ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (35)株式投資の醍醐味は企業の成長に伴う株価上昇【株探プレミアム 業績推移と株価】

特集
2021年2月15日 10時50分

「あの時売らなければもっと儲かったのに」を減らそう

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆長期チャートが教えてくれる株価の先行性

では、最大25期を確認できる「業績推移」タブをクリックして、長期の業績動向を再確認してみましょう(図8)。ファナックの場合、注目すべきポイントは、18年3月期の好業績を多くの投資家が年度途中の四半期決算の内容から予想していた可能性が高いことです(18年3月期は35%増収、経常48%増益で着地します)。地合いが当時は良好だったこともありますが、投資家の期待を背景にファナックの株価は17年は上昇を続け、翌18年1月には3万3450円の上場来高値をつけています(図9)。

●図8 最大25期表示の株探プレミアムの「業績推移」 ファナック <6954>

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●図9 ファナック <6954> の長期株価チャート(月足)

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「成長性」のタブをクリックして売上高と利益の伸び率を確認してみましょう(図10)。ファナックは15年3月期には売上高、利益が過去最高を付けた後に、2期連続で減収減益となり、18年3月期に3期ぶりに増収増益に転じています。さらに「修正履歴」タブをクリックすれば、18年3月期は期中3度にわたって通期の売上高と利益を上方修正していることがわかります(図11)。上方修正が行われるたびに、多くの投資家は好業績への確信を強め、次の上方修正に期待していたことでしょう。

「17年は上昇を続け」と前述しましたが、ファナックの株価が浮上に転じたのは16年6月です(図9)。株価が上昇すれば下落するように、業績も好調と不調の波が訪れます。他社の業績などさまざまな情報を参考にすれば、減収減益が予想されていた17年3月期の年度半ば頃には将来の景気回復をある程度は見通すことが可能でしたから、株価は業績回復に先んじて浮上を開始したのです。もちろん、その後もしっかりと業績が順調に回復し、成長できているのかの確認が必要であることを忘れてはいけません。

●図10 最大25期表示の株探プレミアムの「成長性」 ファナック <6954>

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●図11 一気に過去5年間分を確認できる「修正履歴」 ファナック <6954>

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株価は先行指標であるといつもお話していますが、少し長い視点でチャートを確認することにより、業績を長期的に見ることの重要性と、業績と株価との連動性(株価の先行性)を理解いただけたのではないでしょうか。

なぜ、このような話をするのかといえば、「ぎゃーーーー私が売ってから株価が2倍になった。あの時売らなければよかった…」といった体験を、皆さんも一度ならず繰り返してきたのではないでしょうか。そうした取りこぼしをできるだけなくして、値上がりが期待できる銘柄を発掘するためには、決算の数値から業績を読み込む力と、チャートを読んで株価に落とし込む力の両方が必要になるからです。株式投資は結局、右肩上がりで資産を増やせればいいわけですから、失敗からもしっかりと教訓をつかみ、この2つの力を自分のものにするために地道な努力を積み重ねていきましょう!

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