明日の株式相場に向けて=株高エンジン再始動の好実態株を狙う
きょう(19日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比460円高の3万3219円と急反発。前場は前日終値を挟んで狭いゾーンでの上下動に終始していたが、昼休み時間中に日銀金融政策決定会合の結果が現状維持と伝わると、AIアルゴリズムによる先物買いのスイッチが入り急浮上、途中伸び悩む場面はあったものの、取引終盤に再び機械的な買い注文がなだれ込み、高値引けとなるお決まりのパターンとなった。金融緩和策の据え置きはほぼ織り込まれていたはずだが、植田日銀総裁の「チャレンジング発言」が皮肉にもショート筋を呼び込む形となり、実際フタを開けてみればいつものようにハトが舞い上がり、これを見て一気にアンワインドが進むという、今までに何度も繰り返された光景となった。声明文にも変化はみられず、これが決め手になったという指摘もある。日経平均は終値で3万3000円台を回復。これは12月6日以来約2週間ぶりの大台回復であり、同時に25日移動平均線も上回って引けた。
個別株もきょうは日経平均に連動しやすい時価総額上位の銘柄が買われやすく、半ば総花的に買い戻しが利いた形だ。日銀の大規模金融緩和策の維持が発表され、外国為替市場では急速にドルを買い戻す動きを誘発、1ドル=143円台後半まで急速に円安が進んだ。しかし違和感もある。円安加速で真っ先に物色対象として浮かぶのは輸出採算の改善効果が見込める自動車株のはず。特に為替感応度の高いトヨタ自動車<7203>には強い追い風となる。だが同社株は投資マネーを誘引したとはいえ、上昇率は0.8%にとどまった。これは、今のマーケットで主力大型の同社株に対する実需買いニーズの乏しさを物語る。
一方、半導体製造装置関連はおおむね強い動きをみせている。これは生成AIというモンスター級の成長市場と半導体関連需要が併走して拡大していくという確信に近い期待が投資マネーを引き寄せている。半導体メモリーの在庫調整に神経を尖らせる地合いではなくなった。そうしたなか、物色対象もリターンリバーサルの動きを忠実に反映し、きょうは最近出遅れが目立っていたレーザーテック<6920>の上げ幅が相対的に大きくなっている。
もっとも、個人投資家目線ではこうした先物主導の相場に翻弄される大型株よりは、全体指数の影響を受けにくい材料株の方がハイパフォーマンスを期待しやすい面がある。タイミング的にも年末相場は海外勢がクリスマス休暇に入ることから、ニッチの有望株に目が向きやすい。ただし引き際は肝心で、チャートが崩れているのに放置するのは禁物。ロスカットを含めたケアが大切であり、時間を敵に回す展開にしてはいけない。
改めてここでマークしたい銘柄としてはまずフタバ産業<7241>。自動車部品株人気に乗って今月1日に十字足で876円の高値をつけたが、そこをターニングポイントに調整に入った。しかし、時価は75日移動平均線近辺で下げ止まっており、6倍台のPERと0.6倍台のPBRを考慮すれば実態面で買いに分がある。24年3月期営業利益は前期比で倍増する見通しだ。また、スカイマーク<9204>も底値圏もみ合いで1000円近辺に収れんしており妙味が漂う。24年3月期営業利益は前期比62%増の56億円を計画するが旅客数の増加と単価上昇効果で大幅上振れの公算が大きい。
既に株価が動き出している大興電子通信<8023>の切り返し波動にも着目。時価総額130億円前後の小型株だが、富士通<6702>の特約店でクラウドビジネスへの展開でも時流に乗る。営業利益は前期の2割増益に続き24年3月期も減益予想から一転して営業5割増益予想と目の覚めるような上方修正を行った。更にダイセキ環境ソリューション<1712>も上値慕いの動きが顕著。土壌汚染調査・処理事業を手掛けるが大規模案件の寄与で業績変化率には目を見張る。24年2月期営業利益は25億5100万円(前期比86%増)を見込み16年2月期以来8期ぶりの過去最高更新予想と申し分ない。
あすのスケジュールでは、11月の貿易統計、7~9月期の資金循環統計、11月の白物家電出荷額、11月の首都圏マンション販売、11月の主要コンビニエンスストア売上高、11月の訪日外国人客数など。IPOが2社予定されており、東証スタンダード市場にロココ<5868>、東証グロース市場にナイル<5618>が新規上場する。海外では12月の中国最優遇貸出金利、11月の英消費者物価指数(CPI)、7~9月期米経常収支、11月の米中古住宅販売件数、12月の米消費者信頼感指数など。(銀)
最終更新日:2023年12月19日 17時27分
株探ニュース