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1723 日本電技

東証S
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時価総額 471億円
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日本電技 Research Memo(2):「計装エンジニアリング」によって高品質な空間を創出


■事業概要

1. 会社概要
日本電技<1723>は、オフィスビルをはじめホテルや病院、工場など大型の非居住用建築物の空調設備を自動制御する空調計装の分野、及び工場の生産ラインや搬送ラインを自動化する産業システムの分野を領域として事業を展開している。主力の空調計装関連事業は、自動制御機器大手であるアズビルの最大手特約店として、また業界の草分け的な存在として、豊富な実績とノウハウを誇る。加えて、同社を含むアズビルグループが大半を握る空調計装市場で、設計から施工、メンテナンスまでを手掛ける「エンジニアリング企業」として強みを発揮している。成長余地の大きい産業システム関連事業では、空調計装やエンジニアリングのノウハウ、子会社ジュピターアドバンスシステムズ(株)の生産管理システムなどをベースに、最適化・省人化によって工場や生産ラインのスマート化を支援するなど付加価値の高い事業を行っている。「計装エンジニアリング」の技術は、高品質な空間の創出や生産効率の向上に寄与するだけでなく、ビルや工場から排出されるCO2を削減することもできるため、脱炭素などサステナブルな社会の実現にも貢献している。


強みは「計装エンジニアリング」
2. 計装エンジニアリング
「計装」とは、ビルや工場において空調や生産ラインなど各種の設備・機械装置を、計測・監視・制御の手法によって自動でコントロールする技術で、快適化・効率化・省力化・省エネ化の実現を目的としている。例えば、ビルの空調計装であれば、「最少のエネルギーで快適な環境を実現する」技術と位置付けられ、温度・湿度・気圧などを計測してその情報を監視し、一定の環境を維持するために機器を制御しながらビル全体の空調をコントロール、快適性や省エネ化を実現している。計装技術は近年、省エネ化に必須の技術として注目され、最新のIoT・AI技術を用いた計測・監視システムが開発されたり、「地域冷暖房」のコア技術として利用されたりするなど進化を続けている。一方「エンジニアリング」とは、部分最適に陥りがちな設備・機械装置を、ユーザーにとって全体最適化する技術を指す。

同社のようにこうした「計装」と「エンジニアリング」の機能を併せ持つ企業は少なく、「計装エンジニアリング」という技術自体が同社の強みだ。このため、不断に高度化するアズビルの新製品を容易に使いこなし、年々複雑化する建物全体の空調をコントロールする対応力は、取り扱い販売店の中でも抜きん出ていると言われている。加えて、業界で最も長いキャリアがあり、施工実績が多岐にわたり、豊富な既設ストックを有していることも、経験工学と言われる計装において大きな強みである。さらに同社は、こうした「計装エンジニアリング」という技術を産業システムの分野へ持ち込んだ。工場の生産設備機器や生産ライン全体を自動化・省力化するうえで、「計装エンジニアリング」という技術は非常に相性が良く、同社にとって肥沃なブルーオーシャンと言える。


事業は主力の空調計装と成長ドライバーの産業システム
3. 事業内容
同社の事業は、主力の空調計装関連事業と産業システム関連事業に大別され、2024年3月期第2四半期の売上高構成比はそれぞれ89.6%、10.4%となっている。

(1) 空調計装関連事業
空調計装関連事業では、熱源制御、空調制御、動力制御、中央監視装置などによって、非居住用建築物の空調自動制御システムをトータルでプロデュースしている。最適な自動制御システムにより快適な空間を実現し、設備・機器の更新提案や建物のエネルギー管理のサポート、省エネ化提案などを行うことで、顧客の建物資産の保全やライフサイクルコストの低減を支援している。空調計装関連事業は、ビルシステム事業とソリューション事業に分けられる。ビルシステム事業は同社の主軸であり、建物の建築時に導入される空調設備のシステム設計から施工、引き渡し前の試運転・調整、引き渡し時の取扱説明までをワンストップで行っている。また、熱供給設備(地域冷暖房プラント)では、エネルギーを供給するための各設備機器の自動制御に関するシステム構築も行っている。ソリューション事業では、建物の完成後、空調設備の保守・保全や設備更新に携わる一方、エネルギー効率や設備の運用状況の改善によって省エネ化・省コスト化をサポートしている。

(2) 産業システム関連事業
産業システム関連事業は工場全体の自動化・省人化が事業領域で、「計装エンジニアリング」技術を背景に、小規模工場から大規模工場までの生産プロセス(生産工程)や搬送ラインにおいて、計測機器やロボットなどをセットアップし、自動制御するシステムを構築するサービスを提供している。具体的には、1) 電気計装工事のほか特殊仕様のユーティリティ設備(冷温水、蒸気、圧縮空気など)における自動化・省人化、2) 安全性の確保や仕分け作業の精度・効率向上などのサポート、3) 箱詰め・検査・荷捌といった人手のかかる工程におけるロボット導入などによる生産性の向上、4) 人が介在しないことによる安心・安全(フードディフェンス)の確保など、人手を多く使う食品や医薬品を中心に製造現場が抱える様々な課題に応えることで、顧客のバリューチェーンの最適化を支援している。まさに工場のスマートファクトリー化をサポートする事業であり、市場は大きく広がり始めた。同社では、この市場を取り込むために事業部を新設し、AIやIoT、クラウドといった最新技術を積極的に活用することで付加価値の高いサービスを開発し、展示会出展による知名度向上やプラントメーカーとの連携による客層拡大などを進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《HH》

 提供:フィスコ

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