NCXX FARM(ネクスファーム)」を行うネクスグループ <6634> [JQ]、GNSS(全世界測位システム)技術を駆使した精密農業機器を扱うトプコン <7732> などが挙げられる。

●植物工場関連も要マーク

 農林水産省が1日に発表した食品価格動向調査によると、2月21~23日の野菜小売価格(全国平均)は対象8品目のうち、ハクサイやダイコンなど4品目が前週比で値上がりした。レタスの上昇は一服しているものの、平年に比べれば高水準にあり、植物工場を手掛ける銘柄も要マークだ。

 日本山村硝子 <5210> とJR貨物(東京都渋谷区)は1月、昨年9月に設立した合弁会社「山村JR貨物きらベジステーション」が福井県おおい町に植物工場を新設すると発表した。TBグループ <6775> [東証2]は昨年12月に使用済みLEDサイネージを再利用した植物栽培システムの実証に成功したことを明らかにしているほか、大和ハウス工業 <1925> と三協立山 <5932> は昨年11月に共同開発した植物工場システム「agri-cube ID(アグリキューブ・アイディー)」の初の導入企業が決定したと発表している。

 これ以外では、施設園芸や植物工場の水耕栽培で使用される培養液向けにプラズマ殺菌技術を確立している西松建設 <1820> 、完全人工光型植物工場を展開する大氣社 <1979> 、グループ会社が植物工場の設計・施工を手掛ける東洋紡 <3101> 、業務用市場に向けて完全閉鎖型の植物工場で生産した安全性の高い野菜を出荷しているレスターホールディングス <3156> のビジネス機会も広がりそうだ。

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