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3Dマトリック Research Memo(7):粘膜隆起材は2020年4月期に国内での治験開始を目指す

特集
2018年10月22日 15時07分

■スリー・ディー・マトリックス<7777>の今後の見通し

3. その他パイプラインの動向

(1)粘膜隆起材「TDM-641」

粘膜隆起材については前述した通り、製品改良に目処が付き既存品に対する優位性を確認できる状況となったことから、臨床試験の再開に向けた準備を進めている。形式上は再開となるが、実際には製剤の改良を加えているため、PMDAと治験プロトコルに関して最初から協議していくことになる。ただ、治験プロトコルに関しては前回とほぼ同様なものとなる可能性が高く、協議もスムーズに進むことが予想される。前回は比較対象試験で生化学工業<4548>の「ムコアップ」との比較を約200症例で実施する予定となっていた。今回も「ムコアップ」または「生理食塩水」との比較試験になることが予想される。同社では「TDM-641」が隆起度で優位性があるほか止血効果もあることから、販売承認を得られる可能性は高いと見ている。

今後の開発スケジュールに関して国内では、現在実施している止血材の臨床試験が終了した段階でPMDAとの協議を開始し、2020年4月期中の臨床試験開始を目指している。また、欧州でも次世代止血材の次に粘膜隆起材の臨床試験を進めていく方針を明らかにしている。粘膜隆起材が上市されることになれば、消化器内視鏡手術領域において止血材、後出血予防材、粘膜隆起材と3つの製品が揃うことになる。止血材において開拓した販売ルートを活用できることから、クロスセルによる早期の売上拡大が期待される。

(2)歯槽骨再建材

歯槽骨再建材の開発状況については、前回レポート(2018年7月23日付)と特段の変化はない。米ハーバード大学附属病院において実施している2nd Pilot Studyにおいて、 2017年4月までに全12症例に対して投与を完了し、全症例で歯槽骨が再建され、インプラントを埋植後の長期観察期間においてもインプラントが安定であることが確認されている。また、対象部位における新生骨の割合も、他家骨を充填した場合と比較して約2倍の水準に達するなど、機能面でも優れたデータが確認されている。

現在はハーバード大学附属病院にて最終レポートをまとめている段階で、2019年4月期中にもFDAと今後の開発方針について協議を開始する予定にしているが、現在は資金面での問題もあり製品化に向けた優先順位は低下している。製造販売承認取得のために規模の大きい臨床試験が必要な場合には、歯科領域の医療機器メーカーにライセンスアウトすることを想定しており、中期経営計画の中では2020年4月期にライセンス契約一時金として550百万円を見込んでいる。

(3)創傷治癒材

米国での事業化を検討している創傷治癒材については、2019年4月期より単材での販売開始に向けたテストマーケティングを行うための準備を進めている。現状は癒着防止材の次に注力している領域となっている。高価格でも需要が見込める美容整形外科領域を主なターゲットとしているほか、医師等に材料を提供しながら新規用途の探索にも取り組んでいる。

(4)DDS材料

国立がん研究センターとの共同プロジェクト「RPN2※標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」における医師主導型の第1相臨床試験が2018年3月に期間満了により予定症例数を残して終了している。ただ、継続して臨床試験を行う意義があるとの判断から、現在は四国がんセンターや主要医療施設で残りの症例数の臨床試験を実施する方向で協議を進めている。同臨床試験は「がん幹細胞」に特異的に発現するRPN2遺伝子をターゲットとし、その発現を抑制する核酸(RPN2siRNA)と同社が開発した界面活性剤ペプチド「A6K」をキャリアとするDDSを組み合わせた製剤の安全性評価を行うもので、ファースト・イン・ヒューマンの臨床試験として注目されている。siRNA単独では安定性が低く腫瘍部に届くまでに分解されてしまうことが課題であったが、「A6K」との複合体にすることで安定性が高まり、分解が抑制されることが明らかとなっている。実際、イヌの実験では乳がん腫瘍の縮小効果も確認されている。

※PRN2…がんの転移・浸潤・薬剤耐性を担うターゲット遺伝子。

本治験の結果詳細については予定症例数に達しなかったものの、国立がんセンターより今後の学会および論文で発表される予定となっている。siRNAを用いた治療薬としては2018年8月に米Alnylam Phamaceuticals社で開発された「Onpattro(一般名:Patisiran)」が末梢神経系の希少疾患向け治療薬として米国において世界で初めて承認を受けている。トリプルネガティブ乳がんと同様に、標的への薬剤の送達が課題であったが、脂質ナノ粒子内に薬剤を収容することで課題を解決した。このためsiRNAを用いた核酸医薬の開発については、国内でも再度、関心が高まるものと思われ、国立がん研究センターからの論文発表が注目される。

また、2017年7月にはAMEDによる2017年度「革新的医療技術創出拠点プロジェクト」関連シーズ「橋渡し研究戦略的推進プログラム」に、広島大学医歯薬保険学研究科との共同プロジェクト「がん幹細胞及び抗がん剤耐性がん細胞に作用する革新的抗腫瘍核酸医薬の開発」が採択され、悪性胸膜中皮腫※を対象疾患としたマイクロRNAによる新しい核酸医薬の研究開発が始まっている。同社はマイクロRNAをがん細胞に効率的に送達するためのDDS用材料として「A6K」を提供している。今後3年間で前臨床試験を実施していくほか、共同特許の出願も予定している。

※肺を覆う胸膜の表面に発生するがん。アスベストが発症原因の多くを占めている。現在の治療法は手術と抗がん剤の併用だが、再発も多く診断5年後の死亡率は90%を超える。年間死亡者数は2015年で1,500名超、今後2035年をピークに2~3倍の発症が予測されている。

(5)その他再生医療分野

その他、2018年5月に東京大学医学部付属病院で開始された自己細胞再生気管軟骨を用いた再生医療に関する医師主導治験に、同社のペプチド製品が採用されたことが発表されている。

自己細胞再生気管軟骨は、気管粘膜再生部分と再生軟骨部分からなる新たな再生医療等製品(以下、本治験製品)で、同社のペプチド製品は本治験製品を構成する副構成体として気管粘膜再生部分に組み合わせて使用される。同ペプチドを用いることで気管粘膜の再生促進と、再生した気管軟骨の中心壊死の回避を期待できるのがポイントとなる。

本治験は根治療法がないとされる重症の気管狭窄症※患者の治療を対象としており、患者のQOL向上を含めた新たな治療法として今後の開発動向が注目される。同社においても国内では初めての再生医療領域での取り組みとなる。今後も各医療機関への技術提供も含め再生医療分野の研究開発に注力し、新規事業化に取り組んでいく方針だ。

※交通事故等に伴う気道外部からの外傷等による炎症や、気管内挿管における内部からの損傷、悪性腫瘍等により、様々な呼吸障害及び呼吸困難をきたす症例のこと。気管再建では患者自身の軟骨を採取して移植するのが一般的だが、移植するのに十分な大きさの軟骨を採取するには患者の負担が大きいという課題があった。今回の治験では採取した軟骨細胞を培養し、増殖させてから移植する再生医療となり、患者への負担を軽減することが期待されている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MH》

提供:フィスコ

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