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デリバティブを奏でる男たち【41】 オデイ・アセットのクリスピン・オデイ(後編)

特集
2022年12月5日 13時30分

◆ドゥーム・モンガー(破滅論者)

今回は2022年秋に起きた英国金融市場の混乱に乗じて、高いパフォーマンスを得たと報じられた英国老舗ヘッジファンド、オデイ・アセット・マネジメントのクリスピン・オデイを取り上げています。1994年に米利上げを見誤り、欧州債買いで手痛い失敗をしたオデイはリスク管理体制、財務管理体制、そして資産運用体制の強化を図りました。

特に資産運用体制では、他社から有能なファンドマネージャーを引き抜き、新たなファンドを立ち上げて運用を任せます。なかでも英スコットランドの投資運用会社、ベイリー・ギフォードでファンドマネージャーをしていたヒュー・ヘンドリーは大変優秀だったようです。しかし、彼は2005年にオデイを退社。それまでオデイで運用していたファンドを引き継ぎ、エクレクティカ・アセット・マネジメントを設立しました。もっとも、エクレクティカは運用成績の悪化が響き、2017年に解散しています。

ヘンドリーは基本的に逆張り投資家(コントラリアン)であり、挑発的な言葉で有名のようです。東京証券取引所が発表する投資部門別売買動向を見る限り、国内の個人投資家はコントラリアン、外国人が順張り投資家(トレンド・フォロワー)と言えそうですので、ヘンドリーは海外投資家には珍しいタイプと言えるでしょう。もっとも、このスタンスはオデイ譲りらしく、そのオデイはヘンドリー以上にコントラリアンで挑発的であると見られています。そのため、マスコミはオデイのことを業界のドゥーム・モンガー(破滅論者)と呼ぶほどです。

この逆張りの投資スタンスは、マーケットが荒れると非常に高い運用収益を生みます。特にオデイは2008年のリーマン・ショックの際、銀行株の空売りで名を馳せました。経営破綻に追い込まれた英国の銀行ブラッドフォード&ビングリーなどを大量に空売りし、2008年は54.8%もの運用成績を叩き出しています。しかも、その空売りポジションは2005年から構築していたと言うのですから、筋金入りのコントラリアンと言えるでしょう。

また、2016年の英国EU離脱を巡る国民投票において、第40回で取り上げたロコス・キャピタル・マネジメントのクリス・ロコスは、残留を前提にしたポジションを取り、投票結果を読み誤りました。しかし、何とか痛手を被らず、この年に20%ものパフォーマンスをあげたことは以前に触れた通りです。ところが、オデイはロコスとほぼ真逆のパフォーマンスとなりました。つまり、離脱することを前提としたポジションを取り、1日で約2.2億ポンド(1ポンド=137円として約301億円)も稼いだそうですが、その後の市場回復により数週間でこの稼ぎを吹き飛ばしてしまい、2016年の運用成績は49.5%もの損失を余儀なくされたと言います。

◆レオパレス21の突っ込み買い

オデイのコントラリアンぶりは日本でも有名になりました。建築基準法違反の疑いなどで2018年に株価急落に見舞われた賃貸大手のレオパレス21 <8848> [東証P]。この株式を急落後に5%以上も取得したことで大量保有報告書を提出します(なお、このときに旧村上ファンド系の投資会社レノなども参戦しています)。オデイはその後も買い下がりを続け、およそ1年後には発行済み株式数の17%近くまで買い集めました。

しかし、光通信 <9435> [東証P]系の資産運用会社アルデシアインベストメントが参戦する頃から、オデイの保有比率は減少し始めます。そして、2020年にレオパレス21が、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]系の投資ファンドである米フォートレス・イベンストメント・グループから計572億円の投融資を受ける頃には、オデイの保有比率は5%未満にまで減っていました。

ところが、2022年になって再び、オデイの保有比率が5%を超えたことが、提出された大量保有報告書によって確認されています。レオパレス21は2023年3月期に経常黒字に転換することを目指しており、株価は年初から回復基調をたどっています。オデイはこの点に注目したのでしょうか。今後の動向が気になります。

レオパレス21 <8848> [東証P] 週足

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◆若桑カズヲ (わかくわ・かずを):

証券会社で株式やデリバティブなどのトレーダー、ディーラーを経て調査部門に従事。マーケット分析のキャリアは20年以上に及ぶ。株式を中心に債券、為替、商品など、グローバル・マーケットのテクニカル・需給分析から、それらに影響を及ぼすファンダメンタルズ分析に至るまで、カバーしている分野は広範囲にわたる。MINKABU PRESS編集部の委託により本シリーズを執筆。


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