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戸田工業 Research Memo(9):次期中期経営計画で新たな再生目指す(3)

特集
2024年2月28日 15時39分

■中長期の成長戦略

3. 収益基盤事業

収益基盤事業である機能性顔料については市場が成熟化している状況にある。また、戸田聯合の出資持分を戸田工業<4100>持分法適用関連会社である浙江華源へ移管したことにより、足元は大幅な減収減益となる。ただし株式譲渡した浙江華源(持分20.7%)は赤色、黄色、黒色のすべての酸化鉄顔料事業を手掛け、世界第2位の酸化鉄顔料メーカーとなったことで、中長期的にも事業拡大が見込まれることから、同社の持分収益にも貢献が見込まれる。

4. 次世代事業(環境関連材料)

同社はこれまで循環型社会の形成に対し、製品として燃焼時に有害物質の発生を抑制する触媒活性を持つ酸化鉄や土壌・地下水を浄化する機能を持った酸化鉄などを提供してきたが、さらなる取り組みが進行している。具体的にはカーボンニュートラル実現のため、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の委託事業を通じてエア・ウォーター<4088>と共同でメタン直接改質法(DMR法)によるCO2フリー水素の製造プロセス及びシステム開発を推進してきた。

これまでの開発成果を元に、「DMR法」による商用規模の水素製造プラントを北海道豊富町内に設置し、メタンを主成分とする温泉付随天然ガスから、CO2を直接排出させることなく高純度水素の製造を行うこととなった。同時に製造した水素を近隣需要家へ供給し、地産地消型の水素サプライチェーンの構築を進める。副生成物の炭素は、高導電性を有する多層カーボンナノチューブ(CNT)として市場展開し、用途探索と性能評価も行う。2025年度を目途に豊富町で自噴する未利用天然ガスを用い、DMR法を用いた商用規模の水素及びCNTの製造技術を確立する。併せて、エア・ウォーターが水素の貯蔵・輸送・供給システムを確立させ、域内の水素サプライチェーンを構築するとともに、戸田工業がCNT粉体の高付加価値化を進め、CNTの用途探索と顧客での性能評価を実施し、システム全体で早期の社会実装化を目指す。

またカーボンリサイクル実現を目指し、埼玉大学の柳瀬郁夫准教授とナトリウムフェライトをCO2固体回収材として活躍する研究も進めている。固体吸収材は燃焼排ガス中に含まれるCO2を吸収し、100℃程度の加熱でCO2を放出する。また固体で繰り返し利用でき、カーボンニュートラルに貢献する素材として注目される。2022年7月には、NEDOが公募した「グリーンイノベーション基金事業/CO2の分離回収等技術開発プロジェクト」において、「Na-Fe系酸化物による革新的CO2分離回収技術の開発」を同社、エア・ウォーター、埼玉大学が共同提案し、採択された。分離回収されたCO2の用途についてはメタノールやエタノールの合成、燃料、コンクリート配合剤などが考えられている。

さらに2023年1月にはコスモエネルギーホールディングス<5021>と環境対応技術の実用化に向けた、共同開発についての基本合意書を締結した。検討事項として5項目を挙げ、同社が保有するDMR法による低炭素水素製造技術を活用し、コスモエネルギーグループから発生する留分を元に次世代エネルギーである水素や炭素材料に用いられる炭素への変換などを検討する。全体として収益に寄与するには時間を要するとみられるが、同社の脱炭素社会、循環型社会の実現に向けた取り組みにも期待がかかる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

《SI》

提供:フィスコ

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