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アーバネット Research Memo(2):都心エリアでの投資用ワンルームマンション開発・1棟販売に特化

特集
2024年3月6日 14時52分

■会社概要

1. 会社概要

事業セグメントは、「不動産事業」と「ホテル事業」の2つである。「不動産事業」は、1) 不動産開発販売、2) 不動産仕入販売、3) その他、の3つのサブセグメントに分類される。創業来の主力である1) 不動産開発販売は、投資用ワンルームマンションを中心に、現在は中断しているが分譲用ファミリーマンションも手掛け、土地転売も含まれる。なお、分譲用ファミリーマンションの販売は子会社で行っている。2) 不動産仕入販売は、他社中古分譲マンションの戸別買取再販や不動産仕入販売等を行っている。3) その他は、不動産仲介及び不動産賃貸業等である。なお、安定収益源の確保を目的としてストックビジネスの強化にも取り組んでおり、自社保有の賃貸収益物件は8棟(他にも戸別保有あり)が安定稼働している。「ホテル事業」については、ホテル開発プロジェクト第1号「ホテルアジール東京蒲田」を2020年10月にオープンした。「ホテル事業」の可能性を検討するにあたって、研究開発の一環として取り組んでいる。

投資用ワンルームマンションの販売は、マンション販売会社への1棟販売を基本としており、信頼性が高い販売会社を厳選したうえで緊密な関係を築いている。また、販売手法の多様化を図るため、相続税対策など様々な目的で不動産を購入する国内外の富裕層のほか、優良物件への引き合いが強い不動産ファンドや事業会社などに対する1棟一括直接販売についても積極的に取り組んでいる。

2. 会社沿革

アーバネットコーポレーション<3242>は、一級建築士である現 代表取締役会長兼CEOの服部信治(はっとり しんじ)氏によって1997年7月に設立された。マンション専門の設計事務所に共同経営者として勤務していた服部氏は、自らのデザインによるマンションの企画・開発を行うことを目的として独立した。

設立当初は、企画や設計、コンサルティングを中心に実績を積み上げ、設立3年後の2000年12月に、当初の計画どおり、マンション開発販売事業を投資用ワンルームマンションでスタートした。

投資用ワンルームマンションを主力としたのは、その頃からJリートや不動産ファンドなど、賃貸収益物件への投資事業が拡大し始めたことや、自社開発物件を販売専門会社へ任せる製販分離型の業界構造となっていることが、少人数の経営を目指していた同社にとって参入しやすかったことによる。同社の得意とする設計・開発に特化したことで、入居者ニーズを実現した人気の高い物件を開発できたことに加えて、都内のワンルームマンションに対する需給ギャップ(需要が供給を上回る状況)や個人投資家からのニーズ拡大など、外部環境も同社の成長を後押しして、2007年3月には東証JASDAQ市場への上場を果たした。2008年のリーマンショックによる金融引き締め時には開発物件の凍結を余儀なくされたが、損失を1期に集中させることと、金融機関やゼネコンとの良好な関係を続けることを前提とした徹底的な資産縮小経営計画のもと、資本増強やそれまで保有していなかった販売部門を販売員の新規採用により新設し、他社物件の買取再販事業に全社を挙げて参入したことにより、厳しい環境を乗り切ることができた。その時期に培われた販売ノウハウなどは、現在の中古分譲マンションの買取再販事業や分譲用ファミリーマンションの販売等に生かされている。

さらに2021年12月には、オリックス銀行(株)、(株)メイクスとの協働により、首都圏初(同社調べ)となるZEH仕様マンションの開発に着手し、2023年2月に1号物件が完成した。今後もZEH仕様マンションの開発を継続し、脱炭素社会への貢献と新たな事業機会の創出に取り組んでいく。

2022年9月28日からは社長交代を含む、新しい経営体制へ移行。服部信治氏に代わって田中敦(たなか あつし)氏(前 取締役副社長)が代表取締役社長に、服部氏は代表取締役会長兼CEOに就任した。

3. 企業特長

同社の特長(強み)として、優れたデザイン性や機能性、好立地へのこだわりによる差別化、気候変動対策や社会貢献活動を通じた商品価値の向上、アウトソーシングを最大限に利用した少人数体制により固定費を圧縮する効率的な経営などがある。

(1) 優れたデザイン性や機能性、好立地へのこだわり

同社は、得意とする設計・開発に経営資源を集中しており、デザイン性や機能性に優れた「ものづくり」による差別化をはじめ、用地取得の可否を短時間で決定できる自社内プラン設計体制に強みを有する。特に、「ものづくり」への「5つ」のこだわりとして、1) モノトーンでインパクトのある外観、2) アンケートによるユーザーニーズの徹底分析、3) 空間を最大限に生かした収納スペース、4) こだわりのファシリティ「ユノバース」※1、

5) アートのある居住空間、を掲げており、それらが一体となった価値提供により、ターゲットとなる若い世代からの支持を受けてきたと言える。また、立地に関しては、都内23区内で駅から徒歩10分以内の用地を基本としてきた。同社は設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、モノトーンを基調とした外観、機能性やデザイン性、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。また同社では、「ものづくり」へのこだわりを通じて生まれてきた技術やアイデアを知的財産権への登録により保護している※2。

※1 自社開発の、足を伸ばせるユニットバス。

※2 実用新案権(アッパーキャビネット)や意匠権(ユノバース)、特許権(建物の外壁照明構造、側壁構造及びエントランス)などを保有している。

同社開発物件の優位性は、(一社)全国住宅産業協会(全住協)※ 優良事業審査会による優良事業賞において数多くの受賞実績があることでもわかる。最近では2023年4月に「レジデンス文京春日」が、同社プロジェクトとして8年連続10回目の受賞をした。

※ 中堅企業を中心に上場企業を含む全国1,700社を擁する団体で、会員は首都圏並びに北海道から沖縄まで各地域において、マンション及び戸建住宅の供給や住宅をはじめとする不動産流通事業等を行っている。優良事業賞は2010年から始まり、同協会協会員が企画・開発したプロジェクトの中から、特に優秀なプロジェクト(事業及び企画・開発)を表彰するものである。

(2) 気候変動対策や社会貢献活動を通じた商品価値の向上

2020年1月には、自社開発の投資用ワンルームマンションに台風対策を取り入れた「アーバネット防災プログラム」※1を導入した。経営理念である「人々の安全で快適な『くらし』の提案を行い、豊かで健全な社会の実現を目指す」取り組みを進めている。気候変動によって発生する台風等の防災対策として、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献や商品価値の向上にもつなげていく考えである。さらに2023年2月に、首都圏初となるZEH仕様マンション※2を竣工すると、2号、3号の開発にも着手した。

※1 防災倉庫の設置や電気室の地上階設置など設計面に加え、強風対策、豪雨対策、停電対策など設備面での対策を施すものである。

※2 経済産業省によると、ZEHとは「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅」のこと。同社は、オリックス銀行及びメイクス(ワンルームマンション販売会社)との協働により独自の事業スキームを構築し、「ZEH-M Oriented」認証のサステナビルな投資用マンション開発に着手した。

また、アートと住空間の融合による社会貢献活動(CSR)の一環として、学生のみを対象とした立体アートコンペティション「アート・ミーツ・アーキテクチャー・コンペティション(AAC)」を2001年より毎年開催し、若手アーティストの発掘、支援、育成を行っている。この活動は(公社)企業メセナ協議会※からメセナ(芸術文化支援)として認定されるとともに、同協議会が主催する「メセナアワード2017」にて優秀賞「アートの玄関賞」を受賞している。

※ 企業による芸術文化支援活動の活性化を目的とした中間支援機関。

(3) 少人数体制による効率的な経営

同社は、投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売り:BtoB)をビジネスの核としているが、アウトソーシングを最大限に利用した少人数による効率的な経営を実現している。2023年6月期末における連結社員数(契約社員等を含む)は53名※1、1人当たりの売上高が約382百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が約27百万円と高い生産性を示している※2。

※1 2023年12月末時点における連結社員数も53名で変化はない。そのうち、単体社員数44名については、用地仕入れ、設計部門、その他営業サポート・管理部門でバランスよく構成されている。

※2 2023年6月期の売上高、親会社株主に帰属する当期純利益を期末の連結社員数(契約社員等を含む)で割り算した指標。

特に固定費を低く抑えることで、高い収益性の確保と景気変動にも柔軟に対応できる体制を堅持している。加えて、1棟での卸売りは売れ残りリスクが少なく、竣工から短期間での資金回収を可能としており、不動産業界にあって安定性の高い事業構造と言える。

人財育成や魅力ある職場づくりにも積極的である。2019年度の新卒採用再開を契機として、役員を含めた階層別研修、コンプライアンス研修・IT/DX研修などを実施し、生産性の向上やリスキリングにも取り組んできた。プロジェクト責任者への若手登用や用地仕入れにおける新卒採用など人財育成の成果も着実に出始めているようだ。また、2023年3月には4年連続で「健康経営優良法人2023」※に認定されている。今後は、M&Aによる人的資本の獲得やその有効活用など、グループとしての人財ポートフォリオをいかに強化していくのかにも注目したい。

※ 地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《SI》

提供:フィスコ

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