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巴川紙 Research Memo(5):2025年3月期3.9%増収、65.3%営業利益増と増収増益予想

特集
2024年10月8日 12時05分

■巴川コーポレーション<3878>の今後の見通し

1. 2025年3月期の連結業績予想

2025年3月期の連結業績は売上高35,000百万円(前期比3.9%増)、営業利益2,200百万円(同65.3%増)、経常利益2,200百万円(同33.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,000百万円(同68.3%増)を見込んでいる。上期は売上高17,000百万円、営業利益850百万円、経常利益850百万円、親会社株主に帰属する当期純利益450百万円。下期は売上高18,000百万円、営業利益1,350百万円、経常利益1,350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益550百万円と、下期に本格回復する想定である。

2. セグメント別業績予想

(1) トナー事業

トナー事業は売上高12,960百万円(前期比10.7%増)、営業利益1,820百万円(同124.2%増)を見込む。トナー需要が2024年第4四半期から回復の兆しがあり、2024年第3四半期から行っていた生産調整を終了、既に増産体制にある。2024年の全世界ベースでのトナー生産数量は横ばいが見込まれているが、円安寄与もあり前期の11,719百万円を上回る売上を見込んでいる。利益面でも増収を視野に入れて稼働率が向上し、大幅利益回復を見込む。

(2) 半導体・ディスプレイ関連事業

半導体・ディスプレイ関連事業は、売上高6,600百万円(前期比1.3%増)、営業利益950百万円(同56.3%増)を見込む。サブセグメント別では光学フィルムが1,900百万円(10.0%減)と前期の一時的な需要増の反動減を見込んでおり減収予想に。

一方、半導体関連事業は2024年後半から、半導体市場が回復に転じる見通しで増収を見込む。半導体実装用テープは売上高3,790百万円(同5.6%増)予想。中心となるQFP向け電気絶縁テープ/リードフレーム用固定テープ(R7シリーズ)はQFPの拡大に伴い売上増が見込める。QFPは小型化・高密度実装が求められる電子機器において広く利用され、IoTデバイス、ウェアラブル機器、自動車電子機器などの増加に伴い需要が拡大してきたが、中国経済の低迷、EVの需要増一服などで在庫調整があり前期は伸び悩んだ。2025年3月期に入り在庫調整が一巡、下期には需要が回復する見通しで、緩やかな拡大が期待される。半導体関連部品については950百万円(同17.3%増)を見込む。主力の半導体ドライエッチング装置用ポリイミド静電チャックが、エッチング装置需要の回復とともに拡大が期待される。利益面では半導体関連部品の拡大などが見込まれ利益の大幅回復を見込んでいる。

(3) 機能性シート事業

機能性シート事業は売上高10,930百万円(前期比1.5%増)、営業損失40百万円(前期は42百万円の損失)予想。

サブセグメントでは製紙、塗工紙、ガムテープ、紙加工など総じて微増減を見込んでいる。一方で機能性不織布について売上高2,280百万円(同23.9%増)と高成長を見込む。同事業は前期に中国向けの不振で減収を余儀なくされたが、今期は中国市場以外の開拓と新規案件獲得、加えて下期には新製品の投入が見込まれ、過去最高売上を見込む。

(4) 新規開発事業ほか

新規開発事業ほかは、売上高240百万円(前期比19.5%減)、営業損失930百万円(前期は489百万円の損失)予想。そのほかの事業は不動産賃貸・物流サービスで2024年3月期は231百万円、営業利益78百万円となり、今期において特に大きな変化がないと仮定すると、実質的には新規開発事業で10百万円、営業損失1,010百万円となる。基本的に前向きな先行投資を行っているため、損失額が増加する。

3. 営業利益の増減要因

2025年3月期の営業利益(870百万円増益)は、増収効果で740百万円、価格転嫁効果570百万円、稼働率改善によるトナー生産回復350百万円、為替影響他220百万円の増益に対し、労務費増380百万円、半導体関連の新製品立ち上げコスト、DX投資による固定費増など620百万円の減益を差し引いて大幅回復を見込む。なお経常利益ではフィルム加工を行う関連会社からの持分法による投資利益で減益を見込むため、改善幅が557百万円に止まる。

4. 2025年3月期第1四半期業績及び第2四半期業績予想

2025年3月期第1四半期業績は、売上高8,494百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益341百万円(同21.2%減)、経常利益528百万円(同11.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益344百万円(同0.9%増)となった。売上面では、セキュリティメディア事業で期ずれ、半導体実装用フィルムで反動減があったものの円安効果などで微増収となった。利益面では新製品立ち上げコスト増、一部材料の品質異常による評価損の計上などで営業減益となった。なお経常利益では持分法による投資利益の貢献があり、減益率は11.0%減にとどまった。なお続く第2四半期累計ついては、売上高17,000百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益850百万円(同6.8%増)、経常利益850百万円(同14.7%減)と期初計画から変更はないが、親会社株主に帰属する当期純利益については450百万円(期初計画比250百万円増額)とした。これは法人税等の負担が計画より減少する見込みであるほか、非支配株主に帰属する四半期純利益が減少する見込みであるためだ。なお不透明な要素が多いとして2025年3月期予想は据え置いたが、円安、半導体の回復などで多少収益の上振れがあり得る。

(1) トナー事業

トナー事業は売上高3,211百万円(同15.1%増)、営業利益は391百万円(同41.2%増)。前期第4四半期から受注回復の兆しが見え、円安による海外関連売上高のかさ上げなどで増収に。利益は利益率の高いカラートナーが販売不振も、モノクロトナーの需要回復で稼働率が向上、円安効果もあり増益に転じた。

(2) 半導体・ディスプレイ関連事業

半導体・ディスプレイ関連事業は、売上高1,660百万円(同3.7%減)、営業利益93百万円(同41.6%減)。

光学フィルムはディスプレイ向けフィルム加工注文が好調を維持したが、半導体実装用テープ販売は、値上げを前にした前期第4四半期の一時的需要増の反動減が影響し減収に。利益は新製品の試作・試験入金が計画を上回ったものの、新製品の立ち上げコストを計画どおり投入したことや、半導体実装用テープでの材料品質異常による評価損計上から減益を余儀なくされた。

(3) 機能性シート事業

機能性シート事業は売上高2,613百万円(同1.5%減)、営業損失45百万円(同43百万円損失拡大)に。塗工紙で一部製品が好調に推移も、注力する機能性不織布の受注が伸び悩み減収に。利益は原材料価格上昇によるコスト増加を製品価格転嫁などで埋めきれず損失幅が拡大した。

(4) セキュリティメディア事業

セキュリティメディア事業は、売上高939百万円(同13.1%減)、営業利益46百万円(同48.3%減)となった。コンビカード販売が下期にずれ、通帳類などの販売も減少したことで収益低迷に。

(5) 新規開発事業ほか

新規開発事業は、売上高は8百万円(同23.4%減)、営業損失166百万円(同128百万円の損失)、そのほかの事業は、売上高61百万円(同12.6%増)、営業利益16百万円(同34.5%減)に。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

《HN》

提供:フィスコ

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