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CAICAD Research Memo(5):2023年10月期は「金融サービス事業」の赤字幅が拡大

特集
2024年1月26日 13時05分

■決算概要

1. 2023年10月期決算の概要

CAICA DIGITAL<2315>の2023年10月期の連結業績は、売上高が前期比16.0%減の5,408百万円、営業損失が2,378百万円(前期は1,389百万円の損失)、経常損失が2,560百万円(同1,395百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が3,889百万円(同6,244百万円の損失)と、暗号資産市場全体の取引高低迷に伴う「金融サービス事業」の落ち込みにより、各段階利益ともにマイナス着地となった。

売上高は、好調な受注環境を背景として「ITサービス事業」が堅調に推移した。一方、「金融サービス事業」については、前期から続く暗号資産市場の低迷が足かせとなり、業績の足を引っ張る状況から抜け出すことができなかった。

利益面でも、「ITサービス事業」の安定した収益貢献に加え、「Zaif」における構造改革(経費圧縮等)を進めたものの、「金融サービス事業」の赤字体質を補うことはできず営業損失が拡大した。また、連結子会社3社の譲渡に伴って、関係会社整理損(1,493百万円)を特別損失に計上した。

財政状態についても連結子会社3社の譲渡により大きく変化した。特に「Zaif」の連結除外により、預託金の減少や「利用者暗号資産」といった暗号資産交換所特有の勘定科目が減少したことで、総資産は前期末比95.0%減の2,971百万円に大きく縮小した。一方、自己資本も最終損失の計上により同55.5%減の2,176百万円に減少したものの、総資産の縮小幅が大きかったことから、自己資本比率は73.2%(前期末は8.3%)に大きく改善した(Zaif連結化前の水準に戻った)。なお、連結子会社3社の株式譲渡に伴う債権債務の整理により、長期貸付金(合計1,461百万円)が計上されたものの、同等の貸倒引当金の計上により貸し倒れリスクはカバーされているようだ。

各事業別の業績及び活動実績は以下のとおりである。

(1) ITサービス事業

売上高(内部取引を含む)は前期比6.0%増の5,553百万円、セグメント利益は同46.9%減の412百万円と増収減益となった。金融機関向けのシステム開発分野が安定的に伸びており、とりわけ一次請けである保険会社向け案件が拡大するとともに、銀行向け案件も好調であった。特に銀行向けについては、従来からの開発案件に加え、AIを活用したローコード、ノーコード事業など、ソリューション製品を駆使した先端事業プロジェクトなども貢献したようだ。非金融向けシステム開発分野についても、事業拡大に向けたIT投資意欲は依然継続しており、大手Slerなどからの受注は堅調に推移した。これまでやや低調であった新規受注についても、大手電力会社等からの引き合いを獲得するなど回復傾向にある。FinTech関連のシステム開発分野でも、決済系の案件を中心に安定的な受注が獲得できている。一方、利益面で減益となったのは、一部開発案件において、将来を見据えた積極的な受注獲得により、一時的に原価が増加したことが主因である。もっとも、収益性の高い案件があった前期と比べて減益となったものの、高い利益水準を確保できたという見方もできる。活動面では、エンドユーザーのセキュリティリテラシーを向上させるサービス※1の販売開始や、Web3ビジネスに関連するサービス※2の提供開始などで成果を残すことができた。

※1 「CAICA Security Training/標的型メール訓練サービス」

※2 Web3事業に参入する企業を支援する、セミオーダー型NFTマーケットプレイス開発サービス及び「Web3型のデータ保管サービス」

(2) 金融サービス事業

売上高(内部取引を含む)はマイナス133百万円(前期は1,373百万円)、セグメント損失は2,407百万円(前期は1,828百万円の損失)と売上高はマイナスとなり、損失幅も拡大した。前期から続く暗号資産市場の低迷や構造改革の影響により、1) カイカ証券、2) カイカエクスチェンジ、3) カイカキャピタルの子会社3社がそろって低調に推移した。1) カイカ証券は、海外の大手暗号資産交換所の経営破綻などを発端とする暗号資産相場の乱調をはじめ、デリバティブ派生商品に対する投資家の意欲の衰退など外部環境を考慮し、第一種金融商品取引業と投資運用業の廃止を決定するとともに、2023年11月30日付で廃業となった。2) カイカエクスチェンジについても、暗号資産市場全体の取引量が低迷している影響を受け、「Zaif」における受け入れ手数料・暗号資産売買ともに大幅に減少した。3) カイカキャピタルでは、暗号資産の価格の推移を見極め、慎重にトレーディングを行ったものの、保有する暗号資産の評価損を計上する結果となった。

2. 2023年10月期の総括

2023年10月期を総括すると、「Zaif」を含む連結子会社3社の譲渡により、これまで業績の足を引っ張ってきた「金融サービス事業」の抜本的な再編に踏み切ったことが最大のポイントと言える。特に戦略的に取り組んできた「Zaif」については、多額の投資に加え、営業キャッシュ・フローの大幅なマイナスを負担してきたが、収穫期に至る前に格安な条件で譲渡せざるを得なかったことは痛恨の極みと言わざるを得ない。もちろん、営業キャッシュ・フローの赤字継続等により、継続企業の前提に関する事項を注記するとともに、「Zaif」においても財務健全性指標の維持に向けて資本増強の必要性が高まっていたことを勘案すれば、今回の決断はやむを得なく、むしろ限られた選択肢と時間の中で最善の策を講じたとの見方もできる。また、今後に目を向ければ、「金融サービス事業」の再編効果により業績やキャッシュ・フローが格段に改善されるほか、好調な受注環境が継続している「ITサービス事業」への集中や、ポテンシャルの大きなWeb3ビジネスの拡大を目指すうえでも、一旦身軽になることには大きな意義があると捉えている。一方、Web3ビジネスとの親和性が高く将来的な収益源として期待していた「Zaif」を手放すことは戦略遂行上のマイナス面も想定されるが、従前より協業関係にあるクシムへの譲渡及び業務提携等を通じて、引き続き戦略的な連携を図ることができる体制となっているところは特筆すべきポイントと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《HH》

提供:フィスコ

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