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【市況】米国株式市場見通し:FOMC議事要旨やPCEコアデフレータに注目


 

引き続き景気やインフレ動向を巡る不透明感から、レンジ内で神経質な商状が続くだろう。同時に、FRBのターミナルレート(政策金利の最終到達点)上昇の思惑が上値を抑制しそうだ。最近の良好な経済、雇用関連の指標に加えて、インフレの鈍化ペースが想定以上に遅く、FRBや市場が考えていた以上の水準への利上げが必要になるとの思惑が強まりつつある。来週はFRBが特にインフレ指標として注目している1月の個人消費支出(PCE)コアデフレータに注目だ。また、FRBは1月31日から2月1日開催分のFOMC議事録を公表するが、今後の利上げ軌道を判断するためにも重要になる。ほか、経済状況を判断するために小売り決算にも注目したい。

FRBは前回会合で市場の予想通り、インフレ鈍化を受けて利上げペースを12月からさらに縮小し、0.25ptの利上げを決定した。会合後の会見で、パウエル議長はディスインフレの初期の兆候が見られると、金融引き締めサイクルに入って初めてディスインフレに言及したため、利上げ停止を期待した買いが相場を押し上げた。一方、議長は仮に雇用の強さが持続した場合、ピーク金利を引き上げる可能性にも言及。また、本年の投票権はないが、クリーブランド連銀のメスター総裁やセントルイス連銀のブラード総裁が前回の会合で0.25ptではなく0.50ptの利上げを支持していたことを表明。ブラード総裁はさらに3月会合でも0.50ptの利上げの可能性を除外しないとも述べており、議事要旨ではインフレや金利見通しに関しての議論に特に注目したい。利上げペースを再び加速させる選択肢が残された場合は、売り材料になるだろう。

主要企業は利益率の低下を受けて、特に金融やハイテクセクターで人員削減計画が発表されている。しかし、雇用関連指標では労働市場のひっ迫が緩和している兆候は見られない。指標結果にまだ反映していないとの見方もあるが、一部のセクターでは人手不足が続いており、従業員削減を躊躇している傾向もみられる。1月雇用統計に続いて、週次の新規失業保険申請件数も減少傾向で、20万件割れで推移している。1月のPCEコアデフレータは12月から伸びが鈍化することが予想されており、インフレ鈍化基調をあらたに証明する見込みだが、万が一、予想を上回った場合には、利上げ長期化の思惑を一段と強め、さらなる売り圧力になりそうだ。なお、20日はプレジデントデーで休場となる。

経済指標では、2月S&Pグローバル製造業PMI、1月中古住宅販売(21日)、1月シカゴ連銀全米活動指数、10-12月期GDP改定値、週次新規失業保険申請件数(23日)、1月個人所得・支出、PCEコアデフレータ、1月新築住宅販売件数、ミシガン大消費者信頼感指数(24日)、などが発表予定。また、FRBは22日に、1月31日から2月1日開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を公表する。ほか、先進20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議がインドで23日から24日にかけて開催される予定となっている。

主要企業決算では、ホームセンター運営会社のホーム・デポ、ディスカウント小売りのウォルマート(21日)、Eコマースのイーベイ、半導体関連のエヌビディア、ディスカウント衣料小売りのTJX(22日)、デジタル決済会社のブロック、オンライン旅行サイト運営のブッキング、バイオのモデルナ、メディアのワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー(23日)、などが予定されている。小売り関連のウォルマート、TJX、ホーム・デポなどの決算結果や見通しで消費動向を見極めたい。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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