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MRO Research Memo(1):2023年12月期は、売上高・営業利益ともに前期比2ケタ成長を達成

特集
2024年3月1日 14時01分

■要約

MonotaRO<3064>は、大阪府大阪市※に本社を置く、間接資材のインターネット通販会社である。間接資材は、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など品目が多種にわたり、業種により個別性が高い。間接資材の市場規模は5~10兆円で、主な販売チャネルは訪問工具商・金物屋・自動車部品商などであり、特にインターネット通販チャネルの成長性は高い。同業他社には、アスクル<2678>、ミスミグループ本社<9962>、アマゾンジャパン(同)などがある。

※2023年11月、本社を兵庫県尼崎市から大阪市北区「JPタワー大阪」に移転した。今後、業務効率化と生産性向上をさらに推し進めるとともに、社員相互のコミュニケーションを活性化させ、さらなる成長を図ることを目的とした移転である。そのため、1フロアが約4,000平方メートルの広さを生かし、一人ひとりの社員がクリエイティブなアイデアを自由に出し合い、セレンディピティを高めて協創を生み出せるようなスペースと打合せブースを多く設けている。

同社のビジネスモデルの特徴は、同一の価格で間接資材を販売するという点である。不透明な価格での購入を強いられることが多かった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。近年は大企業との連携による購買管理システム事業も急成長している。2023年12月末現在で9,106千口座の顧客に対して2,200万点を超えるアイテムを取り扱い、55.9万点を自社センターに在庫する。ロングテールの圧倒的な品揃え、コストパフォーマンスに優れるPB商品、サイトでの商品推薦や短いリードタイムなど、同社の間接資材プラットフォームは他社と差別化されており、2ケタ以上の高い成長を継続している。加えて、ROE27.5%(2023年12月期)、自己資本比率67.3%(2023年12月末)と、収益性・安全性ともに際立つ業績である。また同社は2024年1月1日をもって、新しい代表執行役社長に常務執行役の田村咲耶(たむらさくや)氏が昇格した(戦略・トピックス章にて詳述)。10年以上にわたり同社の成長をけん引してきた前 代表執行役社長の鈴木雅哉(すずきまさや)氏は、代表執行役会長として経営全般・海外分野などを担当する。

1. 2023年12月期の単体業績

2023年12月期単体業績は、売上高は前期比12.3%増の243,352百万円、営業利益は同20.6%増の32,675百万円、当期純利益は同15.9%増の22,072百万円となり、2ケタ成長を継続した。しかし、2022年12月期の特需(半導体関連、新型コロナウイルス感染症関連など)の反動減を計画に十分織り込めていなかったため、売上高・各利益は計画比で未達となった。この要因として、主力の事業者向けネット通販事業及び購買管理システム事業(大企業連携)において、注文顧客数の減少と注文単価の減少が挙げられ、商品価格の値上げや景気の影響が考えられる。顧客数は前期末比1,100千口座増と堅調に増加し、営業利益は売上総利益の増加により、前期比で20.6%増となった。一方で、売上総利益率は改善したものの、計画比で売上未達により営業利益額は計画を0.9ポイント未達となった。

2. 2024年12月期の連結業績見通し

2024年12月期の連結業績は、売上高は前期比12.7%増の286,570百万円、営業利益は同14.4%増の35,820百万円、経常利益は同13.6%増の35,835百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同15.1%増の25,096百万円と、売上高・各利益ともに10%を超える成長を予想する。

売上高に関しては、前期の増収率(12.5%増)並みの予想で依然として高い成長を見込む。同社の年間計画の予測は、ネット通販事業の登録年度別に想定し、これに新規顧客からの売上を加算して、大企業連携顧客の成長を推測したうえで足し合わせて行っている。ネット通販事業・新規に関しては、1,027千口座(前期は1,100千口座)と前期からやや目標は下がるが、顧客生涯価値(Life Time Value:LTV)がより高い法人は獲得数を増加させる計画である。購買管理システム事業(大企業連携)に関しては、前期比28.3%増と引き続き高成長を続け、売上構成比で31.6%に上る見込みである。ロイヤリティ事業は、欧米Zoro事業が増収に向かうと見ているが、ロイヤリティの受領額は前期比で減少の見込みだ。

売上総利益率は29.7%(前期比0.2ポイント減)と下降に転じる予想である。大企業連携の販売価格の契約見直しによる継続効果が一部あるものの、同事業の売上比率の増加及び円安等が影響する。販管費率は17.2%(前期17.6%)と前期からさらに改善を見込む。箱当たり売上の増大及び猪名川ディストリビューションセンター(以下、DC)の生産性改善などによる業務委託比率減少が主なドライバーである。結果として、営業利益率12.5%(前期比0.2ポイント増)を予想する。弊社では、インフレに伴う価格見直しの効果が一巡し粗利率が低下するものの、猪名川DCの生産性が高まるなど販管費率の改善が期待できると考えている。顧客セグメントごとの分析に基づくマーケティング(後述)の効果は予算に織り込んでおらず、期中に効果が顕在化する可能性がある。

■Key Points

・2023年12月期は、売上高・営業利益ともに前期比2ケタ成長を達成。前期の特需(半導体関連等)の反動減の影響で計画は未達

・2024年12月期連結予想は売上高2,865億円、営業利益358億円。粗利率の減少を見込むも、物流効率改善により増益を目指す

・次の10年の成長を見据えて新社長へバトンタッチ。より精緻なマーケティングを導入し高成長の継続を目指す

・10年以上にわたり増配を続けており、2023年12月期は16.0円(前期比2.5円増)を実施。2024年12月期は19.0円(同3.0円増)を予想

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SI》

提供:フィスコ

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