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RIZAP-G Research Memo(10):SOMPOホールディングスとの資本業務提携

特集
2024年9月12日 13時10分

■成長戦略・トピックス

1. SOMPOホールディングスとの資本業務提携による成長シナリオ

2024年6月7日に、RIZAPグループ<2928>とSOMPOホールディングスは、「誰もがウェルビーイングを実感できる社会を実現」をビジョンに掲げ、資本業務提携を行った。SOMPOホールディングスは3大メガ損保の一角であり、中核となる損保をはじめ生保、介護サービス(居室数業界1位)、健診受診代行などを手掛けている。経常利益で4,880億円(2024年3月期)、従業員数で48,421人(同)の企業グループである。新たな中期経営計画では、「ウェルビーイング」をテーマとして掲げ、健康寿命の延伸に向けた生涯にわたるソリューションの提供に取り組んでいる。同社としては、「健康の社会インフラ化」「ウェルビーイングプラットフォーム」を目指すchocoZAP展開構想を推進しており、この資本業務提携により、その実現のスピードを加速できる意味合いが大きい。

業務提携の内容としては以下の3点である。

1) 両グループが有する経営基盤・商品・サービスを、お客さまが利活用いただく仕組みの構築

2) SOMPOグループの損保、生保、介護事業データとRIZAPグループのライフログ、指導ノウハウを組み合わせ、お客さまのニーズや健康状態に即して提供する新サービスを開発

3) SOMPOグループの保険事業に加えて、介護事業やヘルスケア分野等で、RIZAPの事業活用も含めて協業を促進

資本提携としては、第三者割当による新株式の発行により、SOMPOホールディングスからRIZAPグループに約100億円、RIZAPに200億円の合計約300億円の出資を行った。これにより、同社はchocoZAPの投資資金(量的拡大、品質・顧客満足度の向上)をカバーするとともに、財務基盤が強化された。

短期的には、生損保契約者(約2,500万人)との相互送客による新規会員獲得の加速が期待できる。また、介護施設(400施設以上)や代理店(約4.5万店)との連携による新規出店の加速が考えられる。顧客同意に基づくデータ連携によりヘルスケアデータプラットフォームが構築できれば、パーソナライズ化したデータ活用により、広告事業、医療・介護連携、法人・官民連携など新分野の展開が加速できる。中長期では、健康・医療・介護を繋ぎ、AI/デジタルを活用し、個々人にとって最適なサービスを提供する日本最大規模のヘルスケアデータ基盤(ウェルビーイングプラットフォーム)の実現を目指す。

2. chocoZAP Partners事業(広告事業)が収益貢献開始

同社では、顧客基盤とchocoZAPの店舗という既存リソースを活用して広告事業を開始しており、既に収益化が始まった。100万人を超える会員は大きな資産であり、今後さらに増加するとその価値も上がっていく。1,500を超える店舗には、週に何度かは会員が足を運ぶため、広告主は顧客にサンプルを配ることなどができる。2025年3月期第1四半期には37社の広告主の41万個のサンプルを顧客に配布した。各マシン毎に設置されたタブレットや店舗内のデジタルサイネージでCMを流すことも可能となった。chocoZAP会員には会員情報やアプリを通じてパーソナライズ化した広告展開も可能である。chocoZAP事業はBtoCの顧客基盤だけでなく、BtoBの事業展開でも大きなポテンシャルを持っている。

3. chocoZAP広告表示に関する措置命令

同社(子会社であるRIZAP(株))は、運営するコンビニジム「chocoZAP」の広告表示について、2024年8月に消費者庁より措置命令を受けた。消費者庁が認定した内容は以下の2点である。

1) 2024年3月28日及び同月29日に同社webサイトの表示において、予約を必要とする8つの派生サービスも24時間の内、いつでもまたは好きな時に利用できるような印象を与えたと評価された。また2024年2月16日以降同社が投稿を依頼したインフルエンサーのInstagram内の投稿において、同社webサイトと同様の印象を与えたと評価された。

2) 2024年1月29日以降、同社webサイトで、同社が第三者に対価を提供することを条件に投稿依頼した内容を抜粋するなどして表示したことが、“一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭とは認められない”と評価された。

今回消費者庁から指摘を受けた表示物に関しては、誤認を与える可能性があったことを認め、8月9日時点で該当表示物を削除、修正している。同社は、今回の措置命令を厳粛かつ真摯に受け止め、社員教育のさらなる徹底、掲載前の社内審査など、景品表示法をはじめとするコンプライアンス及び管理体制を強化し、適正な広告表示を遵守し信頼回復に努めるとしている。なお、今回の措置命令は、広告表示に関するものであり、提供している商品・サービスの品質や安全性に関してのものではなく、chocoZAP店舗の営業に影響はでていない。弊社では、業績へのインパクトは軽微と考えているが、ブランドの毀損と回復、課徴金の支払いなどにも注視していく必要がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《HN》

提供:フィスコ

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