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Jトラスト Research Memo(5):2023年12月期第2四半期決算は、すべての利益項目が期初計画を達成(3)

特集
2023年9月5日 12時35分

■Jトラスト<8508>の業績動向

a) Jトラスト銀行インドネシア

インドネシアにおいて長期間にわたって預金保険機構の管理下にあったJトラスト銀行インドネシアについては、最優先課題の1つとして再生に取り組んできた。これまでに、同行の増資を行うとともに、不良債権の回収に特化した新会社PT JTRUST INVESTMENTS INDONESIAを設立して、同行から不良債権を切り離して譲渡することにより、財務体質の改善を図るなど銀行再生を加速してきた。ただ、銀行再生が計画どおりに進まなかったことから、2019年3月期に、買収前からの負の遺産を含めた不良債権を前倒しで一括処理する抜本的な対応に踏み切った。また、韓国で経営破綻した貯蓄銀行を2年半で通期黒転させた現 代表取締役副社長 千葉信育(ちばのぶいく)氏がインドネシアに入って経営再建を進めている。

Jトラスト銀行インドネシアは事業規模が損益分岐点を超えたことで、営業損益は2021年12月期の43億円の損失から2022年12月期には11億円の利益に改善し、2023年12月期第2四半期累計も8億円の利益(前年同期比4億円増)で、計画を2億円上回って着地した。黒字を目指すフェーズから、より多くの利益の積み上げを追求する段階に入ったと見られる。厳格な審査体制が整ったことで、より安全性の高いローンの増加が続いており、2023年6月末の法人大企業を中心とする貸出残高は前年同期比42%増の2,105億円と、想定以上に残高が伸びて過去最高を更新した。インドネシアでは実質GDP成長率が5%台に回復しており、資金需要が強まっているようだ。債権の不良化抑制と回収による不良債権金額の圧縮に加え、貸出残高の増加もあり、不良債権比率はインドネシア銀行業界平均の2.5%(2023年5月末)を下回る1.6%に低下した。2020年1月以降の新体制で積み上げた貸出残高は全体の92.61%まで拡大したが、その不良債権比率は0.08%の低水準に留まり、不良債権はほぼ発生していないなど、リスクマネジメントを強化した成果が現れていると言えよう。

また、預金残高も2,836億円(2023年6月末)に増加している。大口の高金利預金を抑制する一方、ショッピングモールでのキャンペーンなどにより小口の低金利預金を増やしたことで、資金調達額は主な競合銀行と比べて大幅に伸長した。一方、政策金利引き上げの影響を受けて預金金利は5.39%とやや上昇したが、2020年1月の7.08%からは低下していることもJトラスト銀行インドネシアの黒字化に貢献した。なお同行は、2020年1月にインドネシア証券取引所(IDX)で取引再開を果たしている。

b) Jトラストロイヤル銀行

2019年8月に、同社グループ6ヶ国目の進出先となるカンボジアの商業銀行ANZ Royal Bank (Cambodia)の株式55%を取得し、商号をJトラストロイヤル銀行に変更した。同行の資産規模は、カンボジア42行中TOP10に入る(2018年12月末当時)大手優良銀行である。2023年12月期第2四半期累計の営業利益は3億円と前年同期と同水準であったが、貸倒損失引当金の繰り入れ等により計画を3億円下回って着地した。貸出残高は、戦略的にコントロールし、2023年6月末には1,419億円と微減であった。不良債権比率は足元では若干上昇したものの3.8%と依然として低水準に留まっている。一方、戦略的に預金を集めた結果、預金残高は1,613億円に増加した。カンボジアでは信用力の高い米ドルが主に流通しており、銀行の預金金利は米国金利上昇の影響を受けて上昇傾向にあり、預金獲得競争が続いている。Jトラストロイヤル銀行では「Goal Saving」「The One」「Premier Savings Plus」などの普通預金商品を開発するなど、預金獲得施策を推進している。

(4) 不動産事業

不動産事業については、2022年12月期まではその他の事業に区分していたが、金額的重要性が増加したため、2023年12月期第1四半期から新たなセグメントとして区分している。主にJグランド(株) 、(株)グローベルス及び(株)ライブレントが国内で、またProspect Asset Management, Inc.が米国ハワイ州で、それぞれ不動産事業を行っている。2023年12月期第2四半期累計の営業収益は6,300百万円(前年同期は461百万円)、営業利益は9,308百万円(前年同期は45百万円の損失)となった。営業収益は、グローベルスとライブレントの連結取込や、Jグランドの不動産販売が本格化してきたことから増収となった。また営業利益は、吸収合併を行ったミライノベートの取得により生じた負ののれん発生益9,328百万円を計上したことにより大幅増益となった。以上の結果、不動産事業は、同社全体の2023年12月期第2四半期決算に大きく貢献した。

(5) 投資事業

投資事業については、主にJTRUST ASIA PTE.LTD.が投資事業及び投資先の経営支援を行っている。 2023年12月期第2四半期累計の営業収益は104百万円(前年同期比35.4%減)となり、訴訟費用の削減に努めたものの、960百万円の営業損失(前年同期は655百万円の損失)を計上した。ただ同社では、裁判継続中の貸出に対して既に十分な貸倒引当金を引き当て済であり、将来の回収金は利益計上されることから、今後も回収に尽力することで同社グループの業績に貢献する計画である。また、裁判が終結し、裁判費用が不要になれば、増益要因となる。

3. 財政状況と経営指標

2023年12月期第2四半期末の資産合計は、前期末比158,471百万円増の1,274,415百万円となった。金融事業の成長と事業ポートフォリオの再構築により資産は積み上がり、2022年12月期第2四半期末以降は1兆円超で推移している。2023年12月期第2四半期の資産の増加は主に、銀行業における貸出金が48,745百万円、その他の金融資産が74,248百万円増加したことや、ミライノベートの吸収合併により棚卸資産が16,031百万円増加したことなどによる。負債合計は、同120,830百万円増の1,104,423百万円となった。これは主に、銀行業における預金が101,160百万円増加したことなどによる。また、資本合計は、同37,641百万円増の169,991百万円となった。これは主に、ミライノベートの吸収合併等により資本剰余金が11,641百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上により利益剰余金が14,879百万円、海外子会社等の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が9,558百万円増加したことなどによる。

以上の結果、2023年12月期第2四半期末の親会社所有者に帰属する持分比率は12.0%(前期末は10.5%)となった。同比率は2017年3月期末の24.2%から低下しているものの、2023年3月期の東証プライム・スタンダード・グロース市場銀行業平均の4.32%やその他金融業平均の5.71%を大きく上回る強固な財務基盤を維持している。今後は、利益の積み上げに伴い上昇すると予想される。

2023年12月期第2四半期のキャッシュ・フローの状況としては、営業活動による資金の減少は25,450百万円となった。これは主に、税引前四半期利益10,284百万円の計上や、銀行業における預金の増加29,636百万円などの資金の増加があった一方で、負ののれん発生益9,328百万円の計上や、その他の金融資産の増加額が42,887百万円などの資金の減少があったことによる。投資活動による資金の減少は987百万円となった。これは主に、銀行業における有価証券の売却及び償還による収入69,302百万円と資金が増加した一方で、銀行業における有価証券の取得による支出68,320百万円、定期預金の増加額が4,041百万円などの資金の減少があったことによる。財務活動による資金の減少は1,845百万円であったが、これは主に長期借入金の純増1,113百万円と資金が増加した一方で、短期借入金の純減2,020百万円と資金が減少したことによる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《AS》

提供:フィスコ

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