この記事はプレミアム会員限定です

ステイホームで増殖、イナゴ投資家の好みは「低」

特集
2020年7月8日 10時30分

大川智宏の「日本株・数字で徹底診断!」 第44回

具体的には、母集団のうちで過去1週間の株価リターンが下位30%の銘柄を買い持ちし、上位30%の銘柄を売り持ちしたロング・ショートのパフォーマンスを累積したものになります。

■中小型・リターンリバーサルの投資効果と個人投資家の売買シェア

【タイトル】

出所:データストリーム

もともと中小型株は需給の関係でリターンリバーサルが機能しやすいことで知られていますが、個人投資家の売買シェアの高まりと共に2020年3月に突出したパフォーマンスの高まりが見られます。コロナ禍で暴落した銘柄に、個人投資家の資金が一気に流れ込んで急反転相場を演出していたことが分かります。

さて、これまでのデータを踏まえれば、考えられる投資アイデアはシンプルです。上述までの個々のファクターでも十分に投資アイデアになります。パフォーマンスと精度を向上させるため、上述の条件をすべて組み込んで検証を実施してみます。

時価総額1000億円未満の銘柄を4つの銘柄群に分けて検証すると

以下が、銘柄の選定プロセスのイメージです。イナゴの大群の生態と特性を組み込んだ、イナゴ・ストラテジーともいうべきアイデアでしょうか。

■イナゴ・ストラテジーの銘柄選定イメージ

【タイトル】

出所:智剣・Oskarグループ

銘柄選定の流れを以下に確認します。それは、

 ・ 東証1部上場銘柄のうちで時価総額1000億円未満の中小型株を母集団とし、
 ・ 株価水準(低位、高位)とリターンリバーサルの双方の条件を合わせ4つの群に分け、
 ・ 4つは「高位・高リターン群」「高位・低リターン群」「低位・高リターン群」「低位・低リターン群」になり、
 ・ これらのパフォーマンスを検証する

――となります。

なお高低の判断は、今までと同様に母集団内上位・下位30%を閾値としています。結果は、以下の通りです。

■イナゴ・ストラテジーのパフォーマンス(TOPIX相対)

【タイトル】

出所:データストリーム

最近まで売られていた安値の株が最も高いパフォーマンスに

まさに、想定通りの結果といっていいでしょう。中小型株で、かつ低位・低リターン株という、個人投資家が最も好みそうな銘柄が、最もパフォーマンスがよく、その逆となる高位・高リターン株のパフォーマンスが最も悪くなります。

そもそも中小型株は個人投資家の主戦場であるため、現在のような個人投資家の売買シェアの高騰する局面以外でも、この戦術は良く機能していることが分かります。もちろん、図を見て分かる通り足元でも投資効果は健在です。

コロナの感染拡大の第2波が世界中で懸念され、日本でも東京を中心に再び感染者数が増加している現状を踏まえれば、6月以降で楽観的な動きが先行していた状況から、再び外出自粛への動きが強まる可能性も出てきています。

そのため、今後しばらくの間は、ステイホーム系個人投資家、つまりイナゴ投資家は増えこそすれ減る見込みは低い、ということになるでしょう。こういった投資スタイルの傾向が継続するか、さらに強まってくる可能性が高いと考えるべきかもしれません。

最後に、参考までに今回の分析に回答する銘柄の例を添付します。なお次ページの表の脚注にも記しましたが、リスクの高い戦略なので、過去12カ月の純利益が赤字の銘柄は対象外にしています。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ 該当銘柄リストは

<    >

株探ニュース



こちらは株探プレミアム限定記事です。プレミアムプランをご契約して読むことができます。
株探プレミアムに申し込む (初回無料体験付き) プレミアム会員の方はこちらからログイン
プレミアム会員になると...
株価情報をリアルタイムで提供
企業業績の表示期数を拡大
限定コラムが読み放題

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.