エアーテック Research Memo(5):2024年12月期第2四半期は、電子・バイオ両分野での需要が堅調に推移
■日本エアーテック<6291>の業績動向
1. 2024年12月期第2四半期決算の業績概要
2024年12月期第2四半期(2024年1~6月)業績は、売上高が6,758百万円(前年同期比6.3%減)、営業利益606百万円(同19.7%増)、経常利益1,044百万円(同30.4%増)、中間純利益747百万円(同30.5%増)となった。通期業績予想比(上方修正後)で見た進捗率は、売上高50.1%、営業利益65.2%、経常利益79.7%、当期純利益79.5%と、第2四半期として売上高は順調に推移し、各段階利益は好調な進捗となった。利益面は海外関係会社等からの受取配当金が397百万円と予想を上回ったほか、製品価格の改定や原価・経費削減等の利益率改善策が奏功した。製品価格改定としては、標準製品についてはバイオ関連製品を中心に5~10%値上げし、特殊製品についても顧客ごとの設定価格を適正なものに見直した。また製品の輸送費用の値上げも実施した。原価や経費の削減については、特殊品に関する使用部品の見直しやコストダウンに向けた設計変更、製造工程における組立工数の見直しや横持ちの改善といったコストダウンのための各種活動が実を結んだ。なお、好調を受けて、2024年8月に各段階利益の業績予想を上方修正した。利益率に関しては、営業利益率が9.0%(前年同期比2.0ポイント増)、経常利益率は15.5%(同4.4ポイント増)と改善が進んだ。営業利益率については、人的資本向上のための待遇改善や、労働条件適正化のための社員等の増員により人件費が74百万円増加したものの、製品価格改定による利益率改善効果(98百万円)や荷造運賃の抑制(23百万円)等により、改善を果たした。売上面を分野別に見ると、国内での半導体増産計画や電子工業分野、自動車関連企業での設備投資拡大を背景として電子・半導体・自動車の各分野が伸び、2024年12月期第2四半期の売上比率は52.6%と、2023年12月期の49.5%から3.1ポイント上昇した。またバイオ関連では、製薬分野の工場・研究施設や感染症研究等の設備投資が堅調であることを受けて製薬分野の売上比率が増加したが、感染症対策機器の売上が伸び悩み、医療分野は減少となった。
2. 分野別売上高
2024年12月期第2四半期の分野別売上高は、電子工業分野が56%(前期末比3ポイント増)、バイオロジカル分野が44%(同3ポイント減)となった。2024年12月期第2四半期の売上比率は、2023年12月期と比較して、電子工業分野においては電子分野と自動車分野が拡大した。バイオロジカル分野では製薬分野及び食品分野が若干増えたものの、医療分野が縮小した。2020年12月期~2022年12月期はコロナ禍による影響から医療、製薬を中心としたバイオロジカル分野の販売比率が電子工業分野を上回っていたが、2023年12月期以降は再び電子工業分野が売上高の過半を占めており、バイオロジカル分野での特需の収束による売上減少を電子工業分野の復調で補っている。
3. 品目別売上高
クリーンルームは、感染症研究施設、電子工業分野、再生医療分野等幅広い分野への販売が好調となった。2024年12月期第2四半期時点では、売上高が前年同期比28.0%減の658百万円と少なく見えるが、受注タイミングの関係によるものであり、2024年12月期第2四半期末時点の受注残も多いことから通期で好調を維持できそうだ。クリーンルーム機器の売上高も2,193百万円(同19.4%増)と好調な結果となった。クリーンブースは売上高1,314百万円(同4.8%減)とわずかに前年同期を下回ったが、引き続き電子分野関連の国内案件を多数受注しており、今後も好調を維持できると考えられる。クリーンベンチ・バイオロジカル機器の売上高は640百万円(同48.2%減)と前年同期比で大幅減となった。これまで特需のあった感染症対策機器の販売減によるところが大きいが、一方で好調な製薬会社関連の設備投資を受けて、受注が増えており、今後の動向に期待したい。据付・保守サービス部品の売上高は1,550百万円(同4.0%増)となった。搬入据付、交換用HEPAフィルターの売上が伸びており、通期での売上増が期待できそうだ。クリーンサプライ商品の売上高は154百万円(同26.2%増)となった。
日本国内の半導体業界は、政府の半導体生産体制強化のための支援策の効果もあって、半導体工場の建設等の設備投資が進んでいる。同社を取り巻く市場環境にも好影響を与えており、半導体製造装置メーカー等からの引き合いが増加して受注に至る流れが加速している。この好影響を受けて同社のクリーンルーム関連製品の売上や受注残は増加しており、通期においてもこのトレンドは継続しそうだ。またこの好影響は、取引先との価格交渉についても追い風となっている。同社は製品価格の改定を積極的に行っているが、引き合いの増加を受けて価格交渉においても有利なポジションを確保できているようだ。同社では製品価格改定については、賃金引き上げ等に伴う人件費の増加や仕入先からの価格改定の要請もあって今後も継続する方針であり、通期での業績向上に期待がかかる。
4. 財務状況
2024年12月期第2四半期末における総資産は18,764百万円と、前期末比825百万円の減少となった。現金及び預金は3,293百万円となり、同2,095百万円減少した。これは配当金のほか、取引先に対する支払サイト短縮の影響によるものである。また固定資産は草加多目的センター建設等のための建設仮勘定の増加により同512百万円増加し、6,347百万円となった。
負債合計は4,475百万円と、前期末比1,006百万円減少した。流動負債は3,773百万円となり、同917百万円の減少であった。主な内訳は、電子記録債務1,146百万円の減少、未払法人税等206百万円の増加である。固定負債は701百万円と、同88百万円減少した。
純資産は14,288百万円と、前期末比180百万円増加した。主に配当金626百万円の利益処分による減少、中間純利益747百万円の計上によるものである。
この結果2024年12月期第2四半期末時点の自己資本比率は76.1%(前期末比4.1ポイント増)と引き続き高い水準を保っている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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