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【特集】佐藤正和氏【さまよう東京市場、流れ変わるか6月相場の展望】(2) <相場観特集>

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

―米金融引き締めで強弱観対立、日本株と為替動向を読む―

 週明け23日の東京株式市場は日経平均株価が続伸し、2万7000円台を回復した。買い一巡後は上値も重くなったが、下値では根強い買いが観測される。今週末が権利付き最終日となり、来週から実質6月相場入りとなる。果たして6月相場はどのような波動を形成するのか。また、ドル・円相場の動向も気になるところだ。株式市場の見通しについては東洋証券の大塚竜太氏に、外国為替市場の動向については外為オンラインの佐藤正和氏にそれぞれ話を聞いた。

●「米景気後退を意識しドル安試す展開も」

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

 ドル円相場は、今月初旬に1ドル=131円台のドル高・円安水準をつけたが、足もとでは一時127円台前半まで売られるなど、ドルの上値は重くなってきている。

 米長期金利は一時3.2%台まで上昇したが、先週末には2.78%前後へ低下している。この米長期金利低下の要因としては、米国株が下落するなか、投資資金が米債券市場に移り、債券が買われたことがあるだろう。更に、米国株の下落要因には、株価が米国の景気後退を警戒し始めたことがあるとみられる。米連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレ阻止を優先するなか、米国の景気悪化もやむなしの姿勢に傾いているようだ。

 来月14~15日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)と7月FOMCはともに0.5%の利上げが実施される見通しであり、すでに市場には織り込まれている。ただ、9月のFOMCが0.25%の利上げにとどまるか、あるいは0.5%の利上げとなるかは今後の動向次第だろう。今後の展開をみるうえで今月27日発表の米4月個人消費支出(PCE)デフレーターや景気関連指標は高い関心を集めそうだ。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度のドル円相場は1ドル=125~131円前後を想定している。トレンドはドル安・円高を見込む。足もとで127円00銭近辺が抵抗線となっており、ここを割り込めば125円を意識する展開も想定される。ユーロは1ユーロ=1.03~1.08ドル前後をみている。7月にも欧州中央銀行(ECB)の利上げが予想される一方、ウクライナ危機の影響で景気悪化も見込まれるものの、当面はユーロ高の基調となりそうだ。ユーロ円は1ユーロ=130~138円前後のレンジ相場が続きそうだ。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。

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