【村瀬智一が斬る!深層マーケット】決算通過で改めて業績内容を見直す動きに期待
「決算通過で改めて業績内容を見直す動きに期待」
●トランプ関税に市場が振られる中、決算評価の動きも
株式市場は、トランプ米大統領の関税策に振られる展開が続いた。2月1日にトランプ大統領がメキシコやカナダなどに追加関税を課す大統領令に署名し、これを受けて3日の日経平均株価は前日比1052円安と今年最大の下げ幅を記録した。ただし、その後は3万8000円~3万9000円処で保ち合い、足もとのリバウンドにより急落前の水準を回復してきた。
背景には、12日にトランプ大統領がロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナでの戦争を終結させるための協議を開始することで合意したことがあり、地政学リスクの後退が期待されて買い戻しを誘った。また、トランプ大統領は「相互関税」の導入を指示する覚書に署名したものの、関税の即時発動は見送られた。国ごとに調査したうえで個別の対応を取るとしており、貿易摩擦への過度な懸念も薄らいだ。
週末14日の株式市場は前日の大幅上昇に対する反動安となったが、決算発表が一巡したことで週明け以降、機関投資家は動きやすくなりそうだ。なお、今回の決算発表では良好な内容の銘柄には強い市場反応がみられた。13日引け後に上方修正を行ったソニーグループ<6758>[東証P]は、14日に最高値を更新。寄り付き後は上げ幅を縮めたものの、高値圏での推移を続けたことで市場のセンチメントを明るくさせた。決算発表の集中期間を通過したことにより、改めて業績内容を見直す動きが期待できそうだ。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆LIXIL <5938> [東証P]
戸建住宅・マンションからオフィス・商業施設などの非住宅向けまで多岐にわたり建材・設備機器を展開。1月31日に発表した2025年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結営業利益は前年同期比11.6%増の284億600万円で着地した。国内は依然として事業環境が厳しく、新築着工件数は低迷しているが、リフォームが堅調に推移した。米国事業は需要低迷と不正アクセスによるシステム停止の影響が響き減収減益だった。ただし、来期以降は史上最大規模の被害をもたらしたカリフォルニア州の山火事による復興需要が期待される。株価は52週移動平均線に上値を抑えられる一方で、下値は1700円処での底堅さがみられており、52週線突破からのリバウンドを想定する。
◆オープンアップグループ <2154> [東証P]
建設、製造業向け技術者の人材派遣を展開。国内技術社員在籍数は2024年12月末時点で2万4348名。2月7日に発表した2025年6月期第2四半期累計(7-12月)の連結営業利益は前年同期比13.4%増の89億7000万円だった。機電・IT、建設領域で稼働人数が増加したほか、為替影響などにより海外の売上が伸長した。株価は昨年9月20日の戻り高値2185円をピークに調整を継続していたが、1700円処での底固めを経て、足もとでリバウンドをみせている。13週線突破から26週線を捉えてきており、今後は52週線突破によるトレンド転換に期待したい。
◆ジェイエイシーリクルートメント <2124> [東証P]
グローバル人材とハイクラスの管理職などに特化した 人材紹介事業を展開。2月12日に発表した2024年12月期の連結営業利益は前の期比10.7%増の90億9000万円で着地し、過去最高益を更新した。続く25年12月期の同利益は前期比10%増の100億円と連続で最高益更新を見込む。国内人材紹介事業を中心に好調なマーケットの高額案件に重点を置いて集中と深耕を進める。株価は決算評価により窓を空けて急伸し、一気に昨年9月10日の戻り高値804円に接近した。目先は急騰に伴う反動安を想定しつつも、昨年4月、9月高値のダブルトップ水準の突破を狙うスタンスで臨みたい。
◆テクマトリックス <3762> [東証P]
サイバーセキュリティ対策を中心としたデジタル化を支える情報基盤技術と統合型監視サービスなどを提供。1月31日に発表した2025年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結営業利益は前年同期比25.4%増の47億9500万円で着地。クラウド型セキュリティ製品の需要が引き続き業績を牽引した。統合セキュリティ監視サービスでは生成AI技術を活用して製品化を進めており、付加価値向上に向けた戦略が進捗しつつある。株価は昨年11月12日に付けた上場来高値2614円をピークに調整していたが、52週線を支持線に切り返しており、高値更新が期待される。
◆GMOペイメントゲートウェイ <3769> [東証P]
GMO系のカード決済代行会社。2月12日に発表した2025年9月期第1四半期(10-12月)の連結営業利益は前年同期比24.4%増の72億5400万円だった。 決済代行、金融関連、決済活性化の各事業が好調に推移している。株価は決算発表を受けて売られる形となったが、決算期待で買われていた反動が出たのであろう。200日線までの調整を経ての再動意を想定する。
(2025年2月14日 記)
株探ニュース