【村瀬智一が斬る!深層マーケット】日米協議の進展期待が下支えに
「日米協議の進展期待が下支えに」
●「相互関税」発動で1年半ぶりに3万1000円割れ
日経平均株価はトランプ関税による不確実性の高まりを背景に、4月7日には2023年10月31日以来、約1年半ぶりに3万1000円を割り込んだ。報復関税の応酬がもたらす世界経済の急減速が警戒されて市場センチメントが大幅に悪化した。その後はリバウンドの動きをみせてきているが、連日4ケタの騰落幅となるなかで積極的な売買は手控えられている。
一方、トランプ政権は報復措置を講じない国・地域に対しては相互関税を90日間停止している。この間に各国との政府間協議が進められるとみられ、日米交渉の進展期待に伴って下値の堅さが次第に意識されてくるだろう。
日本政府は作業部会を設けて、交渉や国内産業支援に対応する。日米協議の焦点は、日本車への25%の追加関税や米国が求める農産物市場の開放などへの対応となるが、赤沢亮正経済再生担当相は「国難とも言えるこの状況を何としても乗り越えないといけない。全力、かつ最優先で取り組む」と述べている。
今後、リスク回避の地合いにおいても相場に底堅さがみられてくれば、関税リスクの影響が限られる内需系セクターや独自の強みを持つ企業などを選好する流れに向かいそうだ。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆寿スピリッツ <2222> [東証P]
地域限定ブランド、ギフト用の土産菓子を手掛ける菓子大手。インバウンド(訪日外国人)向けの売り上げ増と新規出店により事業規模が拡大している。2025年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結営業利益は前年同期比15.4%増の135億4500万円で着地。通期計画に対する進捗率は77%と順調である。JR各社が発表したゴールデンウイーク期間の新幹線・在来線の指定席の予約状況は概ね前年並みだが、JR北海道は前年比8%増と新型コロナウイルス流行前を上回っており、同地域での売上増が期待できそうだ。株価は52週移動平均線が支持線として機能する形でリバウンドをみせ、26週線突破から13週線を捉えてきた。
◆シンプレクス・ホールディングス <4373> [東証P]
金融機関向けシステム構築が主軸。戦略/DXコンサルティング、システムインテグレーション、運用サービスの各セグメントが堅調に推移し、2025年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結営業利益は前年同期比9.7%増の70億700万円と順調だった。2025年3月期を初年度とする3カ年の中期計画では、最終年度の2027年3月期の業績目標を売上収益600億円(2025年3月期予想468億円)、営業利益150億円(同106億円)に設定している。株価は200日線割れの水準から反発に転じ、75日線に続き25日線を上回ってきた。
◆バンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]
玩具、 ゲームやアミューズメント施設などを展開する総合娯楽企業。IP(知的財産)価値の最大化を図る「IP軸戦略」を推し進めている。1月に子会社バンダイナムコフィルムワークスが米映画制作会社レジェンダリー・エンターテイメントと共同投資契約を締結。「機動戦士ガンダム」シリーズのハリウッド実写映画「GUNDAM(仮)」を制作し、全世界で公開する計画である。また、4月1日付で北米地域統括会社の子会社「バンダイナムコフィルムワークスアメリカ」を設立。海外のライセンス事業と「ガンダム」シリーズのブランド価値の拡大に向けて活動する。株価は3月26日に付けた上場来高値5300円をピークに調整していたが、75日線にサポートされる形で反発している。
◆吉野家ホールディングス<9861> [東証P]
牛丼チェーン「吉野家」などを運営。およそ12年半ぶりとなる社長交代を発表し、新たな経営体制での運営が注目される。4月10日に発表した2025年2月期の連結営業利益は前の期比8.4%減の73億600万円だった。コメや牛肉などの食材価格や人件費の上昇が利益を圧迫した。2026年2月期の営業利益は前期比1.3%増の74億円と増収増益を見込む。また、同日、牛丼大盛りなど一部商品の値上げを実施しており、価格改定の効果が期待される。株価は直近のリバウンドで200日線を突破し、3月11日高値の3124円を射程に捉えた。
◆コナミグループ <9766> [東証P]
家庭・携帯用ゲームが主力。スポーツ施設で首位。発売中の「プロ野球スピリッツ2024-2025」(PlayStation・Steam対応)を、4月下旬に2025シーズンの最新データへアップデートする。また、累計ダウンロード数が500万を突破したモバイルゲーム「eBaseball MLB PRO SPIRIT」で、大谷翔平選手が選出したMLB6選手が登場する「大谷セレクション」を4月2日からスタートしており、大谷選手の活躍とともに同ゲームの人気の高まりが期待される。株価は2月19日に付けた上場来高値1万9645円をピークに調整を続けていたが、75日線が支持線として機能する形でリバウンドをみせてきた。
(2025年4月11日 記)
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株探ニュース