明日の株式相場に向けて=「ホルムズ逆封鎖」も下値模索回避、機械株の上昇波動に注目
13日の日本株は、米国とイランの停戦交渉の決裂というバッドニュースを真っ先に消化することとなったが、下値模索の動きには至らず、TOPIXはプラス圏に浮上する場面があった。ホルムズ海峡の封鎖というカードを手にしたイランが、米国による同海峡の即時開放というストレートな要求をそのまま受け入れることなど、そもそも無理筋の話である。トランプ米大統領がすかさず米軍によるホルムズ海峡の「逆封鎖」を表明したことは少なからずサプライズ感をもたらし、早朝のシカゴ市場で日経平均先物6月限は一時5万6000円を割り込んだものの、東京市場の日中取引において現物指数は終始5万6000円台を維持した。
トランプ米大統領は米メディアとのインタビューで、「イランは再び交渉のテーブルに戻ってくる」との認識も示している。短時間で大統領側から硬軟両様の言動が伝わるとなると、TACO(トランプ氏はいつも怖気づくとの英文の頭文字による造語)トレードの旨味を占めてきた株式市場の参加者は身動きが取れなくなってしまう。対照的に米原油相場はビビットに反応し、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物は一時1バレル=105ドル台に急伸。原油高によるインフレ懸念がくすぶるなかで、日銀の早期利上げ観測も相まって、日本の長期金利は一時2.490%に急上昇(債券価格は急落)した。1998年に当時の大蔵省・資金運用部による国債買い入れの停止観測を機に金利が急騰した「運用部ショック」時を上回り、約29年ぶりの高水準をつけるに至った。
ドル円をみると1ドル=159円後半とドル高・円安に振れており、結果的には株・債券・為替のトリプル安の様相を呈している。ホルムズ海峡封鎖と円安に起因する原油高は、政府に対する物価高対策の圧力を強め、日本の財政を更に悪化させることにつながる。日経平均はきょうの下げ幅だけみれば「軟着陸」となったが、市場では「原油高を背景とする世界的なインフレ圧力を軽視すべきではない。米国の個人消費への悪影響が顕在化する恐れもあり、その意味で今の市場は楽観に傾斜しすぎている」(アナリスト)との見方も出ている。ボラティリティの高まった相場環境でリスク管理の徹底が求められることは言うまでもない。
とはいえ、ここにきて好材料株に対して果敢に買い向かう投資家の姿勢が目立つようになったのも確かである。その証左と言えるのが、前週末10日引け後に27年2月期が4期ぶりの営業増益となる見通しを示した安川電機<6506>であり、同社株は7%高で取引を終えることとなった。これに触発されたかのように、菊池製作所<3444>やヒーハイスト<6433>といったフィジカルAI関連株が急騰劇を演じた。
機械メーカーの業績に関して言えば、半導体関連以外に、外需の拡大も追い風となると期待されている。日本工作機械工業会が9日に発表した3月の受注額の速報値は前年同月比28%増で、このうち外需は40.4%増と高い伸びを示している。「防衛関連や半導体関連に比べ、設備投資関連は注目度がそれほど高まっていたわけでなく、好業績が期待できる銘柄に対して見直し機運が一段と高まることが予想される」(ストラテジスト)との声もあり、セクター内での循環物色により機械株が水準訂正を続けられるか、注視されることになりそうだ。
工作機械関連ではDMG森精機<6141>やオークマ<6103>が戻り足を鮮明にしている。放電加工機のソディック<6143>は6営業日連続陽線が出現し足もと過熱感が高まった状態にあるものの、PBR(株価純資産倍率)は0.8倍台にとどまっている。プレス機世界大手のアイダエンジニアリング<6118>のPBRは0.7倍台で、フィジカルAI領域での展開を巡る期待も高まっている。構造改革の一巡により収益性の回復が見込まれるJUKI<6440>や、プリント基板向けプレス機の北川精機<6327>なども上値指向を示している。もっとも、日経平均の日足チャートは戻り高値において前営業日の陽線のローソク足の実体に陰線が包まれる「はらみ線」を形成し、短期的には全体相場の調整が意識されるところでもある。押し目買いスタンスを前提として関連株に目配りをしておきたい。
あすは国内では2月鉱工業生産の確報値と設備稼働率が公表される予定。財務省が20年国債入札を実施する。海外では3月の中国貿易収支や米生産者物価指数の発表が控える。また、IMF(国際通貨基金)が世界経済見通しを公表する。タイとインド市場は休場だ。(長田善行)
株探ニュース