ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (6)有望株発掘は業績評価が決め手!

特集
2019年10月4日 10時30分

「有望銘柄の発掘は業績評価が決め手! 将来性があるのに割安な銘柄を探そう」

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆割安株探しには「3大指標」を活用!―PER、PBR、配当利回り

第2回目の「意中の銘柄は検索機能でさくっと調べよう!」では、個別銘柄のページの銘柄欄について株取引に必要な知識を中心に解説しました。今回は個別銘柄ページを活用して、業績を評価する時に必要となる基礎知識を中心に確認していきましょう。

まずは、銘柄欄の右半分に記載された銘柄分析に欠かせない各種指標を用いて、現在の株価が業績に対して割安なのか、それとも割高なのかを確認していきます。なぜなら、どんなに魅力的なサービスや商品を提供していても、またどんなに人気がある銘柄でも、株式市場がつけた現在の株価が過大な評価であるのなら、株価がさらに上昇することは難しいからです。

図3 割高・割安を判定する基準となる「3大指標」

【タイトル】

企業の業績や成長性などから株価の割高性や割安性を分析するする時に利用するのが「PER」と「PBR」です。株式投資で利益を上げていくためには欠かせない指標になりますから、しっかりと身に付けてください。

「PER」は「株価収益率」とも言い、「PER(倍)=株価÷1株利益」で計算することができます。株価水準と企業の収益力を比較することで、現在の株価が割安なのか、それとも割高なのかを分析します。計算式を見てわかるとおり、株価が1株利益の何倍であるのかを表しています。PERは1株利益や株価の水準によって変動することを理解しておかなければなりません。

たとえば、1株利益が2万円で株価が20万円ならば、PERは10倍(20万円÷2万円)です。これが何を意味しているのかと言えば、株価が20万円の株から1年間に得られる利益は2万円なので、株で得られる株式益回りは10%(2万円÷20万円)ということになります。20万円の株価が30万円になったのに、1株利益が2万円のままならPERは15倍(30万円÷2万円)になります。しかし、株価が30万円になっても1株利益が2万円から6万円に増えれば、PERは5倍(30万円÷6万円)になります。すると株式益回りは20%(6万円÷30万円)になります。

PERが低いほど株で得られる株式益回りは高くなるので、PERは低いほど期待できるリターンが大きくなるわけです。一般的にPERは15倍以下が割安とされていますが、業種によっても異なります。同業他社と比較して、どの程度の水準のPERなら妥当かを判断する必要があります。

また、私たち個人投資家としては、できれば大化けする有望成長株を狙いたいもの。有望成長株は、現在の企業業績がさらに収益力を高めて飛躍していく可能性のある企業です。成長性のある企業は期待値が高い分、PERは高くなる傾向にあります。成長力が高い企業の場合、1株利益が伸びる可能性が高いと考えられるため、PERが割高だったとしても許容されることがあるのです。

ただ、高いPERが許容されるほど業績への期待値が高くなっていることの証でもありますから、これまで以上の成長性を維持できなくなった場合には、PERは割高だと判断されることになります。結果として、将来性を期待して買われて高いPERを叩き出した分だけ、株価は下落する事態となるのです。ですから、企業の業績に陰りが見えないか、決算書などで継続して確認していくことが大切になります。

「PBR」は「株価純資産倍率」とも言い、「PBR(倍)=株価÷1株株主資本(純資産)」で計算することができます。PBRでは、マーケットが評価した株価(時価総額)が、会計上の解散価値(株主資本)の何倍であるかを表しています。1株株主資本は、会社が解散した場合、1株主に資産がどの程度配分されるかを表しています。

PBR1倍は、株価と株主資本が等しい、プラスマイナスゼロの状態のことで、会計上の解散価値にあたります。もしPBRが1倍を割り込んでいる(=解散価値を下回る)のならば、会社を解散して資産を分配した方が株主にメリットがある状況といえます。

しかし、そううまく計算通りにいかないのが株式投資の世界。1倍を割り込んでいる企業はごろごろ転がっています。

基本的には、1倍を割り込んだ数値である場合には、いずれ1倍に戻ることが期待されるので割安であると考えることができます。これが「割安(バリュー)株」として評価される根拠となるわけですが、たとえば、将来の業績に不安がある場合には1株株主資本も先々減少してしまう可能性があります。この場合には、経営状態に不安が発生しているわけですから、1倍を下回っていても仕方ないと考えられなくもないでしょう。

ですから、「1倍を下回っていてるから割安だ」と単純に考えるのではなく、「今後の業績も順調そうなのに1倍を下回っているから割安だ」と判断できる銘柄を選別していく必要があるのです。

「利回り」は配当利回りのことで、「利回り(%)=1株当たり配当金÷株価」で計算されます。企業は利益の一部を還元するために株主に配当金を支払うのが一般的ですが、業績不振や経営方針などで配当金を支払わない企業もあります。超低金利が続く日本では、配当金の多い企業、いわゆる高配当株に人気が集まりやすくなっています。

決算書などでは通常、1株当たりの配当金額が記載されています。しかし、銘柄ごとに株価は異なりますから、配当金がどの程度オトクなのかを判断することは困難です。そこで、1年間の配当金が株価に対してどの程度オトクなのか、という観点から比較を行えるようにしたものが「配当利回り」です。配当利回りは株価や業績によって常に変動するという点には注意が必要です。

配当金は業績動向に影響を受けますから、業績が好調であれば増える傾向にあり、業績が低迷すれば減る傾向にあります。もちろん、株価も業績の影響を受けて、値上がりしたり、値下がりします。

株を購入した時点では高配当だったのに、そこから株価が値上がりすれば配当利回りは下がります。ただ、株価が値上がりすればその分、含み益が発生した状態になります。反対に、株価が値下がりすれば配当利回りが高くなりますが、含み損が発生した状態になってしまいます。

つまり、当初の配当金額を維持、もしくは増加させられるほど業績好調を維持できる銘柄を選ぶことが大切になります。さらに、業績が好調な銘柄の株価は一般的に下値不安が乏しく、含み益を期待できる可能性も高くなります。

次ページ:株価を動かす信用需給、売り方・買い方の力比べ

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