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ソフト99 Research Memo(1):半導体製造用消耗部材の拡大もあり、2025年3月期は2期連続増益を見込む

特集
2024年6月19日 16時01分

■要約

ソフト99コーポレーション<4464>は、カーワックスや洗浄剤、補修材などのカー用品の大手である。子会社で展開するポーラスマテリアル事業は半導体製造用の精密洗浄材で高シェアを持ち、医療分野への展開も推進している。そのほか、子会社で自動車整備・鈑金事業、自動車教習所、温浴施設の運営事業なども展開している。既存の主力製品において高い市場シェアと収益力を持ち、強固な財務基盤を構築していることが強みとなっている。

1. 2024年3月期の業績概要

2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比1.0%減の29,874百万円、営業利益で同9.9%増の3,579百万円となった。売上高は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の収束に伴うメガネケア製品の落ち込みや、半導体市場の調整による半導体製造用消耗部材の落ち込みが響いて減収となった。利益はファインケミカル事業で値上げが浸透したことやポーラスマテリアル事業で稼働率が適正水準に戻ったことによる原価率の改善が寄与し、2期ぶりの増益に転じた。

2. 2025年3月期の業績見通し

2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比1.9%減の29,300百万円、営業利益で同0.6%増の3,600百万円を見込む。売上高はファインケミカル事業において海外向け他社商品の販売を終了したこと、並びに温浴事業で1店舗(尼崎店)を2024年3月末で閉店したことが1,850百万円の減収要因となり、同要因を除けば実質4%増収となる見込みだ。営業利益も同じく120百万円の減益要因となり、実質4%増益となる。ファインケミカル事業において、自動車分野の一般消費者向け製品や業務用製品が拡大するほか、ポーラスマテリアル事業において半導体製造用の消耗部材の回復が見込まれている。消耗部材の生産能力は生産スループットの向上により1.2?1.3倍に増強する。なお、温浴事業の閉店店舗跡地にはIR・インバウンド需要の拡大を取り込むべく和食をベースとした飲食店モールの企画開発を進めており、2026年3月期中の開業を予定している。

3. 中期経営計画の進捗状況

2024年3月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画では、「Evolve!!?進化せよ!!?」をテーマに、デジタルを活用し、心揺さぶられるアナログ的(エモい)価値を創り出す『ヒト(人財)』を育て、その価値を通じて社会課題の解決に貢献する方針を掲げた。重点施策として「価値提供方法の多様化」「海外展開強化」「医療分野強化」の3点に取り組み、積極的な設備投資と合わせて「デジタルの活用」による高付加価値製品・サービスの提供により、利益成長と資本効率の向上を目指す。2026年3月期の経営数値目標は、売上高で31,700百万円、営業利益で3,780百万円、ROICで8.1%(2023年3月期実績7.1%)としており、初年度となる2024年3月期は営業利益ベースでファインケミカル事業が計画を下振れたものの、ポーラスマテリアル事業の上振れに伴い、全体では会社計画の3,270百万円を上回るなど順調な滑り出しとなった。2024年4月以降、海外向け他社商品の販売終了等による影響で売上高についてはハードルが高くなったものの、営業利益では射程内にあると弊社では見ている。

4. 株主還元策

株主還元については、連結営業利益の25%を目安に累進的配当を実施することを基本方針とし、2024年3月期は1株当たり配当金で前期比3.5円増配の41.0円(記念配当3.0円含む)と9期連続の増配を実施した。2025年3月期も同1.0円増配の42.0円を予定している。また、資本効率向上施策の1つとして2026年3月期までの3年間で合計7億円程度の自己株式取得を行うことを発表しており、2023年5月から2024年6月までで、380百万円の自己株式取得を実施した。配当金と自己株取得を合わせた営業利益に対する還元性向は2025年3月期で30.9%となる。同社の1株当たり純資産は2024年3月期末で2,530円、PBRで約0.6倍と純資産価値を割れた状況が続いており、企業価値向上に向けた取り組みの1つとなる。

■Key Points

・2024年3月期は原価率の改善と販管費の削減効果により2期ぶりの増益に転じた

・2025年3月期は海外向け他社商品の販売終了等で減収となるも、2期連続増益となる見通し

・中期経営計画の初年度は順調な滑り出し。2026年3月期に向けて高付加価値型の新製品・サービスの創出に注力、利益成長と資本効率の向上を目指す

・2025年3月期は10期連続増配を予定。3ヶ年の中期経営計画で約7億円の自己株取得を実施し、資本効率向上にも取り組む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

提供:フィスコ

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