エアーテック Research Memo(3):電子分野とバイオ分野で幅広い顧客に対応、主要製品は省エネ対応
■日本エアーテック<6291>の事業概要
目に見えない微小粒子、微生物を除去するクリーンエアーシステムの専門メーカーとして、独自の技術を背景にクリーンルーム、クリーンベンチ、バイオハザードシステム等の設計及び製造、販売を行う。草加サービスセンターを中心に東北・静岡・関西・九州等国内に16拠点を持ち、そのほか全国20数社の協力会社から成るネットワークを有しており、各製品やクリーンルームの受注から設計・製造・検査・据付・搬入後のメンテナンスまでワンストップで対応している。また、海外に8拠点(中国・シンガポール・台湾・韓国・インド・ドイツ・ベトナム)の営業所や工場を持ち、グローバルに展開している。
半導体・電子分野及びバイオ分野を主軸としており、2024年12月期第2四半期における分野別の売上高比率では、半導体分野が24.6%、電子分野が22.8%、自動車分野が5.2%となり、半導体・電子分野で全体の52.6%を占める。バイオ分野では、医療が13.2%、製薬が17.9%、食品が8.7%となり、全体の39.8%を占めており、その他が7.6%である。2020~2021年度はコロナ禍による設備投資減額の影響から感染症対策機器の需要が膨らみ、バイオ分野の売上高比率が65%程度であったが、足もとでは新型コロナウイルス感染症の5類への移行によって、クリーンパーティションやクリーンブースといった感染症対策機器の需要は落ち着いた格好である。
(1) 電子工業分野(フラットパネルディスプレイ/半導体/電子材料/部品/自動車)
製品の分類に関しては、分野を問わず製品全体の中で「標準品」「特殊品」に分けられている。標準品は量産可能な売れ筋の製品であり、特殊品は顧客企業や研究所等から注文を受けて設計する一点ものである。同社では相対的に利益率の高い標準品の販売比率目標を80%以上と定め、主力製品においては高級型、標準型、安価型とシリーズ化して製品種類を豊富に取り揃えることで顧客ニーズに対応している。さらに20年以上前から直流モーターへの切り替えを実施し、従来品と比べて50%以上の省エネルギー化を実現した。それにより業界で最も消費電力が低いオリジナル品を提供している。
同分野における顧客は、半導体・電子分野及びバイオ分野で広範囲にわたる分野の企業顧客を獲得している。電子・半導体ではパソコンや有機EL、タブレット、スマートフォン等を手掛けている企業、自動車では製造ラインや燃料電池等、精密ではジェット機やロケット、DVDレコーダー、カメラ等、印刷ではフォトマスクやカラーフィルター、ICカード等を手掛けている企業が顧客である。
主な製品群は、風の力で付着した塵埃を吹き飛ばす除塵装置「エアーシャワー」、簡易的なクリーン空間である「クリーンブース」、小型ファン付のフィルターユニット「ファンフィルターユニット」、空気清浄度が確保された「クリーンルーム」、精密な温湿度環境を安定して供給できる装置「サーマルクリーンチャンバー」、クリーンルームや前室搬送ラインに組込む大型物品の搬入・除塵用装置「クリーンオートパスボックス」等が挙げられる。「ファンフィルターユニット」はクリーンルームの天井等に設置されるものであるが、半導体製造装置メーカー向けには半導体製造装置内の上部にファンフィルターユニットを設置して納入する製品の需要が増えている。
(2) バイオロジカル分野(医療/製薬/食品/化粧品)
同分野の主な顧客は、企業や病院、研究所である。薬品・化粧品ではワクチン、薬品、目薬、化粧品等を扱う先、医療では再生医療、感染症、無菌病室、無菌製剤等を扱う先、食品では飲料水、牛乳、かまぼこ、スライスハム等を扱う先、生命化学では遺伝子組換、畜産、農業、園芸等を手掛けている先となる。
主な製品群は、外部の空気を侵入させずに清浄な作業を行う生物学的分野に適した作業台「クリーンベンチ」や作業空間内の空気を外に漏らさず安全な作業環境を実現する「安全キャビネット」、既存の病室に設置し室内を陰圧に保ちつつ清浄化できる「パッケージ式排気ユニット」、薬品類を扱う過程で作業者の吸引リスクや拡散を防ぐための薬塵除去装置や無菌治療室、閉鎖環境内で細胞の培養や医薬品の充填等を無菌状態で行う「アイソレーター」等を手掛けている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《HN》
株探ニュース