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サイオス Research Memo(5):成長戦略で生成AIによる事業強化など3点を重点施策に掲げる(1)

特集
2024年9月12日 12時05分

■サイオス<3744>の今後の見通し

2. 成長戦略

同社は2024年12月期の成長戦略として、(1) SaaS・サブスク事業への継続投資、(2) APIソリューション事業の拡大、(3) 生成AIによる事業強化の3点を重点施策に掲げ、取り組んでいる。

(1) SaaS・サブスク事業への継続投資

SaaS・サブスク事業へ継続投資することで、持続的な成長を可能とする収益基盤の確立を目指している。具体的には、既に収益化している「Gluegentシリーズ」の開発に継続して取り組み、「LifeKeeper」は収益の安定化を図るためサブスクリプション販売を国内外で強化しつつ、機能拡充を進める方針である。

a) 「Gluegentシリーズ」

製品開発及びマーケティング強化に取り組んできた効果で新規顧客の獲得が進み、順調に成長が続いている。同シリーズの中でも注力している「Gluegent Flow」及び「Gluegent Gate」の合計ARR※は、2024年6月は前年同月比18.0%増(うちFlowが32.8%増、Gateが12.3%増)と両製品ともに2ケタ増となった。2020年6月の326百万円から右肩上がりの成長が続いており、2020年6月以降の4年間のCAGR(年平均成長率)は17.6%(Gluegent Flow/Gateの6月時点のARR)となっている。競合するエイトレッド<3969>は16.4%(2021年3月期第1四半期~2025年3月期第1四半期のストック売上高)、rakumo<4060>は20.4%(2020年12月期第2四半期~2024年12月期第2四半期のSaaS売上高)、HENNGE<4475>は21.5%(「Henge One」の2020年9月期第3四半期~2024年9月期第3四半期の売上高)と、ほかのSaaS企業と比較しても遜色のないCAGRとなっている。ただ、競合企業よりも規模はまだ小さいため、より高い成長率を目指す考えだ。

※ ARR(Annual Recurring Revenue)=月末におけるMRR(サブスクリプション契約等に基づき毎月繰り返し得られる収益の月間合計)×12ヶ月。

ARRの拡大戦略として、新規顧客獲得及び既存顧客へのアップセルの増加策と解約等の抑止策が重要となる。「Gluegent Flow」ではGoogle Workspaceに加え、Microsoft365との連携機能を強化することでユーザーの業務効率化、利便性向上を図っており※1、オンラインセミナーなどデジタルマーケティングの強化や販売パートナーとの連携強化により新規顧客の獲得につなげている。解約抑止策としては、カスタマーサクセス体制を強化し顧客のフォローアップを充実させており、前期に引き続き解約率は低水準で推移している。「Gluegent Flow」に関しては、SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」のBOXIL SaaS AWRD 2024※2において導入事例セクション「中小企業部門」で1位を受賞※3したほか、IT製品の国内最大級のレビューサイトであるITreviewでも高い評価を獲得している。連携機能が充実していることや使い勝手の良いUI/UX設計、タスク管理が容易な点が評価されている。

※1 連携機能により自動でExcel等へのデータ出力やファイル保存が可能となった。

※2 BOXIL SaaS AWARDとは、「BOXIL SaaS」を運営するスマートキャンプ(株)が、優れたSaaSを審査・選考・表彰するイベント。年1回及び四半期ごとに優れたSaaSが表彰されている。

※3 導入事例セクションとは、同賞においてエントリー事例をもとに、企業の働き方改革やDX推進を支援したサービスを、スマートキャンプが企業や社会への貢献度を踏まえて選出し付与するもの。中小企業部門は従業員数101名から500名以下を対象としている。

「Gluegent Gate」は、ゼロトラスト※時代における情報セキュリティ対策の重要性が高まるなか、シングルサインオンによる最適なアクセス管理システムとして2011年のサービス提供開始以降、累計導入実績が25万ユーザーを超えるなど順調に拡大している。2024年7月には連携対象サービスにSCSK<9719>のERP「ProActive C4」を追加し、今後SCSKとセミナーやマーケティング活動を共同で展開することになっており、さらなる成長が期待される。解約抑止策としては導入前のコンサルティングから導入後の課題に対するサポートまで、継続的に顧客を支援できるカスタマーサクセス体制を構築しており、解約率も低水準で推移している。

※ 社内外のネットワーク環境における従来の「境界」の概念を捨て去り、守るべき情報資産にアクセスするものはすべて信用せずにその安全性を検証することで情報資産への脅威を防ぐという、セキュリティの新しい考え方。

b) 「LifeKeeper」のサブスクリプション強化

「LifeKeeper」については、クラウド環境での利用が国内外で広がるなかで、サブスクリプション契約(定額制、従量課金制)での販売を強化していく。海外においては、2024年12月期第2四半期の売上高は前年同期比8.5%増、2020年12月期以降の年平均成長率は43.4%と順調に伸長している。同社は国内でもサブスクリプション契約での販売を行うための開発を現在進めており、ストック型売上の比率を高めていくことで安定した収益基盤を構築していく考えだ。システム障害に関しては、2024年7月に1つのソフトウェア製品の不具合によって世界中のインフラシステムがダウンするという大規模システム障害が発生しており※、今後はこうした重大インシデント対策として、システム障害発生時にシステムダウンを回避する「LifeKeeper」に対する関心が高まることが期待される。

※ 米CrowsStrike<CRWD>が提供する情報セキュリティ製品「Falcon」Windows版のアップデートファイルにバグがあり、インターネットを通じてアップデートされた製品を利用していた世界中の企業・公的機関でWindows端末が一時的に使用不能に陥るなど、製造、航空、物流、行政など幅広い分野に影響が及んだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

提供:フィスコ

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