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産業分野や地方創生にも活用、新展開進む「メタバース」関連を徹底マーク <株探トップ特集>

特集
2024年11月11日 19時30分

―石破首相の地元「鳥取県」が脚光、工場生産ラインのシミュレーションでも実力発揮―

インターネット上の仮想空間である「メタバース」が、再び高い関心を集めている。メタバースは、仮想空間で自分自身のアバターを通じて、他者と交流したり商品を売買したりできることが注目されてきた。更に、次世代インターネット「Web3.0(ウェブスリー)」時代を迎えるなか足もとではメタバースの産業分野での活用が進み、日本でもその技術が「地方創生」絡みで採用されるなど注目を集めている。メタバース関連にスポットライトを当てた。

●産業界でエヌビディアの「オムニバース」導入進む

いまや世界の株式市場で時価総額トップを争うエヌビディア<NVDA>。同社はNYダウの採用銘柄となったことも話題を集めたが、その急成長の源泉は「生成AI」の隆盛に伴うGPU(画像処理半導体)需要の急増であることは間違いない。一方、同社が産業メタバースプラットフォーム「Omniverse(オムニバース)」の導入拡大をアピールしていることを忘れてはいけない。同社のGPUは画像をきれいに処理しモニターに映すことができる高精細なCG(コンピューターグラフィックス)や生成AIに対応する処理能力などに優れており、オムニバースではNVIDIA RTXシリーズを搭載するワークステーションなどの使用が推奨されている。メタバースに絡み、現実世界を仮想空間に再現する「デジタルツイン」への応用が進むなか、例えば自動車工場の生産ラインをオムニバースの仮想空間に作り出すことにより、そのラインのシミュレーションを低コストで行うことなどができる。同社資料では、電子機器の受託生産で世界最大の台湾のフォックスコン、世界的な独の自動車メーカーであるメルセデス・ベンツなどの事例が紹介されている。同社のオムニバースの導入拡大は、メタバースを再評価する動きにつながっている。

●石破首相の地元の鳥取県が「メタバース先進自治体」に

国内でもメタバースの取り組みは着々と進んでいる。10月末には旅行大手であるJTB(東京都品川区)とジェーシービー(東京都港区)の合弁会社である「J&J事業創造」(東京都千代田区)が共同事業パートナーであるAI×Web3.0メタバースの「XANA(ザナ)」とともに、鳥取県をテーマにしたメタバース空間「鳥取メタバース」を、「XANA」プラットフォーム上で構築したと発表した。XANAは、AIを活用したWeb3.0型のメタバースだ。石破茂首相の地元として知られる鳥取県だが、メタバース先進自治体の一つとしても注目を集めている。地方創生に向けた取り組みでは、これまで鳥取県をテーマにしたNFT(非代替性トークン)トレーディングカードゲームやメタバース課設立、AIアバター職員など、自治体とは思えぬ柔軟さで歩みを進めてきた。訪日外国人観光客も増大する中で、時間や場所を超え、体験やPRを行うことができる場として期待されているようだ。初代の地方創生担当大臣を務めた石破首相にとって、地方創生は最も進めなければならない事業の一つだ。地方創生の推進にも大きく絡むメタバースへの関心が再燃する可能性は、こうした方面からも改めて意識しておきたい。

以下では「メタバース」関連の銘柄を取り上げた。小売企業の仮想店舗展開などを除き、今後企業や自治体の需要が一段と高まっていくことを考慮し、メタバースに関連する技術を有し、法人向けサービスなどを展開する企業を中心に選定している。

●TOPPAN、monoAI、PBシステムなど注目

TOPPANホールディングス <7911> [東証P]~グループ会社のTOPPANは、複数のバーチャル店舗を集約したメタバースモールサービス「メタパ」を2021年12月から提供している。24年11月から「メタパ」をベースに、自治体での利用に特化し、管理画面からのコンテンツ更新などが手軽に操作できる機能を実装した、自治体向けメタバースサービス「メタパ for 自治体」を開始している。

コロプラ <3668> [東証P]~22年にブロックチェーン技術または暗号資産、NFTを活用したGameFiなどのサービス開発、及び配信を行うBrilliantcryptoを設立。24年6月には、ブロックチェーンゲーム「Brilliantcrypto」の世界展開を加速することを目的に、仏のCrypto Blockchain Industries(CBI)と資本・業務提携を締結した。CBI社は1つのアカウントで複数の異なるワールドをシームレスに探索できるメタバースプラットフォーム「AlphaVerse」などを開発・運営している。

monoAI technology <5240> [東証G]~大規模通信技術とAI技術をコアとして、自社開発のメタバースプラットフォーム「XR CLOUD」の運営などを手掛ける。24年9月には「XR CLOUD」を活用した大日本印刷 <7912> [東証P]の「メタバース空間を利用したラーニングシステム」が、Metaverse Japan主催の「JAPAN Metaverse Awards 2024」において、メタバースジャパン特別賞を受賞した。

ピー・ビーシステムズ <4447> [東証G]~体験共有型VR 装置「MetaWalkers」を製造販売する。VRゴーグルの装着を必要とせず没入感あふれる360度の仮想空間を複数人で気軽に体験できるVR装置で、遊園地・テーマパークやイベントなどで活用されている。22年1月には専門部署のメタバース推進部を設置した。24年11月には、九州産業大学と九州産業大学造形短期大学部が開催する展示会「KSU VISION DAY 2024 文×理×芸=展」に MetaWalkersによるトレーニングシステムを出展した。

グリー <3632> [東証P]~23年3月、VTuber事業を展開するREALITY Studios、法人向け事業を展開するREALITY XR cloudを設立。同社は、あらゆる仮想空間内で行われるバーチャルイベントを実現するためのクラウドソリューション「REALITY XR cloud」を提供している。

GMOインターネットグループ <9449> [東証P]~グループのGMOアドパートナーズ <4784> [東証S]の連結会社で、総合マーケティング支援を展開するGMO NIKKOでは、メタバースビジネスの研究・分析のほか、メタバース空間を活用したさまざまなソリューション・コンサルティングサービスを提供する「GMOメタバース ラボ」やメタバース空間での3Dアバター占い師による「メタバ占い byGMO」を運営する。

カバー <5253> [東証G]~VTuberプロダクション「ホロライブプロダクション」を運営。既存の配信・交流・表現活動の場を拡張し、将来的には、世界のあらゆる人が交流・活動可能なメタバースプラットフォームを開発している。メタバースプロジェクト「ホロアース」は、女性VTuberグループ「ホロライブ」に所属するタレントとそのファンが仮想空間内でさまざまな体験を一緒に楽しむことができる。

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