米国株式市場見通し:今年最後のFOMCに注目

市況
2021年12月11日 14時27分

来週は、連邦準備制度理事会(FRB)が14日、15日に本年最後となる連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する予定で結果に注目だ。来年の利上げのタイミングなどを図る上で、パウエル議長の会見や、四半期ごとに発表されるスタッフ予測にも注目したい。FRBはこの会合で、政策金利を据え置く見通し。すでにパウエル議長が言及しているとおり、声明では、インフレが「一過性」との文言が削除される公算だ。高インフレが2022年まで続く可能性があるとの判断に基づき、さらに、週次失業保険申請件数が52年ぶり低水準と労働市場のひっ迫も明らかになる中、この会合で、資産購入規模縮小の加速を協議する計画だ。金利先物市場ではすでに縮小規模を現行の2倍となる月300億ドルに加速させることを決定する可能性を見込んでいる。縮小を早期に終了することで2022年の利上げも可能になる。

ただ、経済は十分に強く、パンデミックにより緊急導入された資産購入策の縮小ペースの加速にも耐えられるだろう。新型コロナのオミクロン変異株の経済に与える影響が明確化するまでにはまだ時間がかかるようだが、現段階の情報に基づくと、重症度は緩やかで経済への影響は限定的のようだ。2022年には経済の完全回復、パンデミック終焉と明るい見通しもあり、クリスマスラリーは継続するだろう。投資家の恐怖心理をあらわすVIX指数が20を割り込んだことも楽観的な見通しを後押しする。週後半は株価指数先物、株価指数オプション、ストックオプション、シングル株オプションの4つの取引期限が重なるクアドラプル・ウィッチングで短期のテクニカル的な波乱もありそうだが、良い買い場となる可能性もあろう。

経済指標では11月生産者物価指数(PPI)(14日)、12月二ューヨーク連銀製造業指数、11月小売売上高、11月輸入物価指数、10月企業在庫、12月NAHB住宅市場指数(15日)、週次新規失業保険申請件数、11月住宅着工件数・住宅建設許可件数、12月フィラデルフィア連銀景況、11月鉱工業生産、設備稼働率、12月マークイット製造業PMI(16日)などが予定されている。変動の激しい燃料やエネルギーを除いたコアPPIは10月と同水準の伸びにとどまる見込み。また、経済の7割を占める消費動向を判断する上で注目の11月小売売上高は10月から伸びが鈍化する公算だ。

主要企業決算では、住宅会社のレナー(15日)、ソフトウェアメーカーのアドビ、運送会社のフェデックス、電気自動車メーカーのリビアン(16日)などが予定されている。住宅建築会社では建築材料や人件費などコストの上昇を需要の強さが相殺し、良好な結果が相次いでおり、レナーの決算にも期待したい。ソフトウェアメーカーも良好な結果が期待できるだろう。フェデックスは前期に予想を下回る結果を発表しており注意が必要だ。人件費などコストの上昇が懸念される。また、中国のオンライン小売りのアリババは16日に投資家フォーラムで、最新の見通しを発表予定。特に、最近の当局の規制強化による影響に注目だ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

提供:フィスコ

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