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ファンペップ Research Memo(5):花粉症ワクチンでオプション契約締結、新たに2件の研究テーマを追加

特集
2024年4月4日 13時35分

■主要開発パイプラインの動向

ファンペップ<4881>の開発パイプラインとしては、皮膚潰瘍を適応症とする「SR-0379」のほか、抗体誘導ペプチド技術で開発した乾癬及び強直性脊椎炎を適応症とする「FPP003」、花粉症を適応症とする「FPP004X」、乾癬を適応症とする「FPP005」の4品目があり、そのほかにも複数の開発候補品を抱えている。2023年11月以降の新たな進捗として、アルツハイマー病、心不全を研究テーマに追加し、アカデミアとの共同研究を開始したほか、2024年3月には塩野義製薬と「FPP004X」に関する全世界を対象とした独占的開発及び商業化権に関するオプション契約を締結した。

花粉症ワクチンは国内で数百億円のポテンシャル、2025年の第1相臨床試験開始を目指す

1. FPP004X(花粉症)

「FPP004X」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究のもとで同社が創製した開発化合物で、IgEを標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IgEはアレルギー性疾患の発症・進展に関与する重要因子で、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)が代表的な疾患として知られている。ヒトの遺伝子配列をもとに作製したエピドープを用いているため、ヒトのIgEと結合しやすいといった特徴を持つ※。

※従前の開発候補品であった「FPP004」はヒトとマウスの遺伝子配列をもとに作製したエピドープを用いていた。

2023年6月より前臨床試験に入っていたが、複数の製薬企業と交渉を進める中で2024年3月に塩野義製薬とのオプション契約締結を発表した。オプション契約による一時金として3億円、オプション権が行使された場合にはライセンス契約一時金及び進捗に応じたマイルストーンとして最大178億円と販売額に応じたロイヤリティ収入を獲得することになる。オプション契約による一時金3億円については、事業収益として計上することになるが、契約金の一定率はメディパルポールディングス<7459>(以下、メディパル)に支払う契約※となっており、その費用は事業原価として計上される見込みだ。また、今回のオプション契約締結とともに塩野義製薬に対する第三者割当増資を実施し、約2億円を新たに調達した。これにより塩野義製薬の出資比率は従前の4.52%から10.39%に上昇し、筆頭株主となる。今後の開発方針は塩野義製薬と定期的に協議しながら進めていくことになるが、まずは花粉症を対象疾患として2025年に第1相臨床試験開始を目指す。

※2016年2月に同社の抗体誘導ペプチドプロジェクトの研究開発支援に関する提携契約をメディパルと締結し、研究開発協力金を受領していた。メディパルは本研究から創出された抗体誘導ペプチドのうち一定数の対象開発品を選定したうえで、同開発品から得られる契約一時金及び開発マイルストーン収入の一定率を同社から受け取る契約となっており、「FPP004X」も選定品目に含まれている。

国内での花粉症の患者数は年々増加傾向にあり、有病率は1998年の19.6%から2019年には42.5%まで上昇している。有病率の高さや症状の激しさ、低年齢化が進行していることなどから、政府が国の社会問題と位置付け全国でスギの伐採計画や花粉の飛散防止対策などをまとめたほどだ※1。花粉症を含むアレルギー性鼻炎の医療用医薬品の国内市場規模は約1,700億円(2019年度)、市販薬で約400億円(2022年)と推計されている※1。治療薬としては、既に抗ヒスタミン薬を中心に多くの内服薬や点鼻薬、点眼薬が販売されているが、重症例では抗IgE抗体医薬品の「ゾレア(R)」※2が処方されている。

※1 内閣府「花粉症対策の全体像」(2023年5月30日)資料。

※2 主にアレルギー性喘息治療薬として販売されていたノバルティス ファーマの抗IgE抗体「ゾレア(R)」が、抗体医薬品として初めて花粉症への適応追加承認を2019年12月に取得した。「ゾレア(R)」の全世界での販売額は2022年で3,687百万米ドルとなっている。

「FPP004X」の対象患者をどのように設定するかは塩野義製薬との協議で決定することになるが、同社では効果の持続期間が長いというワクチンの特長を生かし、花粉症のシーズン(飛散時期)前に1~2回投与すればシーズンを通して症状を緩和できるという、新しい治療選択肢の提供を目指している。中等症から重症患者を対象として開発に成功した場合、売上ポテンシャルとしては数百億円規模になると弊社では見ている。今後、開発が順調に進んだ場合、2032年頃の上市が予想される。また、抗IgE抗体の「ゾレア(R)」の世界売上高は5千億円規模に達しており、海外では主にアレルギー性喘息治療薬として用いられていることから、海外での開発も今後期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

提供:フィスコ

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