富士ソフトが逆行安、KKRが2段階TOBに変更し買収額引き上げの思惑が後退
富士ソフト<9749>が逆行安。同社に対し株式公開買い付け(TOB)を実施している米KKR<KKR>は19日、関東財務局に対し、公開買付届出書の訂正届出書を提出したと発表した。KKRはTOBを2段階で実施する形に変更し、10月21日までを期限とする第1回目のTOBでは、買付予定数の下限を撤廃する。KKRによるTOBには、シンガポールに拠点を置く投資ファンドの3Dインベストメント・パートナーズと、米運用会社ファラロンが応募済みのため、第1回目のTOBを経て、KKRは富士ソフト株を最低でも32.68%を保有する見通しとなっている。そのうえで、2回目のTOBでは買付価格を第1回目と同じ1株8800円に設定。買付予定数の下限はスクイーズ・アウトが可能な水準とし、上限は設定しない。富士ソフトに対しては米投資ファンドのベインキャピタルが、KKRよりも高いTOB価格で買収を提案していることが明らかになっている。今回のKKRの発表を受け、投資ファンド同士の買収合戦となりTOB価格が吊り上がるとの思惑が後退し、富士ソフトの株価に下押し圧力が掛かった。KKRは、ベインキャピタルによる富士ソフトへの提案を受け市場に混乱が生じ、一般株主が合理的な意思決定が難しい状況となっていると判断。TOBを2回に分けて実施することで、応募契約を結ぶ株主が確実に売却できるようにするとともに、情勢を見極めている株主が1株8800円で売却できる機会を設ける。
株探ニュース