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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「もたつく日本株、放れ足に従う」

株式評論家 富田隆弥

◆米消費者物価指数(CPI)が発表された13日、NYダウは朝方に2万8660ドルまで突っ込み年初安値を更新したが、終値は前日比827ドル高の3万0038ドルと大きく切り返し、長い陽線で包み足を描いた。18日には3万0837ドルに上値を伸ばし、25日移動平均線と10月5日高値の3万0454ドルを上回り、日足チャートは「好転信号」を灯した。

◆一方、日経平均株価は19日に2万7371円の高値をつけて25日移動平均線に続き200日線を上抜いたが、チャート上のポイントである6日高値の2万7399円をまだ抜けずにいる。NYダウが好転信号を灯しただけに、日経平均株価も6日高値を突破する可能性は十分にある。

◆日足チャートは10月3日安値の2万5621円から下値を切り上げる一方で、75日線が上値抵抗として機能する形で三角保ち合いを描いている。6日高値、75日線を突破して好転信号を灯すなら、7月の上昇時と同じように上放れ相場への期待が膨らむ。

◆だが、20日現在、日経平均株価はまだ好転信号を確認していない。もたつく背景には何かしらの理由があり、1ドル=150円台に乗せた円安加速はその一つだろう。円安はハイテクや自動車など輸出企業には為替差益をもたらし、インバウンド関連企業には訪日客増加につながりプラスに働く。しかし、日本経済全体としては輸入コスト増による物価上昇の影響が大きく、現在の円安は「悪い円安」の域にあると言える。

◆円安に伴い「ドル建て」で見た日経平均株価は年初来の安値圏にある。外国人投資家にとっても円安は日本株の魅力を損なわせて、積極的な買いを阻んでいることは否めない。

◆さて、中国共産党大会が22日で終わる。これまでおとなしかった中国政府が動き出す可能性がある。日本にとってプラスになる動きならよいが、11月8日に米国では中間選挙があるので少し注意が必要か。いずれにせよ、日経平均株価は三角保ち合いからの放れ足が焦点になる

(10月20日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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