すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 某OL(emi)さんの場合-第3回
"とりあえず買い"で、資産を1.5億から3億円にした「守り×攻めの売買手法」
登場する銘柄
マーケットエンタープライズ<3135>
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
女性の兼業投資家。2018年に退職して専業投資家に転身後、現在は自身のペースによりフリーランスのスタイルで仕事をする。投資を本格的に始めたのは2008年、最初の本格投資の対象が日経225のオプション取引という異色の投資人生を歩み始める。日経平均株価が大きなトレンドが出にくい状況に対応した戦略が奏効、わずか3年後には「億り人」に。14年頃からは日本株の個別株投資を本格化させ、現在は守り主眼で株主優待株やバリュー株、値上がり益狙いで新興・成長株を売買しながら、リスクヘッジでオプションを活用。個別株投資では業績の変化や、日常の報道番組から消費者に広がるブームを先取りする方法などを取る。
女性投資家である某OL(emi)さん(ハンドルネーム、以下、某OLさん)は、オプション取引で資産を7倍化させた後、個別株投資に主軸を移して、さらに資産を2倍ほど拡大することに成功した。
個別株投資で某OLさんが意識しているのが、「分散」。その特徴は、銘柄数のみならず投資戦略も分散させること。戦略ではバリューとグロースに分け、
バリューはPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)を掛けたミックス係数などを活用、
グロースでは「変化」や「ブームの兆し」にこだわり、四半期決算やテレビ番組などを活用、
――する。
今回は、成長株投資について、「これは」と思う銘柄を見つけた後に実際どう売買していくか、そのポイントを探っていこう。
「分散」「オプション取引の下げヘッジ」で前向き投資を実現
決算などで有望銘柄を見つけた後、いつ買い出動していつ売るか。某OLさんの場合、「いいな」と思う銘柄を見つけた時は「躊躇なく買う」というのが基本方針だ。チャンスの芽を摘んでしまわぬよう、とにかく行動に移すことを優先する。
まずは、ここぞと思うタイミングに少数単位で、買いまたは買いの指し値を入れて参戦してみるのだ。少数でともかく買ってみるのには目的がある。それはウォッチリストに加えることだ。
ウォッチリストというと購入前に、購入の是非、購入するとしたらいつなのかを判断するための銘柄群という位置づけにしている投資家が多いかもしれない。だが某OLさんは、実際に購入して自分の証券口座に掲載される「保有銘柄一覧」そのものを、ウォッチリストにしている点が特徴だ。
このやり方の場合、購入時に「読みが外れて株価が下落する」という不安は当然のようにある。それでも実行できるのは、某OLさんの場合は複数のヘッジ手段を講じているからだ。
その1つが「分散」。これまで紹介してきたように、同じ成長株投資のグループだけでも40~60銘柄を保有し、「今買った銘柄がたとえコケても、他が頑張ってくれるはず」という気持ちの余裕を持てる。
もう1つは、オプション取引による下げ局面へのヘッジ。個別株投資と並行して仕掛けているオプション投資では、「日経平均株価が一定範囲で下落した場合に儲けが出る」というヘッジ取引を行っている。さすがに昨年末のような大暴落ともなると安泰ではないが、一定の範囲での下落なら、全体相場が下がった時に利益が出る設計に。これも安心感をもたらす材料になっているという。
こうした体制を敷いた上で、チャンスの釣糸をたくさん垂らして前向きに向かう。これが投資で成功できたポイントの1つだ。
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