横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (12)トレンド継続の確認にも使えるRCIをマスターしよう
◆トレンド継続を確認するのに有効なRCI
図3は、TOPIXのRCIチャートです。まず、チャート下段の赤色の線のRCIをご覧ください。RCIは一般的にプラス80%以上で買われすぎ、マイナス80%以下で売られすぎと判断されます。また、天井圏から下がり始めてプラス80%を下回った時が「売り」、底値圏から上がり始めてマイナス80%を上回った時が「買い」のタイミングとされています。
●図3 TOPIX 多機能チャート RCI
8月20日にTOPIXは1877ポイントの安値を付けますが、このとき赤色のRCIはマイナス80%を割り込んでいて売られすぎの状況であることがわかります。しかし、その後、株価が上昇し始めるとRCIは上に向かって上昇し始めます。そして、8月30日頃にはプラス100%に近づいて買われすぎの状態となり、その後は9月半ば頃までプラス100%近辺でヨコヨコに推移していることがわかります。
このように株価のトレンドが強い場合、RCIはプラス100%(あるいはマイナス100%)あたりに張りついたまま推移するケースが多く見られます。そして、9月半ばにTOPIXが下落に転じ始めると、RCIの数値は低下し始め、プラス80を下回って「売り」のシグナルが点灯します。その後、直近では売られすぎの水準までRCIの数値は低下しています。
前回解説したRSIのチャートでは、RCIと同様に株が買われて高値圏にくると買われすぎの水準まで上昇し、株が売られて安値圏にくると売られすぎの水準まで下落しました。RSIは山、谷がはっきりとしており、天井と底を分析するには使い勝手がよいと言えます。その点、RCIは株価が上昇し始めると数値がプラス100に向かって上昇し始め、そして上昇が継続している場合はプラス100あたりで推移するという特徴がありますから、RCIは株価のトレンドが継続しているのかを確認するのに適していると言えます。
オシレーター系の指標は通常、逆張りで使いますが、RCIはこのように強いトレンドを形成している時には順張りで使うこともできるのです。もちろん、それまで天井圏、底値圏に張りついていたRCIの方向に変化が表れて下げ始めたり、上げ始めたら、それぞれ「売り」や「買い」のタイミングを計って逆張りで使うこともできます。
また、期間の異なる2本のRCIを用いて、長期の線(青色)を短期の線(赤色)が下から上に抜けば「ゴールデンクロス」いわゆる買い場に、反対に長期の線を短期の線が上から下に抜けば「デッドクロス」いわゆる売り場になるといわれています。しかし、チャートを見る限りではいつも有効に機能しているというわけではなさそうです。それよりも、短期の赤色のRCIで株価の方向性をとらえたほうが使い勝手はよさそうです。
ただし、6月下旬から8月下旬までの動きを見ると、株価が横ばいで推移している時は、RCIは「0」を挟んで行ったり来たり細かな波動を描いており、この期間ではあまり有効とはいえなさそうです。
結論から言えば、株価が横ばいで方向感なく推移するような時にはRCIはあまり有効に機能しないので、RSIなどのテクニカル指標を使った方がよいでしょう。一方、株価に強いトレンドが発生している場合には、トレンドの継続性を確認し、その変化をとらえるためにRCIは使えそうです。
相場の変動とともに揺れ動く感情に流されていては株式投資で成功を収めることは望めませんので、テクニカル指標を使うことには大きな意味があります。しかし、前述したようにRCIをはじめテクニカル指標はそれぞれ有効に働く場面と、そうではない場面があります。このため、一つのテクニカル指標を過信することなく、複数の指標を活用して売買を判断していくことが必要になります。また、幾度も繰り返してきたことですが、株式市場の地合いを推し測ったうえで、個別銘柄の売買タイミングを分析していくように心掛けましょう。
株探ニュース