マザーズ銘柄を徹底研究(No.2)~バズる銘柄の注目要素はこれとあれ
大川智宏の「日本株・数字で徹底診断!」 第49回
下のグラフが示しているように、多少の波を描きながらも右肩上がりに推移していることがわかります。足元はやや売られ気味であるものの、基本的にはプラスのパフォーマンスを積み上げています。
成長株のデビュー市場という特性そのままに、予想成長率の高い銘柄が注目されて買われやすく、逆に成長率の低下した銘柄は売られやすい傾向が表面化したものと理解できます。
また、ただでさえマザーズ市場は高成長銘柄の集合体であるわけですから、その中での上位25%に該当する銘柄は極めて高い成長が期待されているのでしょう。
大枠としては、素直に予想成長率で銘柄選択をすることは正しいと言えそうです。
■マザーズ銘柄のEPSの投資効果
出所:データストリーム
アナリスト・カバレッジでは、新規は○、増加は×
さて、最後はアナリストのカバー人数についてです。
こちらは、新規か追加かという点以外の属性が類似しているため、両者を並べて比較することにします。
「新規カバレッジ」のグループは、こちらも波があるものの基本的にはプラスで推移し、特に直近は二次関数的に強いパフォーマンスを見せています。これは、前述のとおり、アナリストがカバーする価値のある銘柄であることや、そしてそれに追随する需給が株価を押し上げた結果でしょう。
一方で、意外なのは「カバー人数増加」のグループです。2018年前半以外は一貫してマイナス方向のパフォーマンスとなってしまっており、特に2018年後半以降は一方的に売られ続けています。
あくまで推測の域を脱しませんが、この結果については、以下のようなことが考えられます。
■アナリストの新規カバレッジ銘柄とカバー人数増加銘柄のパフォーマンス
出所:データストリーム
株価は、まだ織り込まれていない上昇ポテンシャルが、徐々に情報として織り込まれることによって上昇を見せます。そのため、IPO銘柄や、それまで放置されていた新規カバレッジ銘柄は、今後織り込まれる余地が大きいために継続的な上昇を見せるのでしょう。
他方で、すでにカバレッジされている銘柄はその過程を経た後であり、ある程度は投資家に名の知れた銘柄ということになります。
加えて、アナリストがわざわざ追加でカバレッジをするということは、それまでに高いリターンを生み出しており、時価総額が増大して投資適格の対象になったか、そのモメンタムに相乗りする目的でカバーを開始したものと思われます。
そのため、こういった銘柄はすでに多くの分析の目にさらされており、残存ポテンシャルが乏しいどころか、逆に高騰後の利食いの対象となる可能性が高いと考えられます。
相場の定石としても、後続が入ってきたらもうそこが天井、というわけです。そのようなリスクを負ってまで、わざわざ深追いをする旨味は乏しいでしょう。
EPS成長率・アナリストの新規カバレッジが注目要素に
つまり、マザーズ市場のなかで「バズる銘柄」を定量的に見つけるには、大枠としては割安よりも成長性の高い銘柄を、そして注目度の観点では、既カバー銘柄のカバー数増加よりも新規カバレッジが発生した銘柄を保有するのがよいという結論になります。
新規カバレッジについては一般には判別が困難ですが、マーケット系のニュースなどにアナリスト・カバレッジの開始情報は掲載され、かつ企業のIR情報にもカバーアナリストの情報は記載されていることが多いので、それらを組み合わせて判別するのが現実的かもしれません。
これらの観点から、次ページに、12カ月先のEPS成長率が高い銘柄と、過去1カ月以内に証券会社のアナリストによる新規のカバレッジや業績予想が発生した銘柄の一覧を掲載します。
また、今回の分析ではパフォーマンスの低下が見られた「既にカバーされており、その数が増加した銘柄」も参考データとして紹介します。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
株探ニュース