5年で資産10倍を実現した「支配者便乗の法則」
目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技~レブルさんの場合 第1回
サラリーマンから専業投資家に転身したばかりの若手トレーダー。東海地区在住。2016年に数百万円で株式投資を始め、5年足らずで資産10倍化を達成する。現在は株式の他、為替、商品、仮想通貨など様々な資産クラスを手掛けるオールラウンダーで、株式もデイトレーダーを基本とし、スイング、長期などバラエティに富んだ手法を加えてリターンを得るのが得意。最近はコロナ大暴落前に相場の違和感を察知し、最終的にはノーポジション状態に。保有資金の多くを傷めず温存できたため、それをFXのデイトレ等に活用し、わずか2カ月程度でコロナ暴落直前から資産を4倍に膨らませる。平日は毎日行っているツイキャスが好評で、ファンが増加中。
2000年代には錦織圭、10年代には大谷翔平、そして最近では久保建英と、スポーツ界には次を担うタレントたちが登場している。
ならば株式投資の世界にも、同じく新たなタレントが登場しているはずだ、と株探編集部は次代を切り開く若手投資家たちにスポットライトを当てる企画を立ち上げた。2年前から始めた「すご腕投資家さんシリーズ」の兄弟版、「頑張り投資家さんシリーズ」を掲載していく。
この頑張り投資家さんとは、投資の経験はそれほど長くはないが、将来は「億トレ間違いなし!」と期待できるネオ「すご腕投資家」のこと。
彼らの頑張っている姿は、このコロナ禍で投資デビューし、どうやって成果を挙げたらいいのか探っている新人投資家さんにとってロールモデルになりうるはずだ。
コロナ禍でも資産を約2カ月で4倍に
この新企画のトップバッターとして紹介するのが、レブル(ハンドルネーム)さんだ。数百万円の元手で投資を始め、5年も経たないうちに資産を10倍化させた32歳だ。
この2月に大暴落が始まったコロナ相場では、注目指標に怪しい動きを感じていたことで、早期の段階から株式のポジションを落とす一方で、代わりにFX(外国為替証拠金)の短期取引を駆使。その資金は約2カ月で4倍まで膨らますことに成功している。
最近は、SNS(交流サイト)を利用した動画配信サービス「ツイキャス」で、平日は毎日、その日の相場のポイントや銘柄分析の解説を行っていて、そのオンエアを楽しみにするファンも拡大中だ。
そんなレブルさんが、メキメキ腕を伸ばしている原動力とコツは何なのか。これから4回にわたる特集で、その詳細に迫っていく。
なぜかベテランの億トレさんから、かわいがられる
「引き出しの多そうな人で、話が分かりやすくて面白い。考え方も独創的で、この人のことをもっと知りたい」
ある投資家さんの要望もあり、株探編集部はレブルさんに3時間を超えるインタビューを実施した。話を聞くと、説明がうまく、会話が尽きることがなかった。
取材中にソフトバンクグループ<9984>のチャートをスクリーンに映し出し、レブルさんが考える買いポイントの説明を聞いた際には、論理がとても明快だった印象が残っている。平日に毎日行っているツイキャスもリピーターが増えているという。
■レブルさんのツイキャスで使用した画面の一例
後でも触れるが、学生時代は社会科の教員になりたいとの希望を持っていたとのこと。わかりやすく説明する術を身に付けているのは、目指していた職業の影響もあるかもしれない。
ツイキャスでは、最近は、特にFX(外国為替証拠金取引)の投資家から人気の為替のプロ、「YEN蔵」さんこと田代岳さんとコラボし、多くの視聴者から反響があったようだ。
YEN蔵さんとは金利や為替環境について意見交換をしており、ほかにもレブルさんと交流している億万投資家さんは多くいる。こうした実力派投資家さんたちと交流が続くのは、彼らにとってもレブルさんの投資法や考え方が刺激を受ける面があるからだと想像できる。
ベテラン投資家をも魅了するレブルさんは、どんな投資を行うのか。その特徴を見て行こう。
5年足らずで10倍化のツボは2つ
投資を始めたのは2016年で、先に紹介したようにこの5年ほどで資産を10倍にしている。投資を始めた2年目には、デイトレードで1日に約15万円の利益をはじき出すほどまでになっていた。
もちろん一直線で、リターンを増やしてきたわけではない。途中、18年2月には1カ月に10%も株価が暴落するいわゆる米国発の「VIXショック」に巻き込まれ、それまで積み上げた利益を何百万円も溶かすという大ヤラレを食らう。だが、そんな逆風も上手く乗り切り、現在は着々と資産を拡大させている。
リターンを稼ぎ出しているツボは大きく2つある。
1つは、儲け技の引き出しが多いこと。主軸は株式のデイトレーターとする中で、株式投資だけではなく、為替、商品、仮想通貨も手掛ける。そのためにおのずと広く大きく、様々な金融商品の値動きを観察することとなり、結果、株の分野でも好成績を出せている。
もう1つは、レブルさんの投資スタイルの肝となるもので、株式にしろFXにしろ、市場を動かす巨大な力が存在し、その力が今後、どう動くのか、または動いているのかを見極めながら、できるだけその動きに先回りして投資できるチャンスをうかがっていることだ。
一般的な投資用語でいえば、レブルさんが主に銘柄選別や売買タイミングを判断するのは、テクニカル分析と呼ばれるものだ。その中でも騰勢に関係する出来高の急増や値並び、そしてローソク足の形状などを注視している。
テクニカルは文系型、ファンダメンタルズは理系型の投資法
企業業績やマクロ指標などのファンダメンタルズ分析を主軸とする立場の人には、テクニカル分析は異世界の話に受け取られることもある。だが、レブルさんはテクニカル分析を「文系型の投資法」と表現し、投資家の心理を読み解く手段だと捉えている。
方やファンダメンタルズ分析は理系型の投資法。社会科目の教員志望だったレブルさんにとっては、文系型の投資法が合うという考えだ。
学生の時には江戸時代の歴史に興味を持ち、社会経済は支配者の影響力の大きさを無視して語ることはできないと痛感する。これは投資の世界でも通ずる、とレブルさんは考えている。
投資家の中でも、特に資金力があり相場に影響を与える力のある機関投資家やカリスマ個人投資家の心理に重点をおく。同時に大衆心理もチャートのローソク足や出来高から読む。さらに政策の及ぼす影響にも感度を高めている。
これらを注視することが、効率よくリターンを稼ぐためには必要だと考えている。もちろん、こうした影響力のある投資家の動きや、政策の影響力の大きさをすべて正しく読み解くのは不可能だ。
そんなときにレブルさんは、「わからないものはわからない」と潔く認め、取引を控える。こうした割り切りも、レブルさんが比較的、短い間で資産を膨らましてきた要因になる。この点は、この後のコロナ暴落時の取引で見られた"すご技"でも紹介するが、その典型となる姿勢は以下のようになる。
違和感がある動きがあれば、リスク回避で実弾温存
毎日、相場を観察している中で「普段と何かが違っておかしい」「意味不明な動きが生じて視界不透明」という違和感を覚えた時は、躊躇なくポジションを手仕舞うのだ。
言うは易しだが、会社員を辞めて専業投資家に転身している身にとって、ノーポジにするのは「開店休業」状態になることで、行動に出るのはかなり勇気がいることだ。
だが、抱いた違和感が悪いシナリオに発展し、資産が減ってしまえば、それを取り返す時間と労力を費やさなくてはならない。特に今回のように相場の大暴落で超お買い得に銘柄が続出した千載一遇のチャンスに、防戦一方になり攻め玉を用意できないのは、絶対に避けたいことになる。
冒頭で触れたように、今年のコロナ暴落前からレブルさんが株のポジションの多くを手仕舞い始めたのも、「ヤバい」と感じた時は「何もしないことが最善の策」というルールをきちっと守るという行動からだった。
現時点で振り返ると、今回の暴落時に絶妙なタイミングで判断ができたのは、株式相場と同様にきめ細かく観察している為替のドル・円相場で「あれっ」と思うサインが出たからだ。
レブルさんはもともと「株式の動きには為替の動向が大きく影響する」と考えており、この為替のサインを材料に「株式もヤバいかも」を見極めた。では具体的にどんな行動を取ったのか。
コロナ大暴落前から違和感を覚えてポジ縮小
まず、今回の大暴落は2月後半の3連休明けの25日の火曜日から拍車がかかった。レブルさんはそれより前の
①1月後半、
そして②2月18~20日
にかけてと、大きく2回のポイントでその後の相場が軟調になるかもしれないと読んだ。
ただ、予想しても、行動に出なければ、投資家にとっては机上の空論を唱えたようなもの。レブルさんは、読みに基づき行動し、2段構えで株のポジションも落とし、2段階目以降は完全にノーポジの状態にできていた。
レブルさんの場合、株式では「中・長期投資は現物株」で行い、「スイングなど時間軸の短い投資は信用取引を活用」するメリハリを利かせている。
そうした取引を行っている中で、1月後半に相場が弱含む気配を感じ取ってからは、「イマイチな相場環境の中ではムリをしてリスクを取る必要はない」と決め、信用取引で行うスイングの分は手仕舞って全体のポジションをスリム化させていた。これが先に挙げた第1段階のアクションだ。
その後、2月の第2段階は暴落の初期段階でのこと。この時は現物株投資で長期の位置づけでBASE<4477>とトレンダーズ<6069>を仕込んでおり、当初は、アノマリー的に弱くなりがちな2月の軟調な相場の中でも買い下がっていく戦略を考えていた。
だが、「あれっ」と思うサインの出現により、「いよいよ相場はリーマンショック級のマズい状態になる」という確信に至り、方針を変えて全て手仕舞うこととした。
2段階ポジション削減作戦の実行で、コロナ大暴落の初期は現物株取引のポジションは損切りする形にはなった。だが、2月下旬から始まった相場の大雪崩からは比較的早い段階で逃げ出すことができた。
それによって手持ち資産をそれほど傷めずに済んだので、その資金をコロナ禍でのFXデイトレ等に生かし、かつ3月下旬から始まった戻り相場の恩恵を存分に受けることができたのだ。
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