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巴川紙 Research Memo(8):商号変更を実施し事業ポートフォリオの転換で新たな成長を目指す

特集
2023年7月10日 12時28分

■中長期の成長戦略

巴川製紙所<3878>は2021年5月に8次中期経営計画を策定し、2026年3月期の売上高36,000百万円以上、営業利益2,000百万円、新製品売上高比率を16%以上に高めることを目標として掲げた。この目標に対し、既に営業利益は前倒しで達成となった。同社はこれを受けて昨今の経営環境の変化や最新の業績動向を踏まえ、サステナビリティ課題への取り組みや他社との提携やM&Aを通じた成長を含め、経営理念の再定義、明確化を実行することとし、中期経営計画の見直しを行った。具体的には2024年1月に株式会社巴川コーポレーションに商号変更するとともに2026年3月期を最終年度として、売上高40,000百万円、営業利益3,500百万円を定量目標として掲げた。また新製品売上比率を2023年3月期の17%から24%、半導体市場向け売上高を2023年3月期の4,000百万円から6,900百万円に拡大する計画とした。

同社は1914年に電気絶縁紙の国産化を目指して創設された後、「化学と電気物性評価技術の融合」により多角化に成功し、新技術を多数開発することで発展してきた。昨今では、「企業体質強化」を目指し、大型抄紙機の停機を行うなどエネルギー多消費型の製紙事業の縮小を進め、いわゆる製紙事業の連結売上高に占める割合が10%以下まで減少している。一方、プリンター用トナー事業の連結売上高に占める割合は 35%以上に増加、最大の利益を生み出す事業となっている。加えて電子部品や半導体製造装置向けに「熱・電気・電磁波コントロール」等のニーズに対応した新製品開発を推進し事業ポートフォリオの転換も進みつつある。このようななかで2024年に創業110周年を迎えるにあたり、同社の実態を各ステークホルダーに明確にし、持続的な企業グループの成長につなげていくことを目指すために商号変更する。さらに所属する業種区分も適切な業種区分へ変更も求め、事業展開をわかりやすくするために報告セグメントについても変更する。なお巴川の名称は継承し、既存の事業領域を規定する「製紙」を含めない形で商号変更するとしている。

安定的なトナー事業に加え半導体関連の成長で化学関連事業が拡大

同社の事業を証券コード協議会が公表する「業種別分類表」で区分すると、2023年3月期、祖業である紙・パルプ関連事業は25%(純粋に言う紙・パルプ事業だけでは10%以下)、トナー事業や半導体・ディスプレイ関連事業が含まれる化学関連事業が64%を占めている。また今後の推移でも化学分野が緩やかに構成比を上げていく見通しで、同社は所属する業種区分も適切な業種区分へと変更を求めている。

同社の修正目標ではガムテープ事業(日本理化製紙)を除くトナー事業、半導体・ディスプレイ関連事業の化学分野での売上高を2023年3月期の19,200百万円から23,700百万円に拡大させる計画である。トナー事業は中国メーカーとの棲み分けができている環境にあり、カラートナーなどの高機能品の拡大を目指す。あとは高シェアを有する半導体用リードフレーム固定テープやシリコンウエハ固定用「静電チャック」、「ヒートシンク」、「フレキシブルヒータ」などの新製品群の拡大を見込む。紙・パルプ関連事業はガムテープを除くと2023年3月期の5,800百万円が6,900百万円まで拡大させる計画である。紙加工、製紙、塗工紙は低成長を見込むことから、成長の主体は「機能性不織布」の拡大によるものと見ている。

同社は今回、ポートフォリオ別の売上計画も開示しており、事業を4区分に分類、特に新規成長事業(機能性不織布、半導体関連部品)と現在の主力事業(半導体実装用テープ、トナー、ガムテープ、セキュリティメディア)で成長を見込んでいる。とりわけ新規成長分野について、売上構成比が2023年3月期の8%から2026年3月期には17%まで高まり、成熟事業・低成長低収益事業に肉薄する売上まで拡大させる計画にある。

ポートフォリオ別で新規成長事業の伸びを高く見ているが、これを支えるのが新製品売上高の拡大である。同社は今回、「新製品売上高(新製品の上市した月以降48か月を経過するまでの製品ごとの売上高合計)」の売上目標を開示、2023年3月期の5,700百万円を2026年3月期には9,800百万円まで拡大するとした。具体的な製品別では半導体・ディスプレイ関連を1,600百万円から4,000百万円まで拡大するとしているほか、機能性シートについては2024年3月期から量産化によって売上高が大きく拡大する予想となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

《SI》

提供:フィスコ

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