この記事はプレミアム会員限定です

結局のところ、「ESG」って儲かるの?

特集
2020年1月22日 11時40分


大川智宏の「日本株・数字で徹底診断!」 第33回

MSCIの指数は、特にグローバル株式についてこれらすべての独立した指数(Environment指数、SRI指数、Governance Quality指数)があるため、それぞれの要素のパフォーマンスを比較することが可能です。計測は、前述までと同様にMSCI World指数との相対値とし、2015年1月を1として先の3つの指数の推移を比較してみます。

■グローバル株式のESG各指数のパフォーマンス推移(2015年1月=1)

【タイトル】

出所:データストリーム。注:MSCI Worldとの相対値

グローバル株はG(企業統治)>S(社会)>E(環境)の状況に

想像通りといってしまえばそれまでですが、やはり株式投資の観点に一番近い「Governance Quality指数」が最もパフォーマンスが良く、逆に最も関連が薄そうなEnvironment指数はパフォーマンスが悪いという結果になります。特にEnvironment指数は、MSCIの定義で「売り上げの50%以上を環境に有益な商品・サービスから得ている企業」としており、やや設計が極端な印象を受けます。

意外にもSRI指数のリターンは悪くなく、特に2019年以降は安定的に推移しています。MSCIの定義では、この指数は母集団から環境または社会的に悪影響を及ぼす可能性のある製品・サービス(タバコ、ギャンブル、アルコール、原子力など)を提供する企業を除外してESGスコアを計測するようです。そのため、母集団が限定されている以外はESG全体の指数と作成の方向性は同一であり、傾向として大きな差は出にくいのかもしれません。

何にせよ、Governance Quality指数のパフォーマンスは圧倒的であり、ESGの中でも突出して重要性が高いといえます。コーポレートガバナンスは、もはや形式や机上の空論ではなく、実際に株式投資のパフォーマンスに大きく影響することの疑いようのない証明といえるでしょう。

日本株もG(企業統治)が好調

次いで、日本株についてもGovernance Quality指数を見てみます。参考までに、前掲のMSCI Japan ESG Leaders指数と比較しています。

■MSCI Japan Governance Quality指数のパフォーマンスの推移(2015年9月=1)

【タイトル】

出所:データストリーム 注:MSCI Japanとの相対値

ESG Leaders指数と比較するとブレは大きいものの、こちらも2018年後半以降から驚異的なパフォーマンスを見せており、上昇のタイミングがESG Leaders指数と比較して早くなっています。

この動きは、グローバル株式のGovernance Quality指数の動きとも整合的で、海外マネーのシェアの大きい日本株市場においてもガバナンスの重要性は同様であり、株価のパフォーマンスに強く働きかけていることは間違いなさそうです。

参考までに銘柄リストを添付します。

ガバナンス評価に関してはベンダー各社が様々な指標を提供していますが、取得の容易さの観点で、金融サービス会社の米MSCIがWeb上で定期公表している「MSCI Japan Governance Quality指数」構成銘柄の上位10社とそのウエイトを、公益社団法人会社役員育成機構がWeb上で公表している「CGレーティングスコア」を使用しました。

また、念のためESG全体の質の高さも加味する観点から、金融情報会社のリフィニティブ(Refinitiv)が提供する「ESGスコア」も使用して銘柄を選定しています

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ 参考銘柄リストは

<    >

こちらは株探プレミアム限定記事です。プレミアムプランをご契約して読むことができます。
株探プレミアムに申し込む (初回無料体験付き) プレミアム会員の方はこちらからログイン
プレミアム会員になると...
株価情報をリアルタイムで提供
企業業績の表示期数を拡大
限定コラムが読み放題

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.