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ウェーブロックHD Research Memo(7):金属調加飾フィルムは自動車への採用が相次ぎ高成長が続く

特集
2023年6月30日 12時07分

■ウェーブロックホールディングス<7940>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向

(1) マテリアルソリューション事業

マテリアルソリューション事業の売上高は前期比10.4%増の18,069百万円、営業利益は同34.9%減の618百万円となった。営業利益の増減要因を見ると、原材料価格高騰に伴う売価転嫁で1,123百万円の増益要因となったものの、原材料価格及びエネルギーコストの増加で1,177百万円、販売数量減による製造効率悪化で242百万円の減益要因となり、合計で331百万円の減益となった。四半期ベースの動きで見ると、第4四半期は前年同期比で若干ながら増益に転じており、売価転嫁が浸透し始めたものと思われる。

ソリューション別の動向は、以下のとおり。

リビングソリューションの売上高は前期比2.3%減の4,794百万円となり、利益も原材料価格高騰の影響により減益となった。主力のホームセンター向け張替用防虫網等の販売が2020年の巣ごもり需要の反動、並びにホームセンター自体の客足が減少したこともあり減少傾向が続いた。2023年3月からのシーズンインに向けて進めてきた値上げ交渉についても、顧客先によって成果は様々であった。

ビルディングソリューション及びインダストリアルソリューションの売上高は前期比2.0%増の3,869百万円と増収が続いた。建設・仮設工事向けメッシュシートはOEM生産への切り替え遅れや、低採算品からの撤退もあって減収となったが、大型商業施設向けの防煙垂壁用高透明不燃シートの販売が好調に推移した。ただ、利益面では売価転嫁が遅れたこと等により減益となった。

パッケージングソリューションの売上高は前期比18.9%増の4,082百万円となった。2022年3月期に開発・販売を開始した植物由来のバイオマスプラスチック配合のミルクポーション容器が、業務用だけでなく家庭用にも採用されるなど一部製品の販売数量が増加したほか、原材料価格上昇分の売価転嫁も進んだことが増収要因となった。ただ、エネルギーコスト増加分までの売価転嫁が遅れたこと等により減益となった。

アグリソリューションの売上高は前期比1.4%増の2,936百万円となった。エネルギーコストの上昇等により農業生産者の資材への投資意欲が減退し、防虫ネットの販売が減少したものの、輸入資材である土壌改良剤や林業向け資材が国や地方自治体からの補助事業案件の受注もあって好調に推移した。利益面では円安の進行に伴う仕入コスト上昇もあって減益となった。

なお、新たに子会社に加わったエイゼンコーポレーション※の業績影響については、売上高で10億円弱の増加要因となったものの、利益面ではのれん償却額24百万円を含めるとほぼ影響がなかったようだ。地中熱ビジネスの売上高は期初計画で4億円を計画していたが、システムを導入するために必要な設計士など人的リソースの強化を優先して進めたことで31百万円にとどまった。ただ、地中熱システム「ヒートクラスターR」については、今回初めて自社の工場(ダイオ袋井工場)に導入し、2023年1月より稼働を開始している。設備投資額は1億円強で、うち半分を補助金で賄った。年間の光熱費の削減効果は14百万円程度と試算しており、4年程度で投資額を回収できる計算となる。システムは15年程度利用できるため、15年間通して見れば1.5億円のコスト削減効果が期待できるだけでなく、CO2排出量の削減にも貢献することになる。同社では施設園芸農業だけでなく、工場や病院、公共施設など様々な分野をターゲットにしており、今回の自社工場の導入実績も携えて営業活動を進めていくことにしている。

※地中熱を利用した高効率エネルギーシステム「ヒートクラスターR」の施工管理を行う。「ヒートクラスターR」とは、地下10~200mの地中熱を利用したヒートポンプ方式の冷暖房システムで、年間を通して温度がほぼ一定となる地中に熱交換システムを設置し、冬の暖房時には外気より温度の高い地中から採熱し、夏の冷房時には外気より温度の低い地中に放熱することによって、既存の空調システムに対して大幅な省エネ化を実現できる。

(2) アドバンストテクノロジー事業

アドバンストテクノロジー事業の売上高は前期比2.7%減の4,545百万円と減少したものの、営業利益は同5.1%増の363百万円と過去最高を連続更新した。売上高の仕入販売商品の大幅減が影響して減収となったものの、利益面では、自動車向け販売の増加により402百万円の増益となり、その他事業の販売減による利益減124百万円、及び人件費や減価償却費、新設設備の立ち上げ費用増による利益減266百万円を吸収して増益となった。

四半期ベースの営業利益推移を見ると第4四半期に107百万円の損失を計上しているが、これは一関工場移設※に伴う工場稼働停止に備えて第3四半期までに高透明多層フィルムの備蓄生産を実施し、第4四半期は製造拠点立ち上げのためのコストや減価償却費が増加したこと、また、その他製品において一部原材料の使用停止に伴う評価減を計上したことが主因となっている。

※クレアネイトが関連会社から外れたのを機に、同社の一関工場で生産していた高透明多層フィルムの製造ラインを、近隣にあるグループ所有の工場に移設し、2024年3月期第1四半期から稼働を再開している。

売上高の内訳を見ると、デコレーション&ディスプレー分野は前期比26.9%増の3,087百万円と高成長が続いた。主力の金属調加飾フィルムが、北米の自動車メーカー及びEVメーカー向けに採用が進み大幅増となったほか、インドや東南アジアの自動二輪車向けも拡大基調が続いた。また、上期は低調だった国内メーカー向けの販売も回復に転じた。課題となっていた国際的な品質マネジメント規格「IATF16949」※もウェーブロック・アドバンスト・テクノロジーが2022年9月に認証取得したことで、今後は見込み顧客の工場監査手続きもスムーズに進み、新規受注につながるものと期待される。一方、自動車向け内装ディスプレー用途の高透明多層フィルムは、先進運転支援システムの開発ツールとして期待されるVRヘッドセット用が好調だったものの、自動車向け販売は、半導体不足や上海ロックダウンの影響を受け、欧州の主力納入先の生産計画が引き下げられたことから減収となった。

※IATF16949は自動車産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格で、世界の多くの自動車メーカーが自動車部品のグローバルな調達基準として採用している。

コンバーティング分野の売上高は前期比7.8%増の1,059百万円と堅調に推移し、その他分野の売上高は仕入販売品となる液晶ディスプレー用拡散板が巣ごもり需要の反動減等の影響を受け、同68.2%減の396百万円と大幅減となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

提供:フィスコ

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