ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (15)株価の下落も上昇もチャンスにできる信用取引

特集
2020年2月28日 15時30分

レバレッジの活用は、地合いとリスク管理が大切!

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆ハイリスクながらハイリターン、活用には仕組みの理解が不可欠

ソフトバンクグループを例に信用取引の動向を確認してみましょう(図3参照)。「信用取引(単位:千株)」の表では、1月24日の「買い残」は「19,451.0」ですが、2月14日には「12,316.6」まで減少しています。チャートを見るとわかりますが、株価が下落した時には買いのチャンスだろうと考える投資家が増えて信用買いが増加する一方、株価が上昇した時には信用で買った投資家が利益を確定するために「売却=決済」に動いている様子がうかがえます。

反対に「売り残」は、1月24日は「3,177.5」ですが、2月14日には「4,192.2」と、株価が上昇するにつれて積み上がっています。株価が上昇する過程で買い方が利益確定を進める一方、売り方は買われすぎとみて信用売りに動いていることが、信用倍率の数値が「6.12」から「2.94」まで低下している(=好取組)ことからもわかります。

図3 ソフトバンクグループの信用取引データ

ソフトバンクグループの信用取引データ

信用買いも信用売りも、レバレッジを効かせられる分、相場の地合いの影響を受けやすい取引であるといえます。たとえば、不測の事態で株価が大幅に下落すれば、チャンスと考える投資家の信用買いが増える傾向にあります。しかし、そこからさらに株価が下落すれば、レバレッジを効かせた分だけ損失が膨らみ、損失に耐えられない投資家がぶん投げる(=損失覚悟で決済を行う)場合も出てきます。安易な買いにより信用買い残が積み上がることで、株価下落を加速させるケースも時にはあるのです。

反対に株価の上昇が継続している時に、「この業績で株価がこんなに上がるのはおかしい」などとしっかりとした分析を伴わずに安易に株を空売りしてしまう場合もあるでしょう。大半の人が買いの取引で株価上昇を喜んでいる時に、信用売りの投資家だけが損失を膨らませることになっても、「いやいや株価は下がるはずだ」とムキになって取引してしまうこともあります。しかし、株価がどんどん上昇すれば損失が膨らんでいくことになり、その損失に耐え切れなくなって空売りをした時よりも高い株価で株を買い戻す(=決済)ことで、株価がさらに上昇してしまう場合もあります。これを「踏み上げ」といいます。大半の人が儲かっているなか、自分だけ損失を被るというのはかなりつらい状況ですから、株価が高い(高すぎる)からという理由で安易に空売りを仕掛ける時にはそれなりの覚悟が必要になるでしょう。

結局のところ、信用取引はそこそこリスクのある取引ですので、必ず使わなければならないわけではありません。しかし、うまく活用できれば株価が上げても下げても資金を急速に増やせることも事実です。仕組みを理解したうえでうまく活用できるといいですね。

次回も信用取引など株価に影響を及ぼすさまざまな要因について解説していきます。

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