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進む銀行サービスのDX化、メガ3行で使いやすいのは

特集
2021年3月18日 10時30分

清水香の「それって常識? 人生100年マネーの作り方-第25回

清水香(Kaori Shimizu)
FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表
清水香1968年東京生まれ。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランナー(FP)業務を開始。2001年に独立後、翌年に生活設計塾クルー取締役に就任。2019年よりOfficeShimizu代表。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、テレビ出演も多数。 財務省の地震保険制度に関する委員を歴任、現在「地震保険制度等研究会」委員。日本災害復興学会会員。

前回記事「PCR検査費用、払い戻さなかったチケット代は控除の対象になる? ~ 「コロナ禍の確定申告 その2」を読む

みずほフィナンシャルグループ<8411>傘下のみずほ銀行で先月末に発生したATMの大規模障害は、3月に入ってからもトラブルが続きました。3回目の大規模なシステム障害となった今回、その要因の1つが今年1月に発表した「通帳のデジタル化移行」にありました。

同行で今年1月18日以降に口座を新規開設する場合、デジタル通帳では無料ですが、紙の通帳の発行を希望すると1冊発行するたびに手数料が掛かることに。紙の通帳はこれまで"タダが当たり前"だったことから、同行のこの措置は話題となりました。

銀行が紙の通帳の有料化に踏み切った背景にあるのが、毎年4月時点で、1口座あたり年200円の印紙税がかかること。メガ銀行となれば、口座数は膨大。その中には休眠預金となっている口座もあります。

一方で、デジタル通帳はこの印紙税がかかりません。超低金利状態の長期化で利ざや収入を稼ぎにくくなっている銀行にとって、デジタル通帳化は収支の改善効果をもたらします。しかし、それはあくまでも銀行の都合で、利用者が不便や負担を感じれば総スカンを食らいます。

そうした中で、コロナ禍で庶民の生活にキャッシュレス化やリモート化が浸透、スマートフォンやアプリの進化で、ネットバンキングや口座管理の使い勝手も進歩。銀行がサービスのデジタル化を加速する絶好の機会になっています。

メガバンクでは、みずほ銀行のデジタル通帳に限らず、この4月には三井住友フィナンシャルグループ<8316>傘下の三井住友銀行、7月には三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>傘下の三菱UFJ銀行でもデジタル化移行を促すサービスや手数料の見直し始まります。さらに地銀でもこうした動きがみられます。

今回は、メガ3行のサービスのデジタル化を取り上げます。

みずほ銀行 ~ 通帳発行は「一冊1100円」

まず、メガ3行の今後のデジタルサービス化をめぐる主な動き下の表にまとめました。

紙の通帳の有料化をすすめる一方で、デジタル通帳サービスを拡充し、さらに取引状況などに応じたポイントサービスも導入が広がります。

■メガ3行のサービス・デジタル化の動向

銀行名 内容
みずほ銀行 ・2021年1月18日以降の新規開設口座*は通帳発行・繰越ごとに
一冊1100円の手数料
三井住友銀行 ・2021年4月以降の新規開設口座は通帳発行・繰越に年間550円の
手数料
・Web通帳未選択、2年以上未入出金、残高1万円未満の普通預金口座に
年間1100円の手数料
三菱UFJ銀行 ・Eco通帳(デジタル通帳)への切り替えを推進
・7月以降は取引実績に応じPontaポイントを付与
・2021年7月以降の新規開設口座は2年以上未使用で年間1320円の
手数料
注 *普通預金・当座預金・貯蓄預金・定期預金・外貨普通預金・外貨定期預金
  金額は税込み額

順に見ていくと、みずほ銀行では、紙の通帳を発行しない「みずほe-口座」を基本とし、通帳の代わりに最大10年間分の取引明細をオンラインで確認できる「みずほダイレクト通帳」を推進しています。

インターネットバンキング「みずほダイレクト」の契約をし、そのうえで「みずほe-口座」「みずほダイレクト通帳」の申し込みをする必要がありますが、この手続きを踏めば手数料がかかることはありません。ダイレクト通帳に記載された取引明細を印刷することも可能です。

「みずほダイレクト」の登録をすると特典もあります。同行には、年会費無料の「みずほマイレージクラブ」があり、クレジットカードやローン借入、資産運用商品、キャッシュレスサービスなどの取引状況に応じて、ATM手数料などが無料になります。

「Sステージ」「Aステージ」「Bステージ」と3区分のステージごとに異なる特典が受けられ、うちBステージは「みずほダイレクト」の初回登録をして、要件を満たすだけで以下の無料特典が受けられます。

■みずほマイレージクラブ「Bステージ」の特典内容

みずほ銀行/イオン銀行ATM 時間外手数料 無料
イーネットATM 時間外手数料・利用手数料 月1回まで無料
みずほダイレクト利用時のみずほ銀行本支店宛振込手数料 無料
キャッシュカード新規発行手数料 無料

特典を受けるための要件とは、

・預金残高月末合計30万円以上

・「J.Score」のスコアを取得し、みずほ銀行との情報共有に同意

のいずれかを満たすことなので、要件のハードルは比較的低いでしょう。

さらに別の取引をすればステージが上がり、手数料の無料回数や種類が増えます。

J.Scoreはフィンテック企業で、顧客から提供される情報をベースに、その顧客の信用力や可能性をスコア化するなどしています。

一方、これまで通り紙の通帳の発行を希望すると、通帳発行および繰越ごとに1冊1100円(税込、以下同)の手数料が掛かります。

通帳発行に手数料が掛かるのは、普通預金をはじめ当座預金、貯蓄預金、定期預金、外貨普通預金、外貨定期預金になります。

円預金金利が0.001%と地を這う状態の中、1冊あたり1100円の手数料は相当な重さ。手数料を支払わなければ「みずほe-口座」に切り替えられWeb通帳となります。1年以上にわたり記帳されなかった通帳も同様、web通帳に切り替わります。

そうはいっても、銀行は暮らしの中でお金のやり取りをするのに欠かせないインフラです。効率一辺倒でサービスを絞りこむのは不適切でしょう。

誰もがアクセス可能であるよう、高齢者などデジタル移行が難しい人への配慮も求められます。そのため70歳以上の人の口座については、新規開設された口座であっても、これまで通り無料で通帳の発行を受けられます。

また、既存の口座については口座開設時時の約款に基づきサービスが行われているため、これまで通りのサービスが受けられます。通帳発行が有料になるのは2021年1月18日以降に新規開設した口座だけ。詳細は異なるものの、こうした点はメガ3行共通です。

なお、みずほ銀行は2月から3月のシステムトラブルで、デジタル化の移行延期を検討せざるを得なくなりました。移行が4月以降になれば、掛からないはずだった印紙税の負担がおし掛かることになります。

三井住友銀行 ~ 通帳発行手数料は「年550円」 

三井住友銀行も、新規・既存口座ともにデジタル化を推進中。2021年4月以降に新規開設した普通預金口座を対象に、非デジタル対応に以下2点の手数料を新たに設けています。

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