rakumo Research Memo(2):様々な規模・業種の企業向けにSaaSプロダクトを提供するIT企業
■会社概要
1. 会社概要
rakumo<4060>は東京都千代田区に本社を置く企業向けSaaSプロダクトの提供や、ベトナムを拠点としたITオフショア開発などを行うIT企業である。GoogleやSalesforce<CRM>といった世界的なクラウドプレイヤーとの強固なパートナーシップを背景に、主力のSaaSプロダクトである「rakumo」シリーズの販売拡大を進めている。売上の基盤は国内であり、業種や規模を問わず、2024年6月末時点で2,400社以上の多種多様なクライアントにサービスを提供している。
なお、会社名やサービス名にもなっている「rakumo」は、ユーザーがサービスをより楽に利用するための「楽(らく)」とユーザーがサービスをクラウド上で利用するための「雲(くも)」を掛け合わせたものである。また、同社のビジョンは「仕事をラクに。オモシロく。」であり、企業の業務の生産性向上に貢献するサービスを提供するために事業展開を行っているのが特徴である。
2. 沿革
同社は、現在の前身となる(株)日本技芸という法人名で2004年に設立した。設立当初は受託業務やインターネットコンサルティングなどの事業を中心にサービスを展開していた。2008年の世界的な金融危機をきっかけにクラウド技術を活用した新しい事業へと業態転換を図り、2010年4月から現在の主力プロダクトである「rakumoカレンダー」、同年8月には「rakumoコンタクト」のサービス提供を開始した。その後も「rakumoワークフロー」「rakumoボード」「rakumoケイヒ」「rakumoキンタイ」など様々なプロダクトを開発し、利便性や導入のし易さ、新型コロナウイルス感染症拡大を背景としたリモートワーク需要の高まりなどから、ライセンス数は2022年6月末において100万超と順調に拡大した。解約率も一時的な要因で1.35%まで上昇した直近の2024年6月末を除けば、1%未満(2023年12月末時点で0.57%)と超低水準を維持している。2020年9月に東証マザーズ市場(現在の東証グロース市場)へ株式を上場した。
また同社は既存領域の売上成長のみならずビジネス領域の拡大も積極的に検討しており、社内SNS型日報アプリ「gamba!(ガンバ)」をクラウド上でサブスクリプション型リカーリング収益モデルを提供している(株)gambaの全株式を2022年6月30日付けで取得し連結子会社化した。さらにIR動画や会社紹介・サービス紹介動画を中心とした映像制作・配信事業を手掛けている(株)アイヴィジョンの全株式を2023年7月3日付けで取得し連結子会社化した。今後も他社サービスとの連携強化、M&Aの実行による事業拡大を目指している。
3. 事業内容
同社の2024年12月期第2四半期におけるサービス別売上高構成比は、主力のSaaSサービスが95.4%、ITオフショア開発サービスが2.0%、ソリューションサービスが2.6%となった。ITオフショア開発サービスにおいては、連結子会社であるRAKUMO COMPANY LIMITED(ベトナム)を拠点に、「ラボ型」のシステム開発受託を中心に行っている。なお、同社はITオフショア開発サービスに関しては縮小することを明確にしており、今後ベトナム拠点はグループ内のSaaSサービスの開発に重きを置かれる想定である。ソリューションサービスは、同社SaaSサービスの導入支援(前システムからの移行作業や導入時の初期設定作業や操作説明など)、他社ハードウェアの販売などを行っている。これらの施策により、同社のSaaSサービスからの売上構成比は一貫して上昇基調が続いている。
4. 経営陣、株主構成
同社創業者である代表取締役社長CEO兼COOである御手洗大祐(みたらいだいすけ)氏は、横浜国立大学を卒業後、日本電信電話(株)(NTT)へ入社し、その後、27歳で1999年9月にウェブメディアサービス事業を手掛けるバックテクノロジーズ(株)を創業し、会社を米国企業へ売却した。その後、2004年に現在の(株)rakumoの前身である日本技芸を創業した。2023年12月末時点で同社株式を995,800株、発行済株式数の17.24%を有する最大株主となっている(このほか、同氏は資産管理会社である(株)創世が保有する368,000株、発行済株式数の6.37%も間接的に所有している。)また、同社の連結子会社のベトナム会長、gamba取締役及びアイヴィジョン代表取締役も兼任している。なお、同社の取締役は社内3名、社外1名の合計4名で構成される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
《HN》
株探ニュース