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新晃工業 Research Memo(2):一貫体制などが強みの大規模建物向けセントラル空調機メーカー

特集
2023年7月11日 13時52分

■会社概要

1. 会社概要と沿革

新晃工業<6458>は大規模建物向けセントラル空調機器メーカーで、空調機の製造販売、空調工事の請負施工、熱媒体自然循環システムの設計・施工・保守管理などを行っている。主要製品は、送風機や熱交換器(コイル)、フィルタ、加湿器などで構成されたフロア全体を空調する大型のAHUと、送風機(ファンモータユニット)、コイル、エアフィルタで構成された各部屋を空調する小型のFCU、セントラル空調と個別空調の特徴を兼ね備えたヒートポンプAHUである。このほか、既存建物の設備更新工事やメンテナンスなどを請け負う工事事業も展開している。巨大で複雑な空間を空調するための豊富な品揃えと、顧客の個々の要望に沿って設計・製造する技術が求められることから、空調機業界は専業企業などへの集約化が進んでいる。なかでも同社は、蓄積されたノウハウと豊富な実績を背景に、設計から製造、販売、メンテナンスまでの一貫体制を強みとしており、水AHUは国内市場において長年トップシェアを維持している。

同社は1938年、藤井徳義(ふじいのりよし)氏により暖房機器の輸入販売を目的に設立された。1949年に第2次世界大戦で停止していた業務を再開し、1950年に同社を創業して業務用空調機の製造販売に乗り出した。その後、1951年にFCU、1957年にはAHU(現在の工場生産型)を日本で初めて開発し、生産拠点の拡大やメンテナンス業務の取り込み、海外進出など、日本の経済発展とともに業容を拡大していった。足元の需要は、東京オリンピック・パラリンピック特需後の端境期を抜け、コロナ禍や原材料高、部材不足、円安といったリスクも一巡しつつあり、東京や大阪などで進む大規模都市再開発や成長著しいデータセンター向けなど拡大期に入ったと見られる。中長期的には更新工事やメンテナンス需要の拡大も期待される。

主軸は大型建築物向け水AHU、中小規模向けにヒートポンプAHUも提供

2. 事業領域

空調機は家庭用と業務用に分けられ、建物の規模や運用によって最適な機器が選択される。家庭用はいわゆるルームエアコンであり、TVCMでよく見かける民生用電機メーカー大手の製品が多い。業務用は、さらに個別空調とセントラル空調に分けられる。個別空調は、空調を必要とする部屋・エリアごとに室外機と室内機を設置する方式で、熱媒体に代替フロンなどを使用するが、設計・施工が容易で機械室を小さくすることができる。主に延床面積20,000平方メートル以下の中小規模の建物で採用され、空調機のシステムはパッケージエアコン、ビル用マルチエアコンなど汎用品で構成される。セントラル空調のシステムは、建物を一体として捉え、熱源機器を集中設置することでまとめて熱を作り(一次側空調システム)、冷温水(水)を熱媒体として各フロアへ送り、その熱をAHUやFCUがファンで発生させた風をあて室内の温度・湿度を調整し(二次側空調システム)、そして空調全体の管理・コントロールを集中して行う(計装システム)仕組みになっている。延床面積20,000平方メートル以上の大規模な建物で使用される。こうした大規模な建物では、フロアごとに求められる要件が異なるため、最適なシステムを構築するには個々の仕様・要望に応えることができる設計・製造技術が不可欠である。

同社は、セントラル空調のなかでも二次側空調システムを主要な事業領域としている。セントラル空調の主なメリットは、個別空調で使われる代替フロンにはできない精密な温度・湿度制御が可能なこと、上質な空気質を生成すること、設置や設計の自由度が高く優れた効率性や機械室に集中して空調機を設置できることによる高いメンテナンス性などが挙げられる。加えて、熱を搬送する媒体に、温室効果が非常に高い代替フロンではなく自然冷媒である水を使用しているため、地球温暖化を防止する効果として「環境にやさしい」ことも挙げられる。代替フロンはオゾン層を破壊しないものの、CO2の100倍から10,000倍以上の大きな温室効果があり、気候変動対応の観点から世界中でノンフロンや温室効果がより低い物質への切り替えが課題とされている。

なお同社は、中小規模の建物で採用される個別空調領域にも積極的に事業を拡張している。個別空調では、セントラル空調に比べて簡易なシステムや汎用品が使用される。外調機については個々に細かな仕様を要求されることが多くなってきたため、セントラル空調の分野で蓄積してきた同社のノウハウを生かす素地がある。そこで同社は、ダイキン工業<6367>と業務資本提携してヒートポンプAHUの製造販売に参入し、現在では個別空調市場を取り込むための戦略商品として積極的に展開している。熱源機器を集中しても効率化されない規模の建物では、今後も個別空調方式が採用される見通しである。また、地球環境に負荷がかかる傾向にある個別空調の領域においても、地球温暖化係数の低い熱媒体への転換や代替フロン使用量の削減につながる、地球環境にやさしいシステムの設計を進める計画である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《AS》

提供:フィスコ

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