“できる営業”はオンライン商談へ、関連株立ち上がりの兆し <株探トップ特集>

特集
2020年7月16日 19時30分

―ポストコロナは営業活動も変える、上場企業も取り組み本格化―

新型コロナウイルス 感染症の拡大はいまだ収束が見えないものの、社会は徐々に新型コロナウイルスとの共存(withコロナ)を図る「ポストコロナ」の世界へ進み始めている。ポストコロナの世界では、「マスクの着用」「三密を避ける」「手洗いを頻繁にする」といったガイドライン的対応だけではなく、ビジネスの現場ではテレワーク の利用が一般化し、教育の現場ではオンライン学習が広がりをみせるようになるだろう。

特に現在、広がりをみせているのがテレワークだ。東京都が従業員数30人以上の都内企業1万社に対して2020年3月及び4月に行ったテレワークの導入状況アンケート調査によると、導入していると回答した企業は、4月は62.7%と3月の調査より38.7ポイントの大幅増となった。

テレワークの普及に伴い、事務業務や打ち合わせをリモートやオンラインで行うだけではなく、企業の営業活動継続においてもオンラインを導入するケースが増えている。コロナの感染拡大を防止する観点からも、パソコンなどの画面越しに商談する非対面の営業手法は重要度が増すとみられており、関連する企業のビジネスチャンス拡大につながろう。

●オンライン商談の裾野広がる

オンライン商談システム「bellFace(ベルフェイス)」の開発・販売事業を行うベルフェイス(東京都渋谷区)が5月に発表したオンライン商談に関する実態調査によると、オンライン商談を導入しているのは52.0%だった。そのなかでも、新型コロナウイルス感染症対策として導入を始めたのが48.5%、本格的に稼働したのが28.1%と、感染症対策をきっかけにオンライン商談が広がっていることがうかがえる。

また、オンライン商談の継続については「続けたい」とする回答は25.2%だったが、コロナ前から導入済みの人に絞ると「続けたい」が44.3%と上昇している。

この背景には、コロナ禍により急遽導入したケースと、コロナ禍前から導入しノウハウを積み上げてきた差があるとみられている。また、「続けたい」とした理由として、移動コスト削減や利便性といったメリットが挙げられているという。こうしたメリットが評価されれば、ポストコロナでもオンライン商談を導入する企業の増加が期待できよう。

●専用ツールを展開する企業に注目

オンライン商談ツールで注目されるのが、テレワーク関連の代表格であるブイキューブ <3681> だ。同社ではオンライン商談に向けて、専用のWeb会議ツール「V-CUBE セールスプラス」を提供している。営業担当者は専用のログイン画面からIDとパスワードを入力してログインする一方、顧客はブラウザに簡単なURLを入力するだけで、すぐに商談をスタートできるというもので、電話での音声を補足する「高画質な映像」と「画面共有」「資料共有」「ファイル転送」などの機能やテキストによる「チャット」機能を搭載。安定した接続性により顧客にストレスを感じさせない営業活動が行えるのが特徴という。同社では9月末まで無償提供を行っており、将来の顧客獲得につながることが期待されている。

また、ソフトクリエイトホールディングス <3371> 子会社でEC支援を手掛けるecbeingは、オンライン商談システムツール「WEBセールス・オフィス」をサブスクリプション型で提供している。同サービスは、スマートフォンやタブレットで営業担当者同士が取引先の状況をリアルタイムに確認可能で、顧客とブラウザで同一の画面を見て一緒に商品の選択や販売をすることが可能なほか、顧客の操作を営業担当者がサポートすることで対面と変わらない営業が実現できることなどが特徴。ECサイト運営者などに納入実績を増やしている。

Sansan <4443> [東証M]は、法人向けクラウド型名刺管理サービス「Sansan」の提供が主力だが、オンライン商談に向けてオンライン名刺サービスを6月から提供している。同サービスは、「Sansan」ユーザー同士だけではなく、「Sansan」ユーザーと一般ユーザーとのオンライン名刺交換も可能で、テレビCM効果もあり、「Sansan」の利用拡大に貢献している。

●インサイドセールス関連にも

また、オンライン商談同様に、非対面で注目されているのがインサイドセールスだ。

営業活動は「フィールドセールス」と「インサイドセールス」の2つに大別できるが、客先に訪問し対面で営業を行う「フィールドセールス」に対して、「インサイドセールス」は直接対面せずに、電話やインターネットなどを使って営業活動を行うというもの。現状や課題のヒアリングやニーズの把握、見込み客の確度の見極めなどをインサイドセールスで行い、成約確度の上がったものをフィールドセールスで対応するケースが多いが、商材によってはインサイドセールスのみで受注まで完結させる場合も増えている。

このインサイドセールスで注目されるのが、ブリッジインターナショナル <7039> [東証M]だ。同社はインサイドセールスのアウトソーシングサービスを展開。5月に発表した第1四半期(1-3月)単独業績では、足もとで引き続き既存顧客の取引規模が拡大しているほか、新規顧客も順調に獲得が進んだとしており、同事業は前年同期比14.5%増と伸長。20年12月通期営業利益は4億2400万円(前期比10.0%増)と2ケタ増を見込んでいる。

また、インサイドセールスでは、MA(マーケティングオートメーション)や、SFA(営業支援システム)/CRM(顧客管理システム)などのツールの活用が重要となるが、シャノン <3976> [東証M]は、MAツール「SHANON MARKETING PLATFORM」を提供し、顧客の管理から見込み顧客の育成まで、メールマーケティングを中心にセミナー/イベントの管理を支援している。6月に発表した上期決算でもMAサブスクリプション売上高が前年同期比16.6%増と伸長しており、業績向上に貢献している。

ユーザベース <3966> [東証M]は、企業・業界分析を行う企業向けデータサービス「SPEEDA」や、国内経済メディア「NewsPicks」を運営しているが、子会社FORCASが、セールスリサーチプラットフォーム「FORCAS Sales」をリリースした。営業前の情報収集で顧客課題を特定するのに効果を発揮するとしており、注目したい。

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