「夏の株主優待」シーズン特選株、狙うは“業績拡大中” <株探トップ特集>

特集
2020年7月13日 19時30分

―配当&優待“見直しリスク”避ける収益良好企業ピックアップ―

コロナショックによる記録的な相場急落で、ここをチャンスとみた投資初心者の参入が増えるなか、個人投資家に人気の高い株主優待や配当利回りへの関心が高まっている。安定株主を求める企業としては積極的に個人投資家を取り込みたいところだが、 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞を受けて企業業績は急激に悪化しており、株主優待や配当を見直す企業が相次ぐ状況となっている。こうしたなか、今回は足もとの業績が好調で株主還元を維持する可能性が高いとみられる企業に注目し、これから権利確定月を迎える7月と8月の株主優待銘柄の中から、収益面の良好さを兼ねそろえた銘柄を探った。

●コロナ直撃の最中に利益成長を維持した優待銘柄

7月、8月に株主優待を実施するのは合計で148銘柄。2月と8月を本決算月とする小売りや流通業がその中心になるが、これらの企業の3-5月期決算発表が佳境を迎えている。10日までに発表を終えた企業を調べたところ、食品スーパーホームセンタードラッグストアといった巣ごもり消費の恩恵を受ける一部業種では好決算が目立ったが、新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化する企業は多く、全体のおよそ65%が営業利益段階で減益もしくは赤字となった。業績不振が続く企業は株主還元を見直す可能性が高まるため、インカムゲインを狙う際は直近の業績動向に留意が必要だ。

以下では、7月と8月の株主優待銘柄のうち、直近四半期の業績が好調で株主優待と配当を縮小するリスクが少なく、かつ業績成長を背景にキャピタルゲインも期待できる銘柄をピックアップした。なお、株主優待や配当を手に入れるには権利付き最終日に株式を保有している必要がある。権利付き最終日は権利確定日の「2営業日前」で、月末締めの場合、7月は29日、8月は27日に株式を保有することが必須条件となる。

※併記した「トータル利回り」「最低投資金額」は7月13日現在の優待品、配当、株価から算出。トータル利回りは今期予想ベース。

【CRE】 トータル利回り:2.33% 最低投資金額:15万9000円

最初に紹介するのは、物流施設に特化した不動産会社のシーアールイー <3458> 。7月優待銘柄から唯一の選出となった。同社の株主優待は100株以上保有する株主に対し、クオカードを1月末に500円分、7月末に1000円分それぞれ配布するというもの。一方、配当の基準日は期末一括で、20年7月期は22円(前期比1円増)を実施する予定だ。権利付き最終日である7月29日に100株保有していると、クオカード1000円分と配当金2200円を獲得できる。業績面では、第4四半期に売却する物流施設3物件の採算が向上することを踏まえ、6月29日に今期の営業利益予想を大幅増額修正している。EC市場の拡大を背景に物流不動産ニーズは強く、来期も業績拡大が見込まれている。

【西松屋チェ】 トータル利回り:3.68% 最低投資金額:11万1300円

ベビー・子供用品の専門店を全国展開する西松屋チェーン <7545> の株主優待品は買い物カードで、毎年8月20日と2月20日に100株以上を保有する株主を対象に、保有株数に応じて1000円から5000円相当をそれぞれ付与する。20年2月からは長期保有優遇制度を開始しており、3年以上継続保有する株主には保有株数によって500円から5000円相当が追加される。配当はリーマン・ショックが直撃した09年2月期も減配しておらず安定感抜群だ。21年2月期は前期と同額の21円を予定する。足もとの業績は絶好調で、第1四半期決算発表と同時に通期計画の上方修正に踏み切った。コロナ禍で衣料関連が軒並み苦戦を強いられるなか、異彩の強さをみせている。指標面では予想PER16倍台と割高感はなく、上値期待は大きい。

【リテールPA】 トータル利回り:2.0% 最低投資金額:21万300円

中国地方で食品スーパーを展開するリテールパートナーズ <8167> は株主優待に選択制を採用している。毎年8月末と2月末時点で100株以上を保有する株主を対象に、(1)1000円ごとに1枚(100円相当)使用可能な株主優待券、(2)JCBギフトカード、(3)「ぶちうま!山口カタログギフト」(1000株以上保有で選択可)のいずれかを贈呈する。100株保有の場合、株主優待券10枚またはJCBギフトカード1000円分が半年ごとに配布される。配当の権利月も中間期と期末の年2回で、8月末は12円を実施する方針だ。第1四半期決算発表前の今月2日に早くも通期業績予想を大幅増額修正しており、業績面からは株主還元の縮小リスクは少ないといえる。

【BS11】 トータル利回り:3.7% 最低投資金額:10万8200円

ビックカメラ <3048> 傘下のBS放送局である日本BS放送 <9414> の株主優待品は、ビックカメラ、ソフマップ、コジマ <7513> の各店舗で利用できる商品券だ。毎年2月末と8月末時点で100株以上を保有する株主に対し、それぞれ1000円分を配布するほか、継続保有期間が1年以上の株主には、8月に1000円分を追加で贈呈するという長期保有特典もある。一方、配当の権利月は8月の期末一括で、20年8月期は前期と同じ20円を計画する。3日に発表した20年8月期の第3四半期業績は、番組関連費用の減少や広告出稿の効率化などで営業利益が16億7200万円(前年同期比25.4%増)と大幅増益を達成した。通期計画の15億1000万円を既に上回っており、業績上振れが期待される。

【トライSTG】 トータル利回り:3.39% 最低投資金額:14万1600円

テレビ通販などのマーケティング支援を手掛けるトライステージ <2178> [東証M]の株主優待制度は、毎年8月末と2月末時点で400株以上を保有する株主にクオカード1000円分、2000株以上保有株主に同5000円分を年2回贈呈するというもの。配当は2月の期末一括で21年2月期は7円(前期と同額)を予定している。10日に発表した21年2月期第1四半期決算で営業損益は3億6000万円の黒字(前年同期は1億5500万円の赤字)に急浮上した。メディア枠仕入れ量の適正化で採算が改善したことに加え、DM事業で前期に計上した貸倒引当金の計上がなくなったことも利益を押し上げた。中間期計画の2億6000万円を大幅に超過しており、業績上方修正や配当増額への期待が膨らむ。

【キャリアL】 トータル利回り:1.95% 最低投資金額:7万6800円

人材派遣を展開するキャリアリンク <6070> の優待品もクオカードで、毎年8月末時点の100株以上保有株主に対し、保有株数に応じて500円から2000円分を贈呈している。一方、配当の権利月は2月の期末一括とし、21年2月期は前期と同じ10円を実施する計画だ。業績面を見ると、第1四半期にBPO事業で新規スポット案件を獲得したことで中間期の営業利益予想を大幅上方修正している。通期予想は据え置いたが、第1四半期の営業利益が通期の計画値にほぼ到達しており、通期も増額修正する可能性は高いとみられる。株価は700円台で最低投資金額10万円以下と手軽に購入しやすいことも注目ポイントだ。

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