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【市況】明日の株式相場に向けて=好決算銘柄からチャート妙味株を探す

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(14日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比260円安の3万7703円と4日ぶり反落。前日の米国株市場が久しぶりに荒れ模様となったことで、きょうは向かい風の強いなか取引開始となった東京市場だったが、思いのほか下値は頑強だった。市場では「米国ではFRBの年内利下げはほぼ確定的で、大きく後ずれする可能性も低く、足もとの経済指標に一喜一憂する段階は過ぎている」(ネット証券アナリスト)という声はあったものの、いざフタを開けてみると今回の1月の米消費者物価指数(CPI)は想定外の強い数字で、マーケットは慌てた感じとなった。NYダウは一時700ドル以上下落する場面もあり、前日に1000円超の上昇という一発免停並みのスピード違反をみせていた日経平均は、さすがにきょうはその反動による急反落が予想された。ところが、AI半導体関連株への実需買いの動きは止まらない。これが全体を下支える形となり、結局0.7%安で着地するというのは、嬉しい誤算ともいえた。

 個別株では内需の消費関連の一角にも強い動きがみられる。インバウンド特需に加え製品値上げも消費者にすんなり受け入れられるとあっては追い風が強い。ラーメン専門店「一風堂」を展開する力の源ホールディングス<3561>は4~12月期の好決算を評価され大幅高となり、今年に入ってからの高値を更新した。コンビニ業界も好調で、大手ではセブン&アイ・ホールディングス<3382>などの株価トレンドの強さが目を引く。

 また、スイーツ人気も定着しており、バレンタイン商戦は終了してもチョコレート人気は雲散する気配なし。このチョコレートの原料であるカカオ豆や砂糖の先物価格が高騰していることが話題となっており、高水準の需要を背景に強気の値上げが罷り通るとなれば、製糖株に物色の矛先が向くのは分かりやすいシナリオである。

 そのなか、昨年12月中旬を境に週足で9連続陽線と派手な上昇パフォーマンスを演じているのが東洋精糖<2107>だ。24年3月期営業利益は前期比ほぼ倍増の9億円を見込むが、PER10倍で今期年間配当115円を計画し、配当利回りが4.5%と非常に高い点に着目。信用買い残も枯れ切った状態で株式需給面も軽い。東洋糖は業態こそ違うものの住石ホールディングス<1514>の昇龍トレンドを彷彿とさせるような足で、今後の展開に興味が湧く銘柄だ。このほか、製糖業界最大手のDM三井製糖ホールディングス<2109>や、三菱系で仕手化素地を内包する塩水港精糖<2112>なども面白い存在といえる。塩水糖は今期業績回復色が鮮烈でなおかつPER・PBRが超割安圏にあり、貸株注意喚起銘柄ということを考慮しても300円近辺は依然値ごろ感が漂う。

 個別株は決算発表がきょうで概ね一巡する。決算発表前後は乱気流が発生しやすく、好決算が期待される銘柄でも基本的に近寄らない方が賢明だ。それまでの株価との兼ね合いで、コンセンサス未達であれば大きく売り叩かれる。また、期待通りでも出尽くし売りというケースもあるため、先取りで買うというコンセプト自体が好んでリスクに突っ込んでいくような要素をはらんでいる。しかし、決算通過後に一呼吸おいて、チャートを見ながら好決算銘柄を選別するのは投資行動として有効性が高い。

 3月期決算企業の中で、第3四半期決算発表と合わせ通期見通し上方修正を行った銘柄などは分かりやすいターゲットとなるが、その中でチャート妙味のある銘柄に注目。コンストラクションマネジメントを展開する明豊ファシリティワークス<1717>、スマートメーターの大崎電気工業<6644>、同じく電力設投関連でEV充電器も手掛ける東光高岳<6617>、医療機器メーカーの大研医器<7775>、そして三菱重工業<7011>を筆頭株主とする異色の総合情報サービス会社である菱友システムズ<4685>などをマークしてみたい。

 あすのスケジュールでは、10~12月期国内総生産(GDP)速報値、12月の鉱工業生産指数確報値など。海外では、フィリピン中銀の政策金利発表のほか、2月のNY連銀製造業景気指数、2月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、1月の米小売売上高、1月の米輸出入物価指数、1月の米鉱工業生産指数・設備稼働率、12月の米企業在庫、2月の全米住宅建設業協会(NAHB)住宅市場指数、12月の対米証券投資、週間の米新規失業保険申請件数などが発表される。なお、米主要企業の決算発表ではアプライド・マテリアルズ<AMAT>の決算にマーケットの関心が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2024年02月14日 18時10分

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